2017年08月06日

1943年米海軍 ONI 発行 『U.S.S.R. Navy』


標記の公文書ですが、以前こちらでご紹介して暫く本家サイトの空きエリアに置いておりました。

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「第2次大戦中のソ連海軍について」 :
    http://navgunschl.sblo.jp/article/26365448.html

本家サイトに『現代戦講堂』を設置しましたので、この度サイトの今週の更新として、改めてそちらの『資料展示室』コーナーで公開するものです。

「資料展示室」 リスト :
    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/Modern_Warfare/Shiryo/tenji_main.html
「U.S.S.R. Navy」 :

本文書は2000年代になってから米海軍の公式サイトでも公開されたのですが、何故かネット上で広まることはなく、私の探し方が下手なのか、現在では Web 版になったものが1個所あるだけで、元々のPDF版のものは米軍サイトも含めて見つかりませんでした。 (Scribd にはある?)

1943年段階で米海軍が把握していたソ連海軍に関する情報を纏めたもので、今でもこの方面に関心のある研究家の方々にとっては貴重な公文書の原典であると思います。

本来なら 『史料展示室』 でも良いのですが、追々戦後のソ連海軍関係も公開していくつもりですので、これもあって 『現代戦講堂』 としております。

どうぞお楽しみください。

posted by 桜と錨 at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと

2017年08月01日

ちまき


孫娘が夏休みで今週末から遊びに来ますので、街に出たついでにおやつ用のちまきを買ってきました。

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5月のこどもの日の前に20個ほどを送りましたが、気に入ってくれたようで、1度に2つも3つも食べてしまったそうで、また送ってくれとの催促も (^_^)

で、我が家滞在中はいつでもチンして食べられるように少し多めに冷凍庫にストックしておくことに。

ここは (も?) 小さなお店で、なんと売り物はこの手作りちまきだけです。

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味付けの餅米にタケノコ、豚肉、シイタケが入っていて大変に美味しいです。 そして一つ一つが竹の皮に包んであり、食べる時のその香りが何ともいえません。

私達の年代の者にとっては、ちまきもこの竹の皮も、懐かしい思い出が蘇ります (^_^)

おやつのお菓子がわりはもちろん、ちょっと小腹が空いた時にもピッタリで便利です。

もちろんお店で蒸したばかりの熱々なら最高です。 最近の私のお気に入りの一つです。

posted by 桜と錨 at 15:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月30日

五十口径八八式十糎高角砲、ですよね?


ネットで旧海軍の 「五十口径八八式十糎高角砲」 の話題が出ていました。

ご存じの通り、この10センチ高角砲は海大5型3隻と海大6型a6隻の計9隻のみに装備されたもので、水上艦艇にも陸上部隊にも一切装備されなかったという大変にマイナーな砲です。

しかも単装の高角砲とは言いながら、射撃指揮装置もなく、砲も全て人力操作というものですので、装備された昭和初期でさえ対空射撃の性能としては貧弱であり、むしろ駆逐艦以下の小艦艇及び商船などを対象とした両用砲であったと言えます。

これもあって、本砲に関するデータは極めて少なく、特に砲外弾道についてはほとんど残されていません。

某所で出た

「NavWeaps」 というHPを拝見したところ
    最大射程 45度で16200 m
    最大射高 90度で11200 m

というデータ (と John Campbell の 「Naval Weapons of World War Two」 なども) の元々の出所は 「USNTMTJ O-47 N-1 」 と推定されます。

この報告書のデータそのものは旧海軍からのものですので、おそらく間違ってはいないと考えられますが、ただし日本側の根拠文書などは不明です。

( USNTMTJ の報告書の内容も必ずしも細部に渡って全て正確とは限らず、日本側の回答者が間違えているなどの点が含まれているものがあることには要注意です。)


その某所の中で

この砲の砲弾の薬莢長はどれほどなのでしょうか?

というのがありました。

何故質問者がこの様なマイナーな砲の、それも薬莢長などに関心を持っているのかは判りませんが、折角の機会ですから本家サイトに旧海軍の史料を纏めてこの砲のデータ頁を作成し公開することにしました。


まあここまでのデータはよほどの研究者の方々でもない限り必要ないでしょうが、こういうものもキチンと残しておかないと、と思いますので (^_^)


ところで、です。

弾薬包全長と弾長、薬室長が分かれば、弾頭を薬莢口に装着する部分(用語があると思いますが)の長さと薬莢長も求まる

とコメントした人がいましたが、本当ですか?

弾長 : 38.09cm (通常弾、九一式時限信管装着)、弾薬包の長さ : 100.54cm、薬室長 : 62.50cmですが、これで薬莢長はいくらになるのでしょう?

たぶん 「薬室長」 という用語の意味を勘違しているのではないかと思いますが ・・・・?


それよりは、今になってまさか回答者の参照文献に遠藤昭氏の 『高角砲と防空艦』 (原書房、昭和50年) などが出てくるとは思いも寄りませんでしたので、私としてはむしろこちらの方がある意味驚きでした (^_^;
posted by 桜と錨 at 13:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 砲術の話し

2017年07月26日

『世界の艦船』 9月号


『世界の艦船』 最新号の9月号 (通巻第865号) がそろそろ書店の店頭に並ぶころです。

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9月号は第1特集が 「クライシス!北朝鮮」、第2特集が 「現代軍艦のダメージ・コントロール」 です。

まあ第1特集の方は私達が書くとちょっと、と言うところも出てきますので、これは物書きさん達にお任せするのが一番でしょう。

で、第2特集で現代の護衛艦におけるダメコンについて書かせていただきました。 編集部さんからいただいた題は、

「 応急部署発令! ある護衛艦の場合 」

ということで、護衛艦、というより海自艦艇では防火及び防水についてどんな訓練をし、また実際に発生した場合にはどの様な対応をするのか、についてです。

ハード・ウェアたる艦艇の構造や装備などについてはともかく、それらを運用する乗員についてはあまり述べられたものがありませんので、これはこれでちょっと珍しいかと。

そしてやはりこういうものは実際に携わったことのある者でなければと思います。 ただやはり4頁という紙幅では詳しくは書けませんのでほんのサワリ程度ではありますが (^_^;

当該拙稿を執筆中に奇しくも米艦 DDG-62 Fitzgerald とコンテナ船 ACX Crystal との衝突事故が発生しました。 衝突の原因や米艦被害の状況などの詳細は今後究明されていくでしょうが、米艦の船体水線下に大きな破口を生じたにもかかわらず乗員の対応よろしく沈没などは免れたことが報じられています。

この例でもダメコンにおいては如何に優れたハードウェアがあろうとも、結局はそれを活かす訓練された乗員がいなければということを如実に表しているでしょう。

拙稿は一般の読者の方々にも興味を持ってお読みいただけるのではないかと思っています。

posted by 桜と錨 at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 海軍のこと

2017年07月25日

土用の丑の日、鰻の日 〜


お気に入りの小さなお魚屋さんに先週顔を出した時に、若大将から 「来週の火曜日、土用の丑の日で、うちでも鰻を焼くけど要る〜?」 と声をかけられました。

このお店、鮮魚店ですから普段は自分のところで調理したものは無いのですが、若大将の気が向くとたまにやるようです。 以前店頭にあった鯛の湯引きとか絶品でした。

基本的に常連さんの事前予約で、仕入れに余裕があれば当日でも買えるかもということです。

もちろん即 「3本お願いしま〜す!」 (^_^)

月に何度かしか顔を出しませんし、それも我が家のその日に食べる分しか買いませんので、お得意さんでも何でもないのですが、こうして声をかけてもらえるのは嬉しいですね。


で、今日買ってきました。

お昼前に行くと、店頭にBBQコンロを持ち出して、若大将が団扇でパタパタやっていました。

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自家製のタレを塗りながら焼いていきますが、出来上がった端から事前に予約してあった常連さん達が次々に訪れて買い求めて行きます。

辺りに良い香りが漂っておりまして、焼いたその場で一杯やりながら食べてみたい衝動に駆られます (^_^)

元の活きた鰻そのものは、このお店が市場に事前に注文したものを更に当日厳選して仕入れてくるものですから間違いはありません。

近年養殖もので評価が上がってきた鹿児島産で、そのため業者が予め養殖池を丸ごと買い占めてしまうことが多く、市場でもなかなか良いものを手に入れるのが難しいのだそうです。

そしてこれを鮮魚店の若大将が自ら焼いたもの。 う〜ん、その辺の鰻専門店よりも美味しいですね 〜 (^_^;

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今年の夏は土曜の丑の日がもう一回ありますが、残念ながら日曜日で市場が休みのため仕入れがありませんので、今日のみだそうです。

う〜ん、これは良いところを見つけました (^_^)

posted by 桜と錨 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月23日

昭和18年横砲校 『防空兵装略図』


私の本家サイトは大変マイナーなテーマを扱うところですが、お陰様でご来訪が54万名を超えました。

サイトでは特別に記念企画などは考えておりませんでしたが、その代わりと言ってはなんですがサイトの今週の更新も兼ねて 『史料展示室』 にて昭和18年に横砲校戦術科が作成した 『防空兵装略図』 を公開しました。

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    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/tenji/tenji_main.html
    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/tenji/47_Air_Def_Arm_illust_S18.html

重巡、軽巡及び空母の機銃などの増備状況を示したものですが、手書きの大変にラフなもので、かつ質の良くない藁半紙にガリ版刷りの上、経年変化で特に折り目などが変色してしまっており大変見づらいものとなっております。

この機銃などの増備状況については、あ号作戦後に呉、佐世保、舞鶴の各海軍工廠が作成した 『各艦機銃電探哨信儀等現状調査票』 (一般ではこれを故福井静夫氏の著作としていますが、これは誤りです) が有名ですが、こういった技術的視点のものではなく、用兵者側の史料として大変珍しいものと思います。

各艦の調査期日が記されていないなど問題点もありますが、この時点での旧海軍の対空戦についての認識を表すものとしても貴重な史料です。

僅か8頁のものですが、出来るだけゴミ取りをして1つのPDFとしましたので、お楽しみ下さい。

ただし、残念ながら昨今のネット事情、そのままではすぐに一人歩きしてしまいますので、表紙以外の頁には透かしを入れ、また印刷・加工はできない設定としておりますことはご了承ください。

posted by 桜と錨 at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 海軍のこと

2017年07月21日

発射門数と命中率 ・ 続 4 (終)


それでは最後に 「交互打方」 と 「一斉打方」 についてです。

旧海軍では昭和12年の『艦砲射撃教範』で 一斉打方 交互打方  指命打方 及び 独立打方 の4つの打方が規定されました。

これは、明治期から昭和初期まで は砲塔動力の問題で砲塔砲では余程のことがない限り左右砲の斉発は行わないこととされ、交互打方を常用とし、これを 「一斉打方」 と呼んできました。

昭和10年代になってこの砲塔動力の問題が何とか解決して連装砲の斉発が実用に耐えるレベルとなってきたことから、昭和12年の 『艦砲射撃教範』 の全面改訂時に実態に即して次のように名称が改められました。

一斉打方トハ一指揮系統ニ属スル砲 (連装砲) ヲ一斉ニ発射セシムルヲ言フ

交互打方トハ一指揮系統ニ属スル連装砲ヲ二連装砲ニ在リテハ左右交互ニ三連装砲ニ在リテハ右中左交互ニ又ハ左右砲中砲ヲ交互ニ発射セシムルヲ言フ

指命打方トハ一門又ハ数門ノ砲 (砲塔) ヲ指定シ毎回若干門宛発射発令時ニ発射セシムルヲ言フ

独立打方トハ一指揮系統ニ属スル砲 (砲塔) ヲ各砲単独ニ発射セシムルヲ言フ


では 「一斉打方」 と 「交互打方」 の両者はどちらが命中率は高くなる のでしょうか?

某所では結局正解は出てきませんでしたが、前者の 「一斉打方」 です。 何故か?

ここまでの説明を読まれた方にはお判りいただけると思いますが、「一斉打方」 の場合は 「交互打方」 に対して一斉射の射弾数が倍になるからといって、平均散布界も戦闘公誤も倍になるわけではありません。 つまり射心近くに弾着密度が高くなりますので、有効弾獲得の確率も高くなるからです。

そして交互打方は半数門づつ打つからと言って、射撃速度が一斉打方の2倍になる訳ではありません。 弾着観測のために弾着時期と発砲時期が重ならないようにずらさなければならないからです。

一般的には少なくとも5秒以上離すこととされていました。 このため、通常は一斉打方の方が射撃速度は速くなります。 この点も多くの人が誤解をしているところでしょう。

ただし、交互打方では 8〜12 門艦の場合は一斉射 4〜6 門になり、弾着観測が容易で (=誤観測が少なくなる) かつ斉射間隔が短くできますので、目標の変針・変速や、測的誤差などの累積に対する対応が早くできるというメリットがあります。

日本海軍の射法は、射撃指揮官が斉射弾の一発、一発の弾着 (=目標に対して遠か近かを) を正確に観測して射弾指導を行うことが基本だからです。

これにより、旧海軍では 試射はその時の状況・状勢や試射法によって交互打方、一斉打方の適する方を選択 し、本射は基本的に一斉打方、場合 (敵が変針変速を頻繁に行う、射心移動が大きいなど) により交互打方 を用いました。

したがって某所で出た

日本海軍の大型艦の射撃は射撃速度維持の面もあって交互射撃が基本であり、それは八門艦や九門艦でも変わりません。

というのは誤りです。


では、欧米海軍の場合はどうだったのでしょう?

前回、欧米海軍には試射・本射と言うものはなかったと書きましたが、実は旧海軍の 「交互打方」 に相当するものも無かった (=定義されていない) のです。

例えば米海軍の場合では 「打方」 について次のように規定されています。

Salvo fire is that type of firing in which a number of guns that are aimed at the same target and ready to fire are fired simultaneously by mean of a master key at the control station, by an automatic contractor, or on the same salvo signal.

Sprit salvo. When less than the full number of guns in a multiple gun mount or mounts os ordered to fire on one salvo signal.

Partial salvo. When less than the full number of guns (in single gun mount batteries) or less than the full number of mounts or turrets (in multiple gun mount batteries) is ordered to fire on one salvo signal.

つまり、「(full) salvo」 が 「一斉打方」 に相当しますが、「split salvo」 「partial salvo」 というのは旧海軍で言うところの 「指命打方」 に近いもので、これらの特定の応用形式が 「交互打方」 にほぼ相当するものになります。

米海軍においては前回お話ししたように、比較的広い散布界と射弾修正のやり方により 水上射撃においては 「(full) salvo」 が原則 です。

ただし、交互打方の様なことは全くやらなかったかというと、そうではありません。 陸上射撃 (対地支援射撃、NGFS) です。

陸上射撃では、水上砲戦の様に相互に打ち合う訳ではありませんし、目標が動き回る訳でもありませんので、腰を据えてじっくりと行ない、かつ前進観測班の弾着観測を得つつ射弾修正して行けば良いので、弾幕(区域)射撃を要するような 「full salvo」 の場合以外は 「pertial salvo」 又は 「split salvo」 が原則 です。

おそらく、

英米海軍も重巡以上の艦の射撃法の基本は交互射撃であり、全砲による斉発は戦時中に夜戦等で「射撃機会が限られる」場合等での特例で実施しています。

は何か勘違いしたのでしょうね (^_^;


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では本スレの総まとめです。

1.条件無しの一般論として、砲の命中率は1門での射弾であろうと100門であろうと変わりません。 変わるのは命中速度です。

2.現実の射撃では命中率はその都度その都度で異なります。 したがって、各砲種について常に一定の命中率が得られるということはありませんし、あり得ません。

3.交互打方が一斉打方に比べて命中率が高くなるわけではありません。 むしろ本射においては後者の方が理論的に高くなる場合が多いです。


(本項終わり)

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前 : 「発射門数と命中率 ・ 続 3」



posted by 桜と錨 at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し

2017年07月20日

『 ヒゲの提督 木村昌福伝 』


ご承知の通り、現在平野晃弘氏を中心としたグループによって 『キスカの花』 というドキュメンタリー映画の制作が進められております。

キスカというと私達船乗りがすぐに頭に浮かぶのが、やはりこのキスカ守備隊の撤収作戦の指揮官であった一水戦司令官木村昌福少将でしょう。

この木村昌福については、自衛艦隊司令官も勤められた故 星野清三郎氏の手になる標記の伝記が最も詳しく書かれていると思います。

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「前」 及び 「続」 2分冊の全13章で、兵学校入校前の生い立ちから終戦、戦後、終焉までが記されております。

このうち第1〜8章までは (財) 水交会の会誌 「水交」 の平成2年9月号から5年8月号までに連載されたものですが、「水交」ではここまでで打ち切られてしまったため、後に自費出版するにあたり、この8章までを 「前」 とし、残りを 「続」 としたものです。

「前」 は116頁ですが、「続」 は326頁と3倍近いものとなっております。

何故 「水交」 にはこの伝記が第8章までしか連載されなかったのか?

実はこの水交会の会誌 「水交」 では時々こういうことがあります。 貴重で良い記事にも関わらず、2〜3年ほど連載が続くと決まって “紙面を特定の者の連載に占領させるな” という声が上がって、途中で打ち切りになってしまうのです。

実状としては、どうも旧海軍関係者に対する内部からの批判的な内容が少しでも含まれると、こういう声となるようです。 他の連載記事でもそうでした。

結局、連載打ち切りとなった後の平成5年12月になって 「続」 を先に、そして平成6年2月に連載分を 「前」 として自費出版したものです。 実に何というか ・・・・ です。

著者の星野氏はこの木村昌福少将に直接仕えたこともあり、木村家に残された資料を始め志摩、保科、大西といった人達の支援・協力を得て纏めたもので、大変に貴重な内容となっております。

残念ながら星野氏自身が既に故人となられており、この自費出版の伝記も今となっては著名な図書館などの他はどこにどれだけ残っているのか、どこで手に入るのか ・・・・ ?

もし 「水交」 で引き続き全編が掲載されていたならば、こういう貴重なものを現在でも比較的容易に読むことが出来たと思うと大変に残念なことですし、「水交」 そのものも価値が上がったことでしょう。

なお奈良県立図書館などによると 「続の2」 というのがあるようになっていますが、私は未見でありどの様なものなのかについては判りません。

しかしながら、今回の 「キスカの花」 の制作を機に、木村昌福氏のこういう伝記にも少しでも一般の方々の目が向けられるようになると嬉しいですね。

posted by 桜と錨 at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月19日

月一のカラオケ


軍歌を歌う会 「三水会」 の月例会でした。 例によって6時に会歌 「三水会の歌」 に始まり、8時に 「同期の桜」 を全員で歌ってサッとお開き。

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しかしこの2時間、もう何というか和気あいあいの猛烈な騒々しさ (^_^; よく飲み、よく食べ、よくしゃべり、そしてよく歌い。 これだから続くんでしょうね。

今日は23名で女性が6名、「ヴォルケイノウ」 は一杯一杯でした。 私は先月は急用が出来て参加できませんでしたので、今回で4回目。

私がここに顔を出す切っ掛けとなった FBF の梶本氏も今日はご自慢のノドを披露。 お元気なものです。 うらやましい限り。

で、来る10月には200回目を迎えますので、この時には老舗の 「森沢ホテル」 で盛大にやるそうです。 こちらも今から楽しみです。


posted by 桜と錨 at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月17日

発射門数と命中率 ・ 続 3


今回は 「試射」 と 「本射」 の話です。

(注) : 以降は特に断らなければ全て射線方向の 「距離」 についてで、射線に直角方向の 「苗頭」 については省略します。 理由は簡単です。 左右の弾着のズレは見れば判るからで、修正も容易だからです。

この試射と本射は旧海軍の砲術に関するバイブルの一つ 『艦砲射撃教範』 で次のように定義されています。

試射トハ本射ニ用フベキ照尺量ヲ探知スル目的ヲ以テ行フ射撃ヲ謂フ

本射トハ命中ヲ期シテ行フ射撃ヲ謂フ

そして旧海軍では射撃実施においても両者は明確に区分されており、射撃指揮官は射撃開始に当たり両者の実施要領を下令しなければなりません。 例えば 「緩斉射弾観測、緩射」 「初弾観測、急斉射 (初観急)」「試射無し、初弾より急斉射」 など のようにです。

ところが、欧米諸海軍においてこの様な試射・本射に匹敵するものがあるかというと、ありません。 旧海軍独自のものと言えるでしょう。 これが射法上の大きな違いの一つといえるところです。


射撃計算というのは早い話、測的結果により 「射表」 から目標の未来位置 (=弾着時の目標の予想位置) に対する弾道を求めることです。

この射表は気温・湿度や大気圧などの諸条件をある 「基準状態」 を定めてこれによる基準弾道について作られています。

「射表について」 :

そしてこの基準弾道に対して 「弾道基準修正」 と 「弾道当日修正」 の2つを加えて、その時その時の条件に従った弾道を求めることになります。

「弾道修正の概要」 :

その一方で、砲の仰角を設定する距離目盛 (=照尺距離、又は照尺量) は射表と同じ「基準弾道」 により、しかも100m単位で刻まれています。

このため、例えば測距と測的による射距離が225 (ふた、ふた、ご) (2万2千5百m) であっても、照尺距離として調定 (設定) するのは232であったり214などとなるわけです。

これが発砲諸元の一つとして刻々と各砲台に送られ、各砲台の照尺手が照尺計で基針で示されるこの値に追針が一致するように照尺手輪 (ハンドル) を操作します。

この照尺量の最初のもの、つまり初弾発砲時の照尺量を特に 初照尺 といい、以後の射撃結果を左右する重要なものとなります。

つまり前回お話ししたように、様々な誤差の結果として、如何に緻密に射撃計算を行なおうとも、多かれ少なかれ弾着時の目標位置 (=実距離) と射心とは差が出ます。 これを 初弾偏倚量 と言います。


したがって、「試射」というのは、言い換えるとこの偏倚量を如何に正確に把握し、そして如何に迅速かつ正しく修正して標心と射心を一致させるか、つまりその時の 適正照尺量 を得るか、と言うことになります。

このための方法として 捕捉 ということを考えました。 即ち、連続する2つの斉射弾で目標を前後 (遠近) に挟むこと により、この2つの斉射弾の照尺量の中間値をもって射撃を行い、夾叉 することを確認してそれを 「適正照尺量」 としたのです。

もちろんこのためには散布界の大きさ (=戦闘公誤の大小) や2斉射間の照尺量の差 (=捕捉濶度) など全て公算により緻密に計算されたものであることは言うまでもありません。

そしてこの適正照尺量を迅速に得るためと弾着観測の容易さのために、その一つの方法として (一般的に) 試射には 「交互打方」 を用いたのです。

誤解の無いように申し上げれば、交互打方とは命中率を高めるためではなく、適正照尺量を把握してその後の射撃 (交互打方か一斉打方かに関わらず) の命中率を高めるためです。

これにより、本射においてはこの適正照尺量を維持しつつ (=命中を期した射撃を継続しつつ) 可能な限り発射速度を高め、目標の変針・変速などに迅速に対応していく、と言うことになると言えます。

この試射の要領についてどの様な方法があるのかというと、旧海軍では公算に基づき一定の標準を定めておりました。

次の 「試射の要領」 の中で最後に「試射法の決定」として詳しく解説してあります。



それでは欧米諸海軍ではどうだったのか?

旧海軍のような公算を基礎とした緻密な射法を作り上げることはありませんでした。 したがって試射・本射のような区別をもって射撃を行う方法ではありません。

射法は、基本的には初弾から偏倚量を観測してそれを修正していく形です。

特に米海軍では、散布界が比較的広いことから、偏倚量の修正によって比較的早くこの散布界の中に目標を入れることができますので、その中から命中弾が出ることを期待しました。

いわゆる 「夾叉」 という意味では米海軍の方がやりやすかったわけですが、その反面例え夾叉をしても命中率は高くは無かったということになります。

これが太平洋戦争後半での “数打ちゃ当たる” 式の射撃方法に繋がるわけです。


こういった艦砲射撃の基本的なことを抜きにして、的外れな知識を披露した上で

キーワードは「正規分布」「t分布」「標本数(サンプルサイズ)」→「標準偏差」あたりになろうかと

などと言われても ・・・・ (^_^;

何か実際の実験結果でもあれば良いんですが…

学校でのお勉強の知識だけでなく、艦砲射撃について真面目に調べれば、実験結果ではなく実際の射撃データがいくらでも旧海軍の史料などに残されているんですけどねぇ ・・・・


次回は本スレの最後として 「交互打方」 「一斉打方」 と命中率についてお話しする予定です。


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前 : 「発射門数と命中率 ・ 続 2」

次 : 「発射門数と命中率 ・ 続 4 (終)」

posted by 桜と錨 at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し