2018年10月07日

旧ソ連の軍事用語 『連続作戦』


少し前になりますが、某所で旧ソ連軍の用語の一つである 『連続作戦』 についてそのロシア語表記の質問が出ていましたが、結局回答が出ないままになっているようですので、ここでご参考までに。

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旧ソ連軍における教範類の一つとして 『将校双書』 というのが全17巻で出されており、その中の1冊に用語集があります。

これらは米軍でも英語に翻訳されており、そして更にその英語版の一部については資料集として航空自衛隊で邦訳されております。

ただし、航空関係以外の用語では流石に空自さんだけあって私達からするとちょっとピント外れなものも多いのですが ・・・・ (^_^;

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2018年09月11日

『J-ships』 10月号


イカロス出版から隔月で発刊されている 『J-ships』 10月号が発売となりました。 今月の特集は 「護衛艦進化論」 です。

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この中で私もミサイル護衛艦 (DDG) の項を担当させていただきました。 題して

『 ミサイル護衛艦 DDG の進化 』

海自の護衛艦の発達、特に 「たちかぜ」 型以降を語る場合には搭載する艦艇戦闘指揮システム (CDS) は外せないものの一つです。

そこで今回の私の記事もこの CDS の流れをメインに据えさせていただきましたが、何しろこれ、秘密程度が高く、古いものでもいまだにほとんどその中身については公表されておりません。

従いまして、DDG についてもそのサワリのところをちょっとだけ、ということで (^_^;

本当ならばもう少し掘り下げた詳しいものにしたいところですが、本誌そのものがビジュアル面を重視しておりますので、これについてはまた別の機会があればということにさせていただきました。

また CDS の流れについては、CIC のレイアウトを示しながらお話しするとよくお判りいただけるのでしょうが、取り敢えずということで既に退役して久しい 「たちかぜ」 型のものを一応用意したのですが ・・・・ これも紙面の関係で省かせていただきましたので、改めてここでご紹介を。

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( かつての 「たちかぜ」 型の CIC レイアウト )

そして艦型としては 「たちかぜ」 型の3番艦である 「さわかぜ」 ですが、1・2番艦とは CDS が大きく異なり次の 「はたかぜ」 型とほぼ同じものでこれはまだ現役艦ですし、またイージス艦などはとても元関係者の一人としては ・・・・ (^_^;


ただこの場でも強調しておきたいのは、海自が初めて CDS と言えるものを導入した 「たちかぜ」 型2隻の WES (後に OYQ-1 及び OYQ-2 と呼称) というシステムですが、出版物などの一部ではこれが米海軍のミサイル駆逐艦である 「C.F.アダムス」 級の近代化用に NTDS の簡易版として開発した JPTDS というものを参考にしたとされているものがあります。

本記事内でも書きましたように、実はこれは逆で、米海軍が海自用の WES の開発経験を参考にしたのが JPTDS なんです。

このことは WES が使用した米海軍の軍用コンピューターは当時米海軍でも広く使われていた CP-642B であるのに対して、JPTDS はその次の新しい UYK-7 となっていることでも明らかでしょう。

米海軍がいかに海自用とはいえ、そのソフトウェア開発にわざわざ古いシステムを持ち出すような面倒なことはしませんので。

ちょっとサイズが小さくて申し訳ありませんが、JPTDS のシステム・ブロックダイアグラムの公式図です。 私が根拠なく申し上げている訳ではないという一つの証拠 (まだ他にもあるのですが) ということで (^_^;

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そしてもう一つ、私の記事中に挿入されている写真とその解説文については基本的に編集部さんにお任せしております。

記事の内容を補足していただけるような写真と解説を入れていただきましたが、ただ一つ、5インチ砲の Mk45 Mod4 については、これの導入について現場の用兵者としては異論がある (あった) という内容に変えていただきました (^_^)


本号の特集、他にも面白い記事が色々並んでおりますので、もし書店の店頭で見かけられましたら、是非手にとってご覧下さい。

posted by 桜と錨 at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと

2018年06月29日

SO-2 と SO-3 (続)


前述のとおり、SO-2 と SO-3 は小型・軽量でかつ大変に実用性に富んでいたことから数多くの小型艦艇に搭載されました。

もちろん両者は全く別個のレーダーですので、アンテナをはじめ、送受信機も電源も全て異なることはもちろんです。

が実は、レーダーの管制機と指示機は共通なのです。

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このことは、製造上はもとより、これを使う艦艇乗員の整備及び操作、そしてそれらの教育訓練上、極めて有効であることは申し上げるまでもありません。

これを共通化できるところにも米国の工業力及び技術力の高さ、底力がある、と言えるでしょう。

しかも、この SO シリーズや SG シリーズのレーダーなどは、大戦中に既に開発、製造、装備が行われていたのです。

これだけでも、当時の日本の国力ではとても太刀打ちできるところではありません。 戦後、海上警備隊が出来てこれらのレーダーが貸与艦艇と共に入ってきた時、旧海軍出身者達がびっくりしたのも無理はないことでしょう。

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2018年06月27日

SO-2 と SO-3 レーダー


コメント欄で懐かしいものの話しが出ました。

海上警備隊創設時から海自の初期まで使われた SO-2 と SO-3 というレーダーです。

当時のものとしては PF にも搭載されていた対空用の LA と水上用の LS、あるいは DE 以上に装備された SG シリーズなどの方がご存じの方が多いと思いますが、それらよりも数的には多かったこの2つのレーダーについてはあまり知られていないのではないかと思います。

SO-2 は、海上警備隊では米海軍から貸与された50隻の警備船 LSSL に装備された中出力の水上用レーダーで、米海軍では哨戒艇、上陸用舟艇、及び補助艦艇など数多く装備されました。

このレーダー、ビーム幅が水平9度、垂直23度あり、このため高角23度までの対空用としても使えました。

尖頭出力 60KW、周波数 3,000MHz、波長 10cmで、アンテナ回転数は 10.5rpmというものでした。 (その他の詳細データはまた何かの機会があれば。)

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また SO-3 は、掃海船(当時)に装備されていましたが、米海軍では魚雷艇や哨戒艇、上陸用舟艇、その他の小艦艇など、これも極めて多数が装備されました。

尖頭出力 20KW、周波数 9,100MHz、波長 3cmで、ビーム幅は水平3度、垂直9度で、アンテナ回転数は9rpmです。 (同じくその他の詳細データはまた機会があれば。)

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両者とも小型ながら実用性に優れ、まさに米国の工業力、技術力の成果と言えるものです。

海上警備隊では、全てについてまずは米海軍に学ぶという方針の下、これらのレーダーでも当初は英語のマニュアルを使っていましたが、日本人本来の気質なのか、どん欲までに米海軍からの知識を吸収し、すぐに新しく日本語のテキストを編纂するまでになりました。

私が所持するものは、昔これらの日本版からライフワーク資料として将来的に必要になると考えた部分をコピーしておいたものですが、この頃には既に元の米海軍のマニュアルはありませんでした。

そして現在となってはこれらの日本語版テキストも残されているのかどうか ・・・・ ?

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2018年02月27日

米海軍の遠征打撃部隊 (ESF)


『世界の艦船』 4月号の拙稿補足です。

同号の特集『現代の海戦』に掲載していただきました私の 『海戦の変容について 19世紀から今日まで』 で、紙幅の関係で省略せざるを得なかったものの一つが、米海軍の「遠征打撃部隊」(ESF、Expeditionary Strike Force) の考え方のイラストです。

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( 米海軍の公式資料から )

これは、従来の 「両用即応群」 (ARG、Amphibious Ready Group) を大幅に強化して 「遠征打撃群」(ESG、Expeditionary Strike Group) とし、これ単独でも、そして 「空母戦闘群」 (CVBG) の名称を改めた 「空母打撃群」 (CSG、Carrier Strike Group) と組み合わせた強力な遠征部隊としても、状況に合わせて柔軟に対応できるようにしたことを表すものです。

文章でご説明するよりこのイラストをご覧いただけば一目瞭然かと。

そしてこの ESF の運用法に切り替わった当時の ESG の標準的な戦力見積もりは次のとおりとされています。

ESF_03.JPG
( 米海軍の公式資料から )

米海軍と海兵隊とは一つの Naval Forces あるいは単に Navy と呼ばれるものであるのは何故なのか、ということの本質の一旦である米海兵隊のモットーの一つ “Marine is Navy in sense” を端的に表していると言えるでしょう。


翻って、日本ではどうなのか。 間もなく陸上自衛隊に水陸機動団が編成されるようですが、単に陸兵に水陸両用車を与えて米海兵隊と一緒に訓練し、これを海自の輸送艦などで運べば海兵隊として運用できる、などと簡単に考えることは大きな誤りであることは理解していただかなければなりません。

あるいは大きな船体の 「いずも」 型護衛艦に F-35B を乗せるようにすれば空母代わりになる、なども同じことです。

そもそも “基本設計の段階で考慮されていた” などは本当でしょうか? 俄には信じられない話しです。

確かに 「いずも」 型は船体は大きくスペースだけは余裕がありますが、現状はヘリ空母としても強襲揚陸艦としても極めて中途半端な性能のものです。 災害派遣などの多目的用途の艦といえば聞こえは良いですが。

まさかこの現状での必要以上に大きなスペースのことを指しているわけではないですよね?

しかも、実際に格納庫を含めた艦内を見た限りでは、将来的な F-35B の搭載・運用に対する考慮は全く感じられませんでしたし、ましてや後からの改造・改修は莫大な費用がかかることを忘れてはならないでしょう。

「おおすみ」 型の二の舞、というか、とてつもないことになりそうですが ・・・・

( 当時 「おおすみ」 の基本設計審議の場であれほどしつこく声を大にして言ったにもかかわらず、防衛も技術も全く聞く耳を持ちませんでしたから )

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2018年01月21日

護衛艦 「きりしま」 の建造経歴書


先ほど本家サイトの今週の更新として、『現代戦講堂』 の 『資料展示室』 コーナーにて 「きりしま」 の 『建造経歴書』 を公開しました。

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これは 「きりしま」 を建造した三菱重工長崎造船所が、その契約に基づき作成して平成7年3月16日の竣工・引渡し時に納入した膨大な完成図の冒頭にある一つです。


ご存じのとおり 「完成図」 というのは建造図面を含む造船所が係わった総てのものを纏めたものです。 これと各装置・機器の 「取扱説明書」 などを始めとして、当該造船所以外で契約・製造に係わったところのものも総て集めたものが 「完成図書」 です。

そして建造所の 「完成図」 の内、個々の建造図面などは 「完成図書」 として作成・納入される時には縮小された上で製本されるのが通常です。

今回本家サイトでご紹介する 『建造経歴書』 はこの完成図の最初にある、いわば能書きですから、内容的には秘密に係わるものは全くありませんで、ほとんどが既に一般に知られている事項ばかりです。

とは言え、こういう公式なものが公開されることはほとんどありませんので、珍しいものと思います。


この 『建造経歴書』 を含む 「完成図」 を始めとする 「完成図書」 一式は、海上自衛隊創設以来建造されてきた艦船総てについて、同型艦といえども省略されることなく一隻一隻それぞれのものが作成され、当該艦船の就役に合わせて防衛省・海上自衛隊に納入されてきました。

したがって、これまでのものを総て合わせると膨大な数量になります。 現役艦ならともかく、除籍となった艦船についても本来なら保存・保管されていなければならないはずですが、今現在本当にこれら総てがキチンと揃っているのかどうか ・・・・ ?

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2017年12月03日

本家サイトの今週の更新


本家サイトの今週の更新として、先ほど 『現代戦講堂』 の 『資料展示室』 コーナー中の 『幹部候補生学校SG集 (昭和48年度)』 にファイルを追加しました。

と言っても、今回追加したのは20〜30ページ程のものばかりですが (^_^;

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何しろ当時の質の悪い藁半紙にガリ版刷りですので、成形とゴミ取りに手間がかかりますので、ページ数の多いものにはなかなか取りかかれません。

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「機関 (蒸気 上)」 と 「同 下」 でも合わせて200ページ以上ありますし、「乗艦実習必携」 などは400ページを超えますので。

今後とも手の空いた時に少しずつ増やしていく予定です。

なお、SGファイルの追加に伴い、この1年間の課程での座学内容を掴んでいただくために、トップページをリニューアルしました。


posted by 桜と錨 at 14:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと

2017年10月02日

北朝鮮問題と米国の国益 (2)


前回の(1)でお尋ねした日本国憲法第9条の文言ですが、多くの方がご承知の通り、「国権の発動たる戦争」 と 「国の交戦権」 の両者ともその定義はなされておりません。 もちろん 「武力行使」 とは何かについてもありません。

そんなことは言わなくとも国際法に照らして常識のことだろう、とか、憲法学者の解釈では、とか色々言われる方もおられるかもしれませんが、そのようなことはこの憲法に基づく様々な法令・法規では何の役にも立ちません。

もちろん憲法学者の解釈はあくまでもその人の解釈であって、一つの学説には成り得るかもしれませんが、根拠にはなりません。

つまり、マスコミや評論家、護憲活動家と称する人々を始めとして、言っていることはその時その時の“感情論”“感覚論”に過ぎず、それどころか国会での議論でも結局は単なる“神学論争”の域を出るものではありません。

例えば、尖閣諸島を巡る問題について、仮に中国側と日本の巡視船側との間で万一銃撃戦にでもなった場合、これを憲法上どのように解釈するのでしょうか?

巡視船といえども日本国の公船ですのでこれを 「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段として」 でないと、誰が何を以て保証するのでしょう?

憲法9条の文言は実に曖昧な表現のものであり、そしてそれがどういうものであるかの定義は日本のどのような法令・法律にも定義がなされていないのです。


そしてもう一つの米国の場合です。

これもこの問題に詳しい方はご存じでしょうが、実は米国は第2次大戦以降国家として1度も戦争をしていないのです。

朝鮮戦争、ベトナム戦争、近くはアフガニスタンへの武力行使、湾岸戦争、イラク戦争などなど、これらは一般的にその大規模な紛争の形態から “戦争” と呼ばれていますが、米国にとっては単なる武力行使、武力介入であって国家としての戦争行為ではありません。


では米国における国家としての戦争とはどのようなものを言うのでしょうか?

米国が戦争と呼ぶのは2つの条件を満たす場合です。 即ち、

 1.対外的に行う宣戦布告 (declaration of war)
 2.国内的に行う戦時体制下の宣告 (time of war by declaration)

米国大統領は対外的な武力の行使についても非常に大きな権限を持っておりました (今でも大きいですが)。

このため米国として上記の2つを満たさなくとも、つまり米国として戦争をしなくても、例えばベトナム紛争の時のように50万を超える米軍を派遣し、北ベトナムに対して空母や爆撃機による空爆を実施しても、これは米国にとっては単なる武力行使、武力介入であって他国との戦争ではなかったのです。

このベトナム紛争を契機にして、大統領がその権限をもってこのような事を起こさないように (ムチャをしないよう) 1973年の戦争権限法 (The War power act of 1972, Public Law 93-148) をもって大幅な制限をかけたのです。

これにより大統領が対外的に武力行使を行う場合には、事前にその状況や前提、条件、武力行使の限度などについて議会の承認が必要となり、かつ適切な報告がなされるべき事が定められました。

例えば、2002年のイラクに対する武力行使の場合の議会の承認は次のようなものでした。

「Authorization for Use of Military Force against Iraq Resolution 2002」
(Public Law 107-243, Oct 16 2002)

Auth Act Use Mil Power IRAQ Oct2002_cover_s.jpg
( 左クリックでPDF版を別ウィンドウ表示 )

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2017年09月29日

北朝鮮問題と米国の国益 (1)


本論について入る前に、まずご来訪の皆さんにお尋ねいたします。

我国の憲法では

「第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

と規定されています。

ではこの第9条でいう 「国権の発動たる戦争」 や 「国の交戦権」 の定義は何でしょうか?

ついでにもう一つ。

第2次大戦以降今日まで、米国は国家として一体何回 「戦争」 をしてきたのでしょうか?

マスコミ、政治家、評論家、それに9条信奉者と言われる人達は、本来ならこんな基本的かつ重要なことさえキチンと理解せずに、単なるその場その場の “感情” “感覚” でものを言っているに過ぎないとしか見えないのですが ・・・・

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2017年09月18日

1日遅れの本家サイトの更新


既にお知らせしたとおり、大風邪を引いてしまい、昨日予定していた本家サイトの定期更新ができませんでしたので、一日遅れで準備済みのものをUPしました。

『現代戦講堂』 の 『資料展示室』 コーナー中で、昭和48年度の海上自衛隊幹部候補生学校第1課程 (防大卒) 用スタディガイド集に 「潜水艦概説」 「航空機一般」 「機雷掃海」 の3つを追加公開しました。

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いずれも秘密文書でもなく、秘密事項も全く含まれておりません。 それに45年も前のものですので、内容的には少々古いですが、それでもそれぞれの基礎的事項を知る上では面白いものがあるかと。

当時の幹部候補生はこんなことを習っていたんだと思っていただければ幸いです。 それに所々今まで一般に出たことのないデータもありますので。

本当はもう一つ、北朝鮮関係で別な文書を準備中だったのですが、上記の都合で間に合いませんでしたので、これは後日といたします。

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2017年09月11日

『核兵器の効果』 コンテンツ追加


昨日本家サイトで今話題の電磁パルス (EMP) ついてのところを中心に 米国防省の1977年版 『核兵器の効果』 の第10章と第11章を公開 したところです。

ついでですので、本日既に出来上がっている 目次、第1章及び第2章、巻末の用語解説などを追加 しました。


特に邦訳版の第2章の写真画像については全て原典のものと入れ替えましたので、原紙にあるものよりは格段に見栄えが良くなっていると思います。

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残りの分もまだまだありますが、ちょっと手間暇がかかりますのでいつになるか ・・・・ 気長にお待ち下さい m(_ _)m


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2017年09月10日

米国防省 『核兵器の効果』 1977年版


本家サイトの今週の更新として、昨今話題になっております北朝鮮の核兵器問題に関連して、 『現代戦講堂』 コーナーの 『資料展示室』 にて、米国防省が1977年に出した 『核兵器の効果』 (The Effects of Nuclear Weapons) の原典版と邦訳版の公開を始めました。

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とはいっても、前者で約650頁、後者は約740頁もありますので、ゴミ取りと整形、そして邦訳版は写真の原典版からの入れ替えなどでとても一度にはできません。

今回は取り敢えず、電磁パルス(EMP)を中心として、第10章と第11章をUPしました。

一部マスコミではどこから持ってきたのか判らないような孫引き、曾孫引きのようなものもあり、中には電離によるブラックアウトとEMPさえごちゃ混ぜにしたものも見られる始末です。

ちょっと古い資料ですが、こういうキチンとした文献で基礎的なことの理論武装をしていただきたいと思う次第です。

なお、この第10章と第11章には写真はありませんが、グラフとイラストについては原典版の方が格段に綺麗ですし、日英の専門用語をチェックするためにも両者の対比をしながらお読みいただけると宜しいかと。


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2017年08月06日

1943年米海軍 ONI 発行 『U.S.S.R. Navy』


標記の公文書ですが、以前こちらでご紹介して暫く本家サイトの空きエリアに置いておりました。

03_Soviet_Navy_1943_cover_s.JPG

「第2次大戦中のソ連海軍について」 :
    http://navgunschl.sblo.jp/article/26365448.html

本家サイトに『現代戦講堂』を設置しましたので、この度サイトの今週の更新として、改めてそちらの『資料展示室』コーナーで公開するものです。

「資料展示室」 リスト :
    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/Modern_Warfare/Shiryo/tenji_main.html
「U.S.S.R. Navy」 :

本文書は2000年代になってから米海軍の公式サイトでも公開されたのですが、何故かネット上で広まることはなく、私の探し方が下手なのか、現在では Web 版になったものが1個所あるだけで、元々のPDF版のものは米軍サイトも含めて見つかりませんでした。 (Scribd にはある?)

1943年段階で米海軍が把握していたソ連海軍に関する情報を纏めたもので、今でもこの方面に関心のある研究家の方々にとっては貴重な公文書の原典であると思います。

本来なら 『史料展示室』 でも良いのですが、追々戦後のソ連海軍関係も公開していくつもりですので、これもあって 『現代戦講堂』 としております。

どうぞお楽しみください。

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2017年05月14日

「現代戦講堂」 新設!


懸案であった私の本来の専門である現代戦についてのコンテンツですが、取り敢えず本家サイト 『桜と錨の海軍砲術学校』 中に 「砲術講堂」 「水雷術講堂」 と並ぶ3つ目の講堂コーナーとして新設しました。

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当面は当ブログでの過去記事を纏め直したものなどを中心としますが、コンテンツがそれなりに増えてきたところで改めて運営形態について見直す予定にしております。

もちろん、内容的にはいわゆる “研究家” “評論家” と言われる人達のものとは異なり、実務の世界からの視点のものがメインとなります。

過日先行して単独で公開しました米海軍大学のテキスト 『潜水艦戦』 も改めてこちらに掲載しております。

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これまでの第2次大戦までの 「砲術」 や 「水雷術」 などとはちょっと違った分野をお楽しみいただければと思います。

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2017年04月30日

4月27日付 『朝雲新聞』


私が昨年から担当させていただいている同紙での 『世界の新兵器』 コーナーの艦艇編の第3回目です。

 『 沿岸域戦闘艦 「フリーダム」 級 』

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同コーナーは月1回で、陸・海・空・技術の4つを持ち回りですので、掲載は4ヶ月に1回になります。

そして1回が千字程度の紙幅ですので、如何に簡単・簡潔に紹介するかが最大の課題で、毎回頭を悩ますところです。

ご存じのとおり、現在米海軍が建造を進めている新艦種のLCSは2つのクラスの同時並行ですので、今回はロッキード・マーチン社の LCS-1 級で、もう一つの LCS-2 級は次の回になります。

このLCS、構想は面白く、実際の2クラスとも大変にユニークですので、私達元船乗りとしても興味の尽きないところがありますが、その反面現実的には様々な問題点を抱えていることも事実ですので、米海軍における今後の艦艇建造計画としてはまだまだ先が見えないところがあります。

こういうところも合わせて、次回でお話しする予定です。

『朝雲新聞』 といいますのはその筋ではよく知られているものですが、普通の一般紙とは少し性格が異なりますので、一般の方々が目にされることはなかなか無いかと思いますが、機会がありましたら是非ご一読を。

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2017年04月29日

米国による斬首作戦


またまた北朝鮮は性懲りもなく弾道ミサイルの実験を行ったが ・・・・

緊張を高める北朝鮮情勢について、ネット上でも米国による金正恩を狙った斬首作戦の実施が語られているところである。

先にも、米国の国益保護及びそれに影響を及ぼすことについては、米国はそれが例え他国の領土上であっても、必要があると判断した時は軍事力を行使することには躊躇しないことを書いた。

これには他国の権力者の殺害も含まれることは申し上げるまでもない。

この米国による斬首作戦は過去にも色々あるが、その最も代表的な例が1986年に 「リビアの暴れん坊」 と呼ばれた独裁者カダフィ大佐を狙った 「エルドラド・キャニオン作戦」 (Operation El Dorado Canyon)であろう。

既に30年も前のことであり、覚えておられない方も多いと思われるので、少しご紹介してみたい。


作戦実施に至る経緯については省略するが、85年に客船ハイジャック事件や空港における爆破事件2件などのテロに引き続き、西ベルリンでのディスコ爆破事件により米国市民に死者が出たことが直接の引金とされている。

この作戦は、1986年4月14日英国 Lakenheath 空軍基地駐留の第48戦術戦闘航空団のF-111F 24機と、Upper Heyford 基地駐留の第42電子戦航空隊の EF-111A 5機が飛び立ったことに始まる。

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リビアまでの飛行ルートはフランス上空を通過するのが早く、片道約1300マイルであったが、同国の承諾が得られなかったために大西洋をグルリと周り、ジブラルタル海峡を通って地中海に入る洋上ルートとなり、片道の飛行距離は約2500マイル、飛行時間13〜14時間となった。

このため事前に米本土から英国 Mildenhaii に進出した KC-10 19機及び Fairfor 駐留の KC-135 空中給油機9機の合計28機により、往路4回及び復路2回の計6回の給油を受けた。 この給油回数は、往路は低高度、復路はより高々度の巡航高度であったこともある。

なお、F-111F 24機の内6機は長距離作戦のための予備機であり、本隊と一緒に飛び立ったものの、第1回の空中給油の後英国の基地に引き返しており、実際の空襲を実施したのは18機であった。

目標はトリポリ周辺の次の3個所である。

  Al Azziziyah 駐屯地 : 海外テロ司令部があり、かつカダフィ大佐の居住地
  Sidi Bilal 港湾施設 : 海上テロ要員の訓練施設
  Tripori 空港 : 軍用輸送機基地としても使用

そしてリビア沖のシドラ湾には第6艦隊の空母 「アメリカ」 と 「コーラル・シー」 が展開し、空軍の空襲部隊に対する次の支援作戦を実施した。

  E-2C : 作戦空域の早期警戒と航空管制
  F-14 : 作戦空域のCAP
  EA-6B : EF-111A と共に電子戦支援、特にSAM砲台に対する電子妨害

加えて、空軍部隊のトリポリ空襲と同時並行して F/A-18 6機、A-6E 14機及び A-7E 6機により Benghazi 周辺の Al Jumahiriyah 駐屯地及び Benina 空軍基地、防空施設への空襲を実施した。

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この作戦において使用された主な攻撃兵器は、空軍の F-111F が 2,000lb 及び 500lb の Paveway 2 レーザー誘導爆弾であり、海軍の A-6E は 1,000lb の Mk82 Mod1 Snakeye 爆弾及び Mk20 Rocheye クラスター爆弾、A-7E は AGM-45 Shrike 及び AGM-88A HARM (High-speed Anti-Radiation Missile)、F/A-18 が HARM であったとされている。


この作戦の計画立案開始は4月7日とされており、これだけの規模の海空軍の共同作戦を僅か1週間で実行に移していることには注目していただきたい。 これが米軍の実力である。

しかも、英国はもちろん、フランス、ロシア、イタリアなどの関係各国政府には事前通報などが行われたが、関係者以外の世界各国がまさに寝耳に水、青天の霹靂の作戦であった。

そして作戦は完璧な奇襲であり、カダフィ大佐は運良く難を逃れたものの、養女を亡くしており(これは後日誤りであったとされた)、またトリポリ及びベンガジ周辺の目標地区の被害も甚大であった。

米側は F-111F 1機が未帰還となり、後に搭乗員2名の内の1名の遺体がリビア側から米国に引き渡されたとされている。

この空襲の後もリビアのテロ行為などはある程度続いたものの、この米国による斬首作戦により、「リビアの暴れん坊」 「狂犬」 と呼ばれたカダフィ大佐が次第に大人しくなり、かつ西側寄りになっていった直接の切っ掛けとなったことは事実である。


この様なまだ交戦下にない他国に対する米国による軍事力の行使は、その後の湾岸戦争劈頭のバクダッドに対して、そしてつい先日のシリアに対する大量巡航ミサイル攻撃の実施などをみてもその考え方がよく判るであろう。


そこで、最後に北朝鮮情勢である。

米国はその気になればこのリビア空襲程度の作戦はいとも簡単にやってのける実績を示しているのであり、しかもこのリビア空襲に比べれば、地理的かつ米側兵力の状況などははるかに容易であり有利である。

そして秘密保全は作戦の成否の鍵となるものであり、その事前の動静・徴候などがマスコミや評論家と称する人達に流れることはあり得ないことである。

まさに、ごく限られた関係者以外にとっては “ある日突然として” 実行されるのである。

もちろん政権中枢や主要軍事基地に対する空襲は、米国による軍事作戦上の一つの選択肢に過ぎないが、北朝鮮もその指導部の思考が “まとも” であるならば、このことは十分に理解しているであろうと考えるが ・・・・ ?

( 画像は当時の 「Aviation Week & Space Technology」 誌より引用 )
posted by 桜と錨 at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと

2017年04月18日

核兵器の効果


最近とみに北朝鮮情勢に関連して 「日本に弾道ミサイルを打ち込まれたら」 とか 「核弾頭が東京に落ちたら」 とか騒がれており、これに対して核弾頭についての記事がネット上でもあれこれ見られるようになりました。

そこで良い機会ですので、核兵器の効果について現在でも最も権威があり、かつこの分野について語る時の根拠文書となる資料をご紹介します。

それが、原爆を開発したことで有名な米国ニュー・メキシコ州にあるロス・アラモス科学研究所が1950年に出版した 『The Effects of Atomic Weapons』 です。

ENW_1950_cover_s.jpg
( 1950年版 )

そしてその後水爆が開発されると共に、両者を合わせた形に内容が全面改訂されて1957年に国防省から Samuel Glasstone が中心となって纏めた 『The Effects of Neclear Weapons』 として出版されました。

これは1962年に第2版となりましたが、64年に小改正が加えられて改めて第2版として出版され、更に77年には第3版となりました。

ENW_1957_cover_s.jpg  ENW_1964_cover_s.jpg
( 1957年版 )              ( 1964年版 )

ENW_1977_cover_s.jpg
( 1977年版 )

これらはいずれも現在ではネット上で公開されておりますので、この方面に興味のある方は是非入手してみて下さい。

とは言っても英文ですので私などはどうしても日本語になったものが欲しくなります。  ではこの資料の邦訳版はないのでしょうか?

実はちゃんとあるんです。 1977年の第3版の全文を邦訳したものです。

ENW_1977_cover_J_s.jpg
( 1977年版の邦訳版 )

ただし、これがどこで出されたものかは表記がありませんので不明です。 そして例によって今日となってはどこにどれだけ保管されているのか判りません。

これも興味のある方は探してみるとよろしいでしょう。 そしてこれと第3版の原本と比較しながら読まれると便利かと。


・・・・ で、これだけで終わってしまっては私のブログらしくありません (^_^)

もう少し具体的な核兵器の戦術的な使い方に関するものはないのか、というと、

これについては米陸軍及び海兵隊の共通マニュアルとして 『Nuclear Weapons Employment Doctrine and Procesures』 (FM 10103101、FMFM 11-4) というのが1977年に出ています。

FM101-31-1_cover_1977_s.jpg

これは本体が秘密事項を含まない普通文書として、そして秘密部分だけを纏めた補足文書の2つに別れたものです。 当然ながら後者は日本には渡っていないわけですが (^_^;

しかしながら、本体の普通文書のものの内容だけでも、使う側の視点に立った大変に興味のあるもので、日本人としてはちょっとギョッとしますし、また 「被害推定法」 「核兵器の効果」 「核兵器の効果に対する対応」 などの項目は前述の国防省編の 『核兵器の効果』 と合わせて読んでみるとそれぞれが良く理解できると思います。

ただし、こちらの方は残念ながら40年前の普通文書であるにも関わらず、何故かいまだにネット上では米軍サイトでも公開されていないようです。

そして私が見た原本も自衛隊が保有していたものではありませんので、今となっては残っているのかどうか ・・・・ ?

posted by 桜と錨 at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと

2017年03月22日

護衛艦 「くらま」 除籍


本日護衛艦 「かが」 の就役と入れ替わりで 「くらま」 が除籍となりました。 まあしかたがないとはいえ、私としては 「かが」 の就役ばかりが注目されてこちらに目が向かないのは少し淋しい気がします。

「はるな」 型に引き続いて建造された 「しらね」 型ですが、ある意味 「はるな」 型よりはこちらの方が何かに付け表に出てきましたので知名度は高かったように思います。 まさに海上自衛隊の一時代を画した艦と言えるでしょう。

折角ですので、こういうものをご紹介。 「くらま」 の艦内配置図の2枚です。 除籍になりましたので機会を見て残りも合わせた一揃いを公開したいと考えていますが、さてどのような方法が良いのか ・・・・ ?

Kurama_draw_01_s.jpg
( 左クリックで拡大表示 )

Kurama_draw_03_s.jpg
( 左クリックで拡大表示 )

posted by 桜と錨 at 20:33| Comment(8) | TrackBack(0) | 現代戦のこと

2016年12月26日

朝雲新聞 (2)


朝雲新聞の12月22日号が届きました。

「世界の新兵器」 コーナーでは私が担当する艦艇編の2回目として、今回はアルジェリア海軍の MEKO A-200AN 「エルラディ」 級を採り上げました。

Asagumo_Shinbun_h281222.jpg

( 文字が小さくて内容は読めないかもしれませんが ・・・・ 自衛隊及びミリタリー関係に興味のある方は是非定期購読を )

お馴染みドイツの MEKO シリーズの最新型で、満載排水量 3,700トンの船体に斬新なアイデアと多彩な兵器を盛り込んだ大変有力なフリゲートで、しかも建造費約500億円というものです。

日本の護衛艦の調達・建造形態からみると驚くべきものですね。


さて、次回は何にしましょうか。

posted by 桜と錨 at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと

2016年12月05日

シースパロー用射撃指揮装置 Mk91


ネットネタからです。 次の様なことが話題になっていました。

シースパロー艦対空ミサイル用のMk95イルミネーターには、2基のアンテナが横並びに配置されていまが、これを用いる目的は?

これですね。

Dir_Mk95_NSSMS_photo_02_s.jpg
( 注 : 左 (向かって右) が送信用、右 (向かって左) が受信用のアンテナ )

Dir_Mk95_NSSMS_sche_01_s.jpg

NSSMS (Nato Sea Sparrow Missile System) の射撃指揮装置 (MFCS、Missile Fire Control System) Mk91には、Mk95というミサイル用方位盤 (Missile Director) が用いられています。

通常のセミ・アクティブ方式のミサイル・システムでは目標追尾用のレーダーと、ミサイルを目標に誘導するための誘導波 (イルミネーター) との2種を使用しています。

発射されたミサイルはこの誘導波の目標からの反射波を受信してその方向に向かうようになっており、通常は連続波 (CW、Continuous Wave) が使われます。 シースパロー・ミサイルの元の空対空用のスパローも同じです。

このスパローを艦載用にしたのがシースパローですが、射程そのものが短い近接防御用ですので、その射撃指揮装置もターターやテリアなどのように大がかりなものにすることはできません。

このためこの誘導用のものを目標の追尾にも使うことにしました。 これが BPDSMS (Basic Point Defense Missile System) の射撃指揮装置Mk−116で、その方位盤がMk76です。

Dir_Mk76_BPDMS_01_2.jpg

このMk76の架台は元々が40ミリ機銃や3インチ砲用の射撃指揮装置であったMk63のものを流用しています。

そしてこれに送信用 (左) と受信用 (右) のアンテナを、そしてその中間上部に光学照準器を装備しました。 これにより元のMK63と同じように人力操作で目標を捜索し追尾するようになっています。

このMk76を自動操縦にしたものが NSSMS の米海軍バージョンのMk95です。

送信・受信用アンテナの中間上部にあるのはMk76の光学照準器に換わる LLLTV (Low Light Level TV)、つまり高感度テレビカメラで、FCS操作員がコンソールでこれの映像を見ながら目標の捜索・確認と追尾補助に使うことができます。


では、このCW波でどうやって目標の位置、特に距離を測るのでしょうか?

通常のパルス・レーダーでは、パルスを発信してから目標に反射して戻ってくるまでの時間を計測して距離を算出します。

そして1つのアンテナを使い、パルスを送信する時以外は受信モードにすることによりこれを行っています。

したがって電波が出っぱなしになるCWレーダーの場合は、必然的に送信アンテナとは別に受信アンテナの2つが必要になります。

また、当然ながら連続波では発信から受信までの時間差が測れませんので、これで目標の追尾を行うためにパルスに換わって連続波にFM変調をかけることにより、この周波数が変わるところを測って距離を出すのです。


実はこのMK95を使用した 米海軍の NSSMSですが、TAS Mk23と組み合わせた IPDMS (Improved PDMS)として、大変に素晴らしい近接防禦システムを構築しています。

もう40年近く前にそのプロトタイプを見る機会がありましたが、その時既にNTDSや三次元レーダーMK48C (受信データをディジタル化して目標の自動探知自動追尾機能を付加したもの) と組み合わせた改良型とすることが決まっておりました。

NSSMS_Report_Cover_s.jpg
(後に後輩への啓蒙活動のために纏めたもの)


ハッキリ申し上げて、ハードウェアはともかくとしてソフトウエアにおいて、そのプロトタイプ当時でも現在の海自の短SAMシステムより思想的に進んでいると思います。
posted by 桜と錨 at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと