2013年05月24日

モデル・アドバイザーの独り言 (20)

◎ 第10巻 「加賀」

シリーズ第10巻は 「加賀」 です。 1932年 (昭和7年) の三段飛行甲板当時の姿。

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当初は第9巻でしたが、全国版では一つ後の第10巻となりました。

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( パッケージの表  左が静岡版、右が全国版 )

既に第2巻で1942年 (昭和17年) 時の最終時 (一段全通飛行甲板改装後) の 「赤城」 が出ておりますので、「加賀」 では当初の三段甲板時代が選ばれました。 中にはこの 「加賀」 も改装後の姿で 「赤城」 と並べて飾りたかったという方もおられるとは思いますが、本シリーズのバラエティさを出すための選択とお考え下さい。

モニターをされているHN 「おまみ」 氏の評価記事は次のURLです。


既刊のものと同じく、この 「加賀」 も私が関わり始めたのは既にテスト板が出来てからでした。

実はこの 「加賀」、今までの中で最も難産のもの。 それだけに沢山の問題点も残ったままとなってしまいました。

最初のテスト・ショット段階での最大の問題点だったのが艦底形状。 ペタンとした平らなもので作られていましたので、まずこれを直すのが大騒動でした。

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( 上がテスト・ショット、下が今回の全国版 )

その他、数多くの要修正点についてアドバイスをしましたが、容れられなかったものも多いですし、容れられたアドバイスもどのように修正されたのかはこの全国版のサンプルを先日入手するまでは私自身にもほとんど判りませんでした (^_^;

スケジュール的にフィードバックする余裕がなかったと言えばそうなのでしょうが、この辺にも現在の開発体制の問題点があることも確かです。

そして、私としては今回の 「加賀」 モデルで直らなかった大きな問題点は次の3つです。

1.上部及び下部飛行甲板の木目のモールドがない。
2.艦橋の形状が異なる。
3.艦尾短艇甲板が不良。

1.は言わずもがなで、「赤城」 ではキチンと表現されていたのに、何故省略されてしまったのか。 当時の空母のモデルとしては重要なポイントなのですが ・・・・ ?

2.は一艦の顔でもあるので絶対に直さなければダメとアドバイスしたのですが 「無理」 との回答でした。 何が無理なのかは判りませんが (^_^;

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3.はテスト・ショットでは斜めになっていましたので、水平に直すようにアドバイスしたのですが、何故かこのような訳の判らない状態に (^_^;

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( 左がテスト・ショット、右が今回の全国版 )

これらに比すれば、おまみ氏から 「やっつけ感」 と指摘のあった高角砲の形状の問題は小さい方かと。 もっともこの高角砲の形状もアドバイスしたんですが、その時既に直す気はなかったようです。

それでも、塗装やマーキングなどはある程度修正されました。

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( 下がテスト・ショット、上が今回の全国版 )

また、このシリーズの問題点の一つである艦載機についても、今回は何とかそれらしくはなりました。 細部の塗装は我慢していただくとして、ですが (^_^;  (実は、この細部の塗装指示も一体どの段階で誰が出しているのか判りません。)

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( 上がテスト・ショット、下が今回の全国版 )

もっとも、下部飛行甲板が途中からやや前下がりになっていることや、上部飛行甲板が艦尾方向にやや高くなっていることまでを要求するのは、このスケールとしては難しいところがあります。

そして、組み立て・塗装の状況もシリーズ当初からすれば少しはマシになってきました。 が、その反面、全体の出来がアッサリし過ぎ (手抜き?) の傾向が出てきたのではないかと危惧される点ではあります。


ところで、おまみ氏からの指摘のあった下部飛行甲板ですが、ここが当初から木甲板であることは間違いのないところです。

ただし、昭和7年当時の色がどうだったのかはよく判りません。 建造 (空母改装中) の写真でも既に上部飛行甲板とは色が異なって見えます。

また有名な昭和5年の素晴らしい写真では明るい灰色に塗られているようにも見えますが (このためテスト・ショットでは明灰色になっていたのですが)、もしそうだとすると何故そのようにしたのかの疑問もあります。 全くその必要性はありませんので。 あるいは単に光の加減なのか ・・・・ ?

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このため、本モデルでは木甲板であることを考慮して敢えて上部飛行甲板との色の差は出しませんでした。

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( 昭和7年撮影とされる下部飛行甲板 )

結論からすると、色々問題点はありますが、このスケールでのシリーズものとして他の艦艇と一緒に並べる上で、この三段飛行甲板の姿がモデル化されたところに価値があると言えるでしょう。 それがこのシリーズの基本コンセプトでもありますから。


さて、次巻はシリーズ初の重巡。 「鳥海」 ですが、これも出来がちょっと心配なものの一つでして ・・・・

2013年05月27日

1/1100 「金剛」 ディティールアップ

高野山行などの記事を書いていたら、ちょっとご紹介が遅くなってしまいました。

イーグルモス社の 「世界の軍艦コレクション」 でモニターをされているHN 「おまみ」 氏の手になる第5巻 「金剛」 モデルのディティールアップです。


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前回 「大和」 「武蔵」 モデルのディティールアップ記事をご紹介しましたが、今回もまたまた素晴らしい出来になっております。

そして、いつもどおり氏のディティールアップ・テクニックも詳細に紹介されているのは嬉しいところです。

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この 「金剛」 モデルで一番の問題点だった前甲板の繋ぎ目がキチンと修正されのはもちろんのこと、前艦橋の大型遮風装置も再現されるなど随所に手が入り、全体が見違えるようになりました。

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ディティールアップ完成後の詳細についても、次のURLで大きなサイズの写真が紹介されていますので、併せて是非ご訪問下さい。


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う〜ん、こうなるとやはり高角砲などのディティールアップ・パーツが欲しくなるところですね (^_^)

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本項への画像の引用転載については氏から許可をいただいております。

2013年06月01日

モデル・アドバイザーの独り言 (21)

◎ 第11巻 「鳥海」

シリーズ第11巻は 「鳥海」 です。 1940年 (昭和15年) の開戦直前の姿。

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本シリーズ最初の巡洋艦ですが、何故これが選ばれたかというと、最も資料が手に入りやすくしかも鮮明な写真が残されていること、らしいです (^_^;  私がお手伝いを始める前に既にこれで決まっていましたので。

もちろん 「鳥海」 は改装らしい改装もなくそのまま開戦に臨み、特に大きな損傷などを受けることなく戦歴を重ねて、レイテ沖海戦で最後を迎えましたので、年代設定も含めてこれで良かったのですが。

モニターをされているHN 「おまみ」 氏の評価記事は次のURLです。


今までのものに比べればそれなりに良い評価をいただいているようですが ・・・・ 実はこれも今回全国発売されるまでは大変に心配、というかヤキモキしたものの一つです。

あれやこれや色々とアドバイスをしたのですが、デザイナーさんや中国メーカーになかなか上手く伝わらず、何度も手直しが (^_^;  そして結局例に漏れずスケジュール的な制約から反映されなかったことも数多く出てしまいました。

したがって、私とすれば前回の「加賀」と並び、よくまあここまで何とか見られるものになった、という気持ちが強いものの一つです。

この 「鳥海」 モデル、結果として私的に不具合として残った主なところは、

     1.艦橋前面の部品分割法
     2.主錨はもちろん、前部・後部甲板の艤装品類の表現の欠落
     3.2・4番主砲塔下の支筒部の形状不良
     4.中部シェルターデッキのモールド及び塗り分け誤り
     5.艦尾の鉄甲板部分の塗り分けの欠落

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などなどというところでしょうか。 上記はいずれもイーグルモス社には指摘したのですが、結局容れられないままでした。

特に1.の艦橋前面部品の両サイド接合部に大きな溝が出来てしまっていることは、ここが艦の顔であり、「高雄」 型のウリの一つでもありますので、非常に残念なところです。

その他、艦橋構造物下部両舷にあるシェルターデッキ通路やラッタル等々、言い出すとキリがありませんが、あまり細かいところを指摘しても、スケール的にもコンセプト的にも過剰要求になるものもありますので ・・・・


しかしながら、モデル・アドバイザーの一人として最も不満なのは、前部及び後部煙突両脇に表現された機銃です。

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前部煙突両脇の機銃は、デザイン段階で 「ここには機銃はないよ」 と写真や図面を示して指摘し、一度は修正されていたのですが、いつの間にか知らないうちに元の状態に。

また後部煙突両脇の機銃は、元々のデザインでも正しく13ミリ4連装機銃になっていたのですが、これまたいつの間にか25ミリ連装機銃に。

イーグルモス社の担当者に理由を質したのですが、確たる理由説明もないまま、いつもの 「今からでは間に合わない」 (^_^;  それはないでしょ、と思うのですが ・・・・


そして今回のモデルの最大の不具合は部品の合いの悪さでしょう。 船体と上甲板の接合部はともかくとして、何故これ程まで至るところに隙間や段差が出来てしまっているのか。

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シリーズ既刊のものもそうだったのですが、これまでの戦艦や空母に比べるとスッキリしたシンプルな形状ですし、組立なども少しずつ良くなってきましたので、余計に目立ちます。

この部品の合いの悪さも毎回毎回指摘してはいるのですが、顕著な改善は今のところ見られません。 この辺はシリーズの今後のことを考えるともう少し何とかしたいところですね。


とは言っても、おまみ氏の評価通り、全体のスタイルとしては本シリーズのコンセプトに合致した出来であると思います。

もちろん、本シリーズ共通の問題である組立・塗装については徐々に改善されつつありるとはいえ、相変わらず残っていることは事実です。

予定どおりの80巻まで完結するには、引き続きイーグルモス社及び製造の中国メーカーの改善努力を期待するところですね。


残念ながら本シリーズのスケール・モデルとしての完成度は、現在の1/700ウォーターライン・シリーズのような市販のプラスチック組立モデルのレベルのようにはとてもいきません。

これはこの連載当初にも申し上げたところですし、当然のことならが、それら組立モデルと比較して論ずること自体が筋違いなことです。 目的が異なるのですから。 それに加えて、商業流通商品というコストの面から致し方ないところも多いので。

より精密度のある、よりクオリティーの高いものを要求される方々には、組立モデルの方をお薦めします。 そして納得のいかれるところまで手を入れられるとよろしいかと。 80隻揃えて並べる、手間暇と、腕と、根気と、財力があれば、ですが (^_^)

2013年06月15日

モデル・アドバイザーの独り言 (22)

◎ 第12巻 「日向」

シリーズ第12巻は 「日向」 です。 1941年 (昭和16年) の開戦時の姿。 来週18日には書店店頭に並ぶはずです。

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第6巻の 「伊勢」 は航空戦艦に改修後の姿でしたので、本シリーズのコンセプトに従い、この 「日向」 は元の戦艦としての姿を選定しました。

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そして、今回から予告どおり再度パッケージが変更になりまして、ちょっと変則的ですが中のモデルが見える (というより、モデルの状態を確認した上で購入できる) 形になりました。

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このため、今までのパッケージ表のデザインは同梱される解説書の裏表紙に印刷され、この面がパッケージの底面になるようなっています。

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当初のカバーを開くと中が見える形のものは、コスト的な問題から第6巻から変更されて全く中が見えないものとなってしまいました。

テスト販売のときからこれでは絶対にダメとアドバイスしてあったのですが、受け入れられないままとなりました。 結局のところ購読者の皆さんの酷評を浴びまして、やっとイーグルモス社としても自覚をした結果、この様な形で反映されたものとご理解下さい。

もちろん、本シリーズが当初から製品の出来の個体差があまりにも大きいことが問題なのですが、最近のモデルではかなり改善されてきたとはいえ、やはりその出来を直接確認してから購入できることは、安心感に繋がると思います。

これで定期購読の方だけではなく、書店で直接手にとってから購入される方も増えてくれると嬉しいですね。


さて、モニターをされているHN 「おまみ」 氏の評価記事は次のURLです。


今回の 「日向」 も、前回の 「鳥海」 に引き続きそれなりに良い評価をいただいているようですが ・・・・

実はモデル・アドバイザーとして一つお断りしておかなければなりません。

今回の 「日向」 については、諸々の事情がありまして、私はモデルデザインの段階までしか見ていません。 というかその段階までしか関与していません。

したがいまして、モデルデザインの段階でアドバイスしたことがどの様に反映されたのか判らないままモデルのテストショットが作られ、今回の製品版となっておりまして、私としてもアドバイス後どうなったのかを製品版となって始めて見ている状況です。

このため、製品版にはおまみ氏のご指摘を含め沢山の問題点がありますが、すべてモデルデザイン以降に残ってしまった、あるいは発生したものであるとご理解ください。 私がモデルデザイン以降もチェックさせていただけたならば、考証上の主要な問題点はすべて修正し得たものと思いますが ・・・・

私としての大きな問題点は次のとおりです。

1.消磁電路が表現されていない。
2.前檣楼下両舷のカッター及びそのボートダビットがない。
3.艦載機の塗色が違う。
4.舷窓があり得ないところにまで表現されている。

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1.及び2.についてはモデルデザインの段階で、3.については初めのモデル・プランの段階から指摘してあったのですが、何故か聞き入れられないままとなってしまいました。 誰が何時どの段階で判断してこのようにしたのかは判りません。

4.については、おそらくメーカーでは何も考えずに左右同じように舷窓の黒点を塗ってしまったものと思いますが、テスト・ショットの段階で誰も気付く者がいなかったのでしょう。

なお木甲板とリノリューム甲板のモールドについては、私が見たモデルデザインの段階ではその表現がありませんでしたので、是非とも必要とアドバイスした結果がご覧いただく製品版のようになりました。 おまみ氏の指摘のとおり、木甲板の表現については好みの別れるところかと思います。

その他、モデルアドバイザーとして細かい点を挙げればキリがありませんが、1/1100スケールの本シリーズにあまり過剰要求をしてもと思います。

それよりも、私としては第12巻になってやっとこのレベルにまでなったか、という思いの方が強いもので (^_^)


なお、おまみ氏からも指摘のありました艦橋の窓枠表現ですが、これはもう少しあとの巻から多少は改善されるはず (と思います) です。

まあこのスケールとしてはちょっとオーバー過ぎる気がしないでもありませんが ・・・・ (^_^;

2013年07月10日

モデル・アドバイザーの独り言 (23)

◎ 第13巻 「陸奥」

バタバタしておりましてちょっと遅くなりましたが、シリーズ第13巻の 「陸奥」 です。 1923年 (大正12年) に屈曲煙突とされた時の姿。 

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第3巻の 「長門」 は1944年の姿でしたので、本シリーズのコンセプトに従い、この 「陸奥」 は戦前に日本国民に最も親しまれたこの姿を選定しました。

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そして、この 「世界の軍艦コレクション」 シリーズはこの第13巻をもって先行していた静岡版の発売に全国版が追いついて1本化されました。 これからは全国版一つのみとなります。


さて、モニターをされているHN 「おまみ」 氏の評価記事は次のURLです。


ただ、おまみ氏の 「戦闘艦橋のウィング」 というのがどこを指すのか判りませんが ・・・・ そもそもこの当時はまだ 「戦闘艦橋」 というのがありませんので ・・・・ ?


このモデルについて (そしてこの後の暫くの間のモデルについても) モデル・アドバイザーの一人としてのお断りしなければなりません。

実は今回の 「陸奥」 についても、前回の 「日向」 と同じように諸々の事情がありまして、私はモデルデザインの最初の段階までしか見ていません。

しかもそのアドバイスに対するレスポンスさえ知りませんので、おまみ氏の指摘も含めて、私には実際に販売されたこの製品の問題点等についてはお答えのしようがありません。

したがいまして、今回のモデルで最大の問題点である前檣楼の脚数や各プラットフォームの形状などについて、そしてその他の諸々の点についても、全てコメントを控えさせていただきます。


ただし、おまみ氏の 「屈曲煙突は1924年」 であり考証ミスというご指摘については、「陸奥」 は1923年の秋に屈曲煙突への改造工事に入っておりますので、残念ながらこれで間違いではありません。 わざわざ屈曲煙突の姿とするために年代設定したのですから。

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(補記) : 現在イーグルモス社に対して、本 「世界の軍艦コレクション」 で予定している今後の日本艦について、そのモデル開発体制について一つの改善提案を行っております。 もし受け入れられたならば、少なくともモデルデザインについてはかなりの改善が図られるものと期待しております。

これが実現すれば後は中国メーカーでの製造体制の改善なのですが、ただしモデルデザインのレベルが製品として確保できるのか ・・・・


2013年07月29日

モデル・アドバイザーの独り言 (24)

◎ 第14巻 「翔鶴」

すっかり遅くなってしまいましたが、シリーズ第14巻の 「翔鶴」 です。 1942年の南太平洋海戦時の姿。 

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モデルの設定時期の選定については、「赤城」 がミッドウェー海戦時の通称 「ミートボール」 が画かれた姿であったことと、イーグルモス社側から電探装備時期の要望がありましたが、あまり遅い時期になると今度は 「瑞鶴」 との問題が出てきますので、この設定になりました。

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モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価などは次のURLにUPされています。


全体的な評価については私もほぼ同意できるところですが、船体外舷色 (灰色) については既に申し上げているとおり、日本艦だからもっと暗い色でなければ、という意見には元船乗りとしては違う意見を持っております。 もちろんそれでも多少明るすぎることは思いますが。

また、今回から艦載機が付属部品となっているところですが、これについては意見の分かれるとことでしょう。 自分で好きなように並べられる反面、接着しないと紛失しやすいですし、折角別部品とするならもっと精密にという人や数が少ないという人もおられるでしょう。 まあ、これをイーグルモス社としてのシリーズ改善努力における試行の一つという目で見て下さい。

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そして申し上げておかなければならないことは、第12巻 「日向」 からのことですが、この 「翔鶴」 についても私がアドバイスが可能であったのはモデル・デザインの初期までです。

したがって、モデル・デザインの最終的な状態も、モデル原型も、組立・塗装済みのテストショットも全く関係しておりませんで、この製品版を見てその出来を始めて確認している次第です。

その点を踏まえて、私としてのこの 「翔鶴」 モデルについての主たる問題点は、次のとおりです。

     1.艦首形状が違う。
     2.飛行甲板がやや波打っている。
     3.全体の造形がやや雑。
     4.舷窓などの塗装が雑すぎる。
     5.飛行甲板の塗り分けが全く不充分。

1.については最初のモデル・デザインの段階で形状が違うよと、船体線図や公式図面、イラスト、大型模型の参考写真などを示して指摘したのですが、バルバスバウは表現されたものの、側面形状が違ったものとなってしまっています。

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いつどの段階で、誰がこのようにしてしまったのか判りませんが、何のための私のアドバイスだったのかと思っています。

2.は個々の出来の問題かもしれませんが、少なくとも私のものでは飛行甲板の船体への装着不良で、横から見ると全体がやや波打っています。

3.については、精密度というより形状などの造形がやや雑すぎるといえるでしょう。 これが購読者からの “シンプル過ぎる” という評価に繋がっているといえます。

4.はシリーズの最近の傾向となっており、手抜き、改悪と言われても仕方がないでしょう。

5.については、飛行甲板は空母の顔でもありますので、細部をキチンと塗り分ける必要がありますが、クラッシュ・バリアーや甲板の伸縮継ぎ手部を初めとして、これもちょっと手抜きと言わざるをえません。

このシリーズは、購読者の皆さんから酷評を浴びた初期のものから、折角改善努力を続けて組立や塗装などが改善されてきており、最近のものになってやっと当初の目的及びポリシーをほぼ満足できるレベルになりつつあっただけに、この3.〜5.の問題はイーグルモス社としても大きな要注意点と考えます。

2013年08月01日

モデル・アドバイザーの独り言 (25)

◎ 第15巻 「青葉」

シリーズ第15巻は 「青葉」 です。 1944年後半期の姿。 

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なお、設定年代における増設機銃の位置及び数などについては、考証的に確定していないところがありますので、この点についてのモデルの状態はイーグルモス社としての選択及び判断とお考え下さい。

モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価などは次のURLにUPされています。


全体的な評価については私もほぼ同意できるところです。 特におまみ氏も指摘されているように、このスケールで魚雷発射管まで表現し得たことは評価できる点でしょう。 まあ、「艦これ」 コラボというのは ・・・・ (^_^;

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そしてやはり申し上げておかなければならないことは、第12巻 「日向」 からの繰り返しになりますが、この 「青葉」 についても私がアドバイスが可能であったのはモデル・デザインの初期までです。

したがって、モデル・デザインの最終的な状態も、モデル原型も、組立・塗装済みのテストショットも全く関係しておりませんで、この製品版を見てその出来を始めて確認している次第です。

そして私的には、この 「青葉」 モデルについては前回の 「翔鶴」 以上に色々各所に問題点がありまして、特にモデル・デザイン初期段階にアドバイスした点はそのほとんどが入れられておりません。 特に不満な点は次の写真でお示ししますが、一つ一つについてのご説明は省略いたします。

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モデル全体の出来の向上と引換に、このところ細部の考証面での不足、というよりそれを無視・軽視したと思われる点が多々出てきていることは、今後のシリーズを考えると危惧されるところです。

そして、搭載機を初めとする細部塗装や、また主錨を初めとする色々な艤装品の形状などについては少々雑です。 いかに1/1100スケールとはいいながら、本シリーズ最近の傾向となっており、ちょっと手抜きと言われても仕方がないでしょう。 スケール的に精密度には大きな限界がありますので、その分この点には力を入れるべきと考えるところです。

しかしながら、本シリーズ冒頭から私も口を酸っぱくして繰り返し指摘し、また多くの購読者の方々から酷評を浴びました組立及び塗装に付きましては、ここ最近のモデルでは相当に改善されてきており、やっと当初の目的及びポリシーをほぼ満足できるレベルになりつつあることは、イーグルモス社の改善努力を評価するべきでしょう。

今回のように、これまでの戦艦や空母とことなりサイズ的に少々小さいため、一定価格に割高感が出るところですが、本モデルレベルであるならば多くの方々にご納得いただけるのではないかと思います。

それだけに、上記のように、考証についてやや手抜きと考えられる少々雑な点が見られるようになった点は、イーグルモス社としても大きな要注意点と考えます。

2013年08月12日

モデル・アドバイザーの独り言 (26)

◎ 第16巻 「ビスマルク」

シリーズ第16巻はドイツ海軍の戦艦 「ビスマルク」 です。 本シリーズ初の外国艦で、1941年最終時の迷彩が施された姿。

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モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価などは次のURLにUPされています。


う〜ん、細かい点を除けばほぼ手放しの評価に近いですが ・・・・

私は日本艦についてはアドバイザーの一人として協力していますが、外国艦については全くのノータッチですので、今回については “第三者” として書かせていただきます。

モデルを見た時の第一印象は “なかなか良い” “これまでのシリーズの中では一番” ということです。 これは購読者の方々も同じ感想であると思います。 でも果たしてちゃんと見ると、どうなんでしょう?

まず、モデルの全体的な形状についてです。

確かにおまみ氏も評価されているように、本シリーズで初の外国艦であり、欧米においても抜群の人気がある艦ですので、イーグルモス社としても、そしてモデルデザイナーとしても力が入っている、と見ることもできるでしょう。

しかしながら、逆に言えば公式図面や写真を初めとして豊富な史料が揃っていることも考えなければなりません。

例えば、「Anatomy of the Ship」 シリーズの 「The Battleship BISMARCK」 ではそのままスケールモデル製作に使える1/500の詳細な図面類が掲載されています。

その他にも日本においても比較的簡単に手に入る 「Warship Profile」 や 「AJ-Press」 のシリーズ中のものなど、良質な資料が豊富に出ています。

これは日本艦に比べれば羨ましい限りで、モデル・デザイナーさんは楽だったろうな〜、っと (^_^)

そしてこれまでの日本艦に比べると、細かさ (精密さとはいいません) の点では1段も2段も上であるといえるでしょう。

もちろん、おまみ氏の指摘にあった艦首錨やカタパルト、加えて左艦尾錨の欠落やや高角砲の形状など、詳細を揚げればキリがないほどの問題点もあります。 が、しかしながら、これらは全体の出来の中に隠れてしまっていることも確かです。

次は部品の出来と組立についてです。

上記の造形の細かさは向上したものの、各部品の合いはやはり今までどおり残っています。 このため、各部に段差や隙間が出来ていますし、 特に船体と上甲板の接合部は前部〜中部にかけて顕著です。

組立も最近の本シリーズ並みに良くなって来ていますが、やはり個体差の問題も大きいようです。

私の手元にあるものでは、前部艦橋構造物の各層が左に大きく傾いており、しかもグラグラしているのではなくガチッと接着されています。 これはちょっと、と思いますね。

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また、中部左右両舷にある大型デリック・クレーンの内、左舷のものが欠落しています。

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ブリスターの中に落ちていませんでしたので、これは輸送上の問題ではなく、初めから無かったものであり、この様な大きくかつ目立つ部品の欠落がある製品が素通りするということは、検品・出荷検査体制の不備がいまだ直っていないことを示しています。

そして最後に塗装についてです。

これまでの日本艦と比べると極めて多くの塗り分け (精密なとはいいません) がなされており、これがこのモデルの出来の良さという点で大きなプラスになっています。

特に、01甲板や前部艦橋構造物の各フロアーの塗り分けなどは今までに無かったもので、しかもこれらは各部品を組み立てる前に塗装しておかなければならないものです。

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そして何と言っても、舷側の迷彩塗装や上甲板前後のハーケンクロイツ (これが表現されていること自体が驚きですが)、艦載機のマーキングなどはこのスケールとしては秀逸といえるでしょう。

ただし、その他の塗り分け、例えば上甲板以上の甲板と構造物の塗り分けや艦載艇の塗装などはこれまでのものとレベル的には変わらないことには注意すべきでしょう。

以上を総合するに、確かに本モデルは今までの日本艦よりかなり出来がよく見えるものとなっています。 本シリーズとしては今までの中で一番でしょう。

その理由は、造形の細部や塗り分けの多さ (繰り返しますが精密なではありません) について、モデル企画の段階で良質な資料が豊富に入手できたことにより、それをそのままモデルデザイナーとメーカーに示すことができた結果である、と言えるでしょう。

その証拠に、細部の問題点はこれまでのものと同じで、このモデルになって特段改善されたわけではないからです。

要するに、イーグルモス社として細部まで仕様をしっかりと示せば、モデルデザイナーもメーカーもここまでは応じられるだけの力はあるということであり、そして製品完成段階の検品・出荷検査においてキチンとした体制を確立すれば、ということです。

さて、日本艦のモデルアドバイザーの一人としても、次巻以降の出来がどうなるのか、楽しみになってきました。

ところで、この迷彩及び上甲板以上の塗り分けと色は、これで正しいのでしょうか? 少なくとも私が持っている上記資料などでは、このモデルの塗装に合致するものはありませんが ・・・・ ?

2013年08月14日

HN 「おまみ」 氏のディティール・アップ

「世界の軍艦コレクション」 のモニターをされているHN 「おまみ」 氏の手になる本シリーズのディティール・アップご紹介の続きです。

氏が今回公開されたのは第6巻の 「伊勢」 ですが、ちょっと遅くなりましたがその前の第11巻 「鳥海」 も併せてご紹介します。


◎ 「鳥海」

ディティール・アップ完成後の姿の詳細についてはサイトの方に大きなサイズの画像で公開されています。


UPの写真ではあまり感じられないかもしれませんが、1/1100スケールで全長僅か18cmのモデルであることを考えるならば、これを実際にご覧いただくと凄い出来であることはお判りいただけるかと。

特にこの型の顔である大型艦橋構造物は非常に目立つだけに、各層の窓枠を表現するとグッと引き締まって見えますね。

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そして、ディティール・アップ工作とそのテクニックについてはブログの方で公開されています。


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工具や材料まで含めた丁寧な解説は、モデラーさん、特に初心者の方々には参考になるものと思います。


◎ 「伊勢」

この「伊勢」についても、ディティール・アップ完成後の姿の詳細についてはサイトの方で公開されています。


搭載機も含めて各所に手が入れられており、特に後部飛行作業甲板のコンクリートの表現は力が入っていますね。

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コンクリート甲板表面の色は私的にはちょっと明るすぎるかと感じますが、おまみ氏自身がコンクリートと甲鈑部分との違いを出すためといっておられますので、それはそれでよろしいかと思います。

そして、ディティール・アップ工作とそのテクニックについてはブログの方で。


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この「伊勢」についてもそのディティール・アップについて丁寧に解説されています。 木甲板の表現方法など、なかなかいいですよね。

是非皆さんも一度お尋ね下さい。 1/1100スケールの製品版がここまで変わるのかと実感されると思います。


ただ、元船乗りの私として1つだけ注文を。

残念ながら 「鳥海」 も 「伊勢」 も合戦準備時の軍艦旗の掲揚位置 (方法) が違っています。 合戦準備時には軍艦旗は “後檣ガフ (斜桁)” に掲揚されることになっています。 

両艦ともこの後檣ガフの位置と形状が明確に判る写真が残されていませんが (元々が非常に細いものですので)、とは言ってもこの位置に軍艦旗が掲揚された写真では、残念ながら少なくともおまみ氏が表現されたものではありません。

flag_chokai_01_s.jpg   flag_ise_01_s.jpg

「鳥海」 の場合は下左のイラストのようなガフであったとされ、下右の昭和17年トラックでとされる写真に微かに写っています。

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また 「伊勢」 では赤丸の位置です。

flag_ise_02_s.jpg     flag_ise_03_s.jpg

ただし 「伊勢」 の場合は、改装後の後部マストにガフを取り付ける場所が残されていなかったようで、“花魁の簪” 下の支柱部に揚旗線の滑車を取り付けてガフに代用しているようです。

もちろん、軍艦旗が掲揚されるのは艦尾旗竿であろうとガフであろうと、また戦闘旗として大檣頭に掲揚する場合でも、いずれも上まで一杯に揚げられ、半旗のような状態になることはありません。

まあ、このスケールのサイズでそこまで拘るかどうかは別の話ではありますが。

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(注) : おまみ氏のディティール・アップ画像の引用・掲載については、氏から承諾を得ております。

2013年08月28日

モデル・アドバイザーの独り言 (27)

◎ 第17巻 「妙高」

シリーズ第17巻は日本海軍の重巡洋艦3隻目の 「妙高」 です。

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モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価などは次のURLにUPされています。


う〜ん、これも前回の 「ビスマルク」 に続き、細かい点を除けばほぼ手放しの評価に近いですが ・・・・

このモデルについても、いつも申し上げていますように私はアドバイザーの一人としてモデル・デザインの初期までは関わりましたが、最終的なデザインも、モデルも、この製品版で初めて見ております。

全体的な出来栄えはおまみ氏からも評価いただいているように、このスケールとしては良好であると言えるでしょう。 実は、前回の 「ビスマルク」 が良かっただけにちょっと心配しておりましたが (^_^;

特に、艦橋の窓枠については第12巻 「日向」 でお話ししましたように、この「妙高」でやっと実現しました。 ちょっと形状の細部はおかしいですが、まあそこはこのスケールでは取り敢えずこの程度かと。

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全体の造形、組立・塗装なら、このスケールとしてはまず合格点と言えるでしょう。

とは言え、このレベルになって本シリーズはやっと本来の “スタート点” に立ったと言えるでしょう。 そして、イーグルモス社としてここからが本シリーズの踏ん張り点であると思います。


ところで内輪話ですが、実はこのモデル、当初の企画段階では1945年設定でした。 そうです、シンガポールで終戦を迎えたあの迷彩姿です。

しかしながら、終戦時は艦尾が失われていたことと、肝心な左舷の迷彩パターンが不明なことから1944年後半の設定に変更になったものと思います。

( 1945年設定では無理があるよ、とアドバイスはしましたが、実際の1944年への変更決定は聞いておりませんで、その後の状況も知りませんでした。)

この設定の途中変更の影響か、何故か機銃の増設など一部はこの当初デザインの1945年設定のままで残ってしまっていますので、考証的にはちょっと中途半端なものになってしまっていることは残念です。

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さて、細部ですが、おまみ氏の指摘があった前部の錨甲板や飛行作業甲板などはそのとおりです。

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問題はイーグルモス社側からメーカーに対して細かな塗装指示がなされておらず、メーカー側でイーグルモス社から渡された一般出版物などのイラスト図を元に独自の判断でやっているからです。

この問題点はシリーズ当初からイーグルモス社に指摘していますが、いまだに改善されないことの一つです。

また、高角砲や探照燈などの装備品の形状についてはいまだに不充分です。 特に高角砲などは目立つだけに度々指摘し、図面や写真も渡してきたところですが ・・・・


ただ、おまみ氏から指摘をいただいた塗装については、元船乗りとして、またモデルアドバイザーの一人として少し申し上げておきたいと思います。

まず、艦体全体の灰色塗装ですが、シリーズを通して日本艦はもう少し暗い色で統一して、とのご意見ですが、これは現実と異なるものとなりますので、私としては同意できません。

実艦で全艦同じ色であるなどはあり得ないことで、暗い明るいは、その時、その艦で様々です。

コレクションだから同じ色でないと、というのは単なるモデラーさんの好みの問題であり、実態を表していない不自然なものとなりますので、反って初心者の方々に誤解を与える元になる可能性があると思います。

( 実際のところ、ベテラン・モデラーさんやライターさんなどが、呉海軍工廠はこの色、横須賀はこの色で、それに沿って塗らなければ、などと言い始めたことが原因ではないかと思っていますが ・・・・ ?)

もっとも、実情はイーグルモス社としてもメーカーとしても、特に色調について考えている訳ではなく、単に入手できた一般出版物のイラストなどに合わせているだけのことなのですが (^_^;

次ぎに錨甲板ですが、錨鎖は黒色、他の艤装品・付属品類は灰色が正規です。 ただし、錨鎖だけが黒色ですと日常の保存手入れで非常に不便ですし、見かけもあまり良くない (特に中型艦艇以下は)、工廠での修理・総塗装の後など以外では錨鎖も灰色に塗っていた場合が多いです。

まあ、この錨甲板以外に細部の塗り分けが不良・不充分で中途半端なところが沢山あるのですが ・・・・

ただ、中部甲板両舷に置かれた短艇ですが、何故最近のモデルで1組だけが合戦準備状態なのかという疑問がありますのでイーグルモス社には指摘してきているところですが、修正されません。 これは他の日本艦モデルでも同じです。

しかも設定年代当時は既にここには機銃が増設されており、短艇を置くスペースはありませんしダビットも撤去されていますが ・・・・ まあ白色ですから確かに全体からするアクセントにはなる、というところなのでしょう ・・・・ ?


とは言っても、本シリーズの出来栄え、やっと本来のあるべき姿になってきました。 これは喜ばしいことであり、購読者の方々にとっては投資に見合うだけのものが手に入る状況になりました。

イーグルモス社には引き続きレベルの維持と、更なる改善努力を期待するところです。

2013年09月16日

モデル・アドバイザーの独り言 (28)

◎ 第18巻 「香取」

シリーズ第18巻は日本海軍の練習巡洋艦たる軽巡 「香取」 です。

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モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価などは次のURLにUPされています。


このモデルもかなり高い評価をされていますが ・・・・

確かに組立及び塗装という面については、本シリーズの最近のレベルは初期のものに比べるとかなり良くなってきていると言えます。

そして、前巻の 「妙高」 から実現した艦橋の窓枠表現も、拡大写真で見てしまうとちょっとアラが目立ちますが、1/1100という実物ではそれなりと言え、艦船モデルとしての雰囲気を良くしています。

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ただし、全体的な各部品の合いや細かな塗り分けなどは、まだまだ改善の余地があるといえるでしょう。

それよりも何よりも、私としては、全体の見かけが向上してきている反面、どうも考証面が疎かになりつつあるようで気になるところです。

設定年代では 「香取」 は水偵を搭載したことはありませんが、まあそれはモデルとしての見栄えと言うことで、ある意味許容範囲なのですが ・・・・

これは前からも言ってきているところですが、今回も主砲、高角砲、機銃、探照燈、魚雷発射管などの主要装備品の形状については、ちょっと、と言うところです。

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そして、前部マストは黒に塗ってしまう、ループアンテナは違った位置に付いている、練習艦としての顔でもある礼砲は表現されていない、etc.etc.・・・・

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このモデルについても、いつも申し上げていますように私はアドバイザーの一人としてモデル・デザインの初期までは関わりましたが、最終的なデザインも、モデルも、この販売版で初めて見ております。

そのアドバイザーの一人としては、写真や図面を示して、ここはこうなっているよ、ここの形状はこうだよ、とアドバイスしてきたものは一体なんだったのか、という感じがしております。


そして、これはおまみ氏も指摘していることですが、このサイズで価格はこれまでの戦艦や空母と同じということに、何かしら割り切れないものを感じておられる購読者の方々もおられるのではないかと思います。

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それでも定期購読者の方々は、シリーズ全巻揃いでの一律分割価格と思えばある程度は納得されるかもしれませんが、自分の好きな艦を選んでの単巻購入の方々には特にそうではないでしょうか。

シリーズではこれからもこのサイズなどのものが出てきますが、単にモデルの出来具合が向上しただけではなく、何某かの更なる付加価値、あるいは他の工夫が必要になってくるのでは、と思いますね。

2013年09月22日

モデル・アドバイザーの独り言 (29)

◎ 第19巻 「エンタープライズ」

シリーズ第19巻は第16巻 「ビスマルク」 に続き外国軍艦2隻目、米海軍の空母 「エンタープライズ」 で、1942年の設定とされています。

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モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価などは次のURLにUPされています。


この 「エンタープライズ」 もその見栄えはかなり高い評価をされていますが ・・・・

確かに空母としての顔である飛行甲板のモールドやマーキングを含めた塗装の出来はこのスケールとしては 「ビスマルク」 に続いてかなりのものと言えます。

しかしながら、前回 「香取」 での記事で 「全体の見かけが向上してきている反面、どうも考証面が疎かになりつつあるようで気になる」 と申し上げましたが、どうもそれが早くも現実のものとなって来ているような気がします。

本シリーズでは、私は日本艦についてはアドバイザーの一人として考証面でのお手伝いをしておりますが、外国艦については全くのノータッチです。

したがって、モデル・プラン、モデル・デザインも含めて、この商品版で初めてその姿を見ております。 イーグルモス社には申し訳ありませんが、少々辛口のコメントを。


ご存じのとおり、この 「エンタープライズ」 は有名な割には良い資料があまり無く、モデル化には考証面で苦労する艦の一つではないでしょうか。

結局このことが第16巻 「ビスマルク」 のモデルとの大きな差に繋がっているように思います。 早い話しが、「ビスマルク」 では公式図はもちろんのこと、そのままモデル化できるようにデフォルメされたスケール図も出ており、それをそのまま1/1100でも活用することが出来ます。

その一方でこの 「エンタープライズ」 はこの艦自体の公式図さえ出ておらず、しかもこの年代設定の写真も十分とは言えません。

このためなのか、このところの本シリーズとして見栄えはよくなってきているのとは反対に、考証的なディティールとしてはかなり問題のあるモデルになってしまっています。

まず最大の問題となるのが船体です。 「エンタープライズ」 そのものの公式図は出ておりませんが、1番艦の 「ヨークタウン」 はあります。 なぜこれを元にしなかったのでしょう?

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( 「ヨークタウン」 新造時の公式図 )

まず艦首形状がかなり違います。 側面ラインはもちろんのこと、ここは軽いバルバスバウ状になっていますが、それが表現されていません。

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019_Enterprise_model_02b_s.jpg     Enterprise_photo_1936_01_s.jpg

そして船体後部、特に艦尾の側面ラインもかなり違います。

019_Enterprise_model_03_s.jpg   Yorktown_generalplan_strn_01_s.jpg

その他沢山あります。 主要なものでは、

1.艦橋構造物 (アイランド)、特にその前面の形状が違います。 モデルは1943年のアイランド改装後のものです。

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Enterprise_photo_1942May_03_s.jpg    Enterprise_photo_1943_01_s.jpg
( 左: 1942年5月撮影の改装前   右:1943年撮影の改装後 )

まあ、射撃指揮装置がMk33なのかMk37なのかは、このスケールで正確に表現することは難しいでしょうから我慢できるところですが (^_^;

2.船体の舷窓は既に42年5月の写真でも中部の一部を除き全て廃止されています。 また、この時既に消磁電路が設けられておりますが、これが表現されていません。 加えて、特徴ある航空燃料移送パイプも表現されていません。

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Enterprise_photo_1942May_02_s.jpg

3.飛行甲板のマーキングが違います。 モデルのものは44年以降の写真で確認できるものですが、43年までは古いままです。

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( 1942年11月撮影の飛行甲板 )

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( 同上の中央部の拡大 )

もっとも、モデルはその44年以降のものとも少し違います。 センターラインの白線は中央部にはありませんし、飛行甲板前後には艦番号の 「6」 が暗灰色で大きく画かれております。

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( 1944年8月撮影の飛行甲板のマーキング )

4.カタパルトが違います。 モデルのように艦首尾線に対してやや内向きに装備されたH2−1に改装されたのは43年11月であり、それまでは艦首尾線に平行のHUです。 そしてこのカタパルト部分が白色に塗られたことはありません。

また右舷前部にある前部離発着管制所 (Forward Signal Platform) の形状も正しくありません。

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Enterprise_photo_1942May_04_s.jpg Enterprize_photo_1945_01_s.jpg
( 左は1942年5月の旧カタパルト時代、右は1945年の新カタパルトの装備状態 )

その他、細かいところを挙げればキリがありません。 船体形状の問題を除いても、このモデルは設定の1942年の状態ではなく、極めて中途半端なものと言えます。

航空機については、その置かれた位置やマーキングも含めて、まあ “おまけ” と考えた方がよいかと思いますが ・・・・ (^_^;


結論的には、ここにイーグルモス社における現在の本シリーズの開発体制に問題があると言えるでしょう。

日本艦のアドバイザーの立場から言わせていただくなら、この 「エンタープライズ」 についてもおそらく担当のアドバイザーはキチンと考証資料を出しているのではないかと思います。

しかしながら、イーグルモス社はこれらの資料をそのまま中国メーカーに投げて、モデル・デザインも全て任せっきりにしているように見えます。

つまり、イーグルモス社としては、設定年代とその考証に基づき1/1100にデフォルメした原型用図面と詳細な塗装指示を仕様書として作成し、これにより中国メーカーにモデル製作の指示をしているのではない、ということです。

そしてその中国メーカーのモデル・デザイナーは、アドバイザーの考証に従うことなく、イーグルモス社から与えられた資料により、自分の考えで1/1100のモデル原型起こしをしていると考えられます。

ですから一例を挙げれば、今回の 「エンタープライズ」 にしても、アイランド前後の通称「シカゴ・ピアノ」と言われる4連装機銃についてはそれなりの形状はしているものの、舷側の高角砲や機銃はまるで “棒きれ” が並んでいるようです。

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イーグルモス社としてキチンと指示なりチェックをしていれば、おそらくこのようにはならないのではないでしょうか。

これは単にコストだけの問題ではないと考えるのですが ・・・・ 本シリーズは塗装や組立が良くなって見栄えのするものになってきただけに、逆にこの考証面については非常に残念に思うところです。

2013年10月06日

モデル・アドバイザーの独り言 (30)

◎ 第20巻 「最上」

シリーズも遂に20台に乗りました。 第20巻は航空巡洋艦に改装されたあとの 「最上」 で、1944年の姿とされています。

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同じく航空戦艦に改装された 「伊勢」 型と共に、この特異な姿に愛着がある人が多いですね。

この 「最上」 の1/1100スケール・モデルとしての全体的な見栄え、即ち組立や塗装などについては、本シリーズの最近の傾向を受け継いでなかなか良く出来ていると思います。

これについては、モニターをされているHN 「おまみ」 氏が次のURLにUPされているとおりです。


この点については、イーグルモス社のこれまでの改善努力を高く評価しても良いでしょう。

しかしながらその反面、考証及び造形という点からはかなりの問題があります。 それはおまみ氏も色々指摘されているところでもあります。

つまり、本連載の前々回、前回の記事において

全体の見かけが向上してきている反面、どうも考証面が疎かになりつつあるようで気になる

と申し上げてきたものが現実となっている、ということです。

本連載の冒頭からお断りしてきたように、私は本シリーズ各巻のモデル・プラン及びごく初期のモデル・デザインについて考証面でのアドバイスをしてきておりますが、その段階以降については全く関与しておりません。 と言うより関与させて貰っていません。

したがって、私のアドバイスの結果がどのように取り入れられたモデルになったのかは、送られてきた製品版を見て初めて知るところとなります。

その観点から申し上げるならば、今回の 「最上」 はアドバイスした事項のうち2つ以外は “全く” 取り入れられていません。 したがって、モデル・アドバイザーの立場からは、考証面についての細部についてはちょっと、と言わざるを得ません。

その取り入れられた2点は、次のものです。

1.飛行作業甲板中部両舷の機銃座の位置と形状
2.2番主砲砲身の繋止位置 (仰角)

そして、図面や写真などを示してアドバイスしたにも拘わらず取り入れられなかった主要事項は、次のものです。

1.高角砲の形状

主要装備品の形状については当初から申し上げてきていますが、本モデルについてもこの高角砲の形状は全くいただけません。

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2.前後部マストの形状

これも直っていませんし、何よりも私の手元に届いたモデルでは両マストとも間違って取り付けられていたり、傾いたりしています (^_^;

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3.艦橋の形状

窓枠の表現はともかくとして、艦橋前面及び射撃指揮装置の形状などを始めとして、初期デザインのまま修正されませんでした。

020_Mogami_model_04a.jpg     020_Mogami_model_04b.jpg

4.飛行作業甲板後端の機銃座の形状と機銃の種類

ここの部分については公式図も写真も残されていませんが、最近の考証とは飛行作業甲板及び機銃座の形状が異なります。 改造前の状態からするならどう考えても物理的にモデルのような形状にはならないでしょう。 それにここはモデルのような連装機銃ではなく、3連装機銃であったとされています。

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5.船体中部のビルジ・キール以下の船底形状

台座のままで普通に飾るならばほとんど見えない (気付かない) ところですが、実艦とは全く異なります。 イーグルモス社には公式図を渡してありますので、指摘については一目で理解できるはずなのですが ・・・・

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その他、艦橋構造物両脇の機銃座の形状、舵の取り付け角度、主砲塔形状、13号電探の位置と数などなど、です。

そして何よりも、設定年代と合っていないことは大きな問題点です。

1.機銃の配置、数、種類

飛行作業甲板後端に3連装機銃2基が増設されたのは44年10月のこととされていますが、この時の状態とすると、同時に前甲板及び飛行作業甲板に単装機銃も増設されておりますので、これが表現されていません。

それどころか、何故か2番主砲塔両脇に連装機銃各1基が表現されていますが、ここにこれが装備されたことはありません。 これも指摘したのですが ・・・・

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2.舷窓

下甲板の舷窓は戦訓対策として既に全て塞がれているにもかかわらず、黒点の塗装がなされていますし、中甲板及び上甲板上の舷窓の位置、数も全然合っていません。

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なぜアドバイスに従って修正してくれないのでしょうねえ。 公式図も含めた図面類や写真などを示して、ここの形はこう、あそこはこう、と考証資料を出しているのに、です。

要するに、中国メーカーのデザイナーさんがアドバイザーの考証資料を無視して自分の考えによって勝手に作っている一方で、発注主としてのイーグルモス社が中国メーカーに任せっきりでチェックをしていない、ということなのかと。

それが証拠に、おまみ氏からも指摘があったように、折角艦橋窓枠などを表現するようになったにもかかわらず今回はそれがなされていない、あるいは発射管まで表現されていた 「青葉」 はともかくとして、「鳥海」 などと比べても手抜きの感が否めないモールド、等々にそれが現れているわけで。

なぜ考証資料に基づかないのでしょう? なぜシリーズ各モデルで統一した表現法にしないのでしょう? これは発注主であるイーグルモス社側がメーカーに指示・指導すべき事項です。

本 「軍艦コレクション」 シリーズは、統一スケールにより沢山のモデルを並べてみることに主眼があるのですから、折角個々の見栄えが良くなってきただけに大変残念なことと思います。

それは 「1/1100スケール上のデフォルメだから」、あるいは 「コスト的に無理」 で逃げられる性質、性格のものではありません。

考証を重視することは本シリーズを予定の80巻まで継続していく上で大切なことと考えますが、イーグルモス社さん、どうでしょうか?

2013年10月20日

モデル・アドバイザーの独り言 (31)

◎ 第21巻 「扶桑」

第21巻はある意味本シリーズで最もその出来が注目されたものの一つではないでしょうか。 日本海軍の戦艦を象徴する檣楼構造である 「扶桑」 で、1944年の最終時の姿とされています。

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「扶桑」 「山城」 は高々と聳え立つこの前檣楼の特異な姿に、愛着がある人が多いですね。

そして、この前檣楼が上手くモデル化出来るかが多くの購読者の方々にも心配されておりましたが、最近の本シリーズの全体的な出来具合の向上もあって、かなり見栄えのするものになっていると思います。

これについては、モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価でも次のURLにUPされているとおりです。


今回は何とかおまみ氏とのコラボのタイミングが合いました (^_^)


さて、この1944年最終時の 「扶桑」 については、考証上参考になる写真などがほとんど残されておりませんが、幸いにして大改装後の公式図が残されており、そして何よりも世界的にその名を知られているヤヌス・シコルスキー氏の手になる素晴らしい図面集が出ております。

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     Yanusz Skulski 著 「Anatomy of the Ship : The Battleship Fuso」
     Conway Maritime Press Ltd. (1998/11/30)
     ISBN-13 : 978-0851776651

氏の著作は基本1/500スケールで、細部にわたる部分図まで全て揃っておりますので、1/1100スケールのモデル化であるならば、これ1冊で十分と言えます。

先の 「ビスマルク」 と同じく、モデル・デザイナーにとってはこの様な資料に基づけば更なる考証・チェックなどは省略するつもりならそれも可能ですから、この全体形状の出来は肯けるものといえます。

前檣楼及び後檣楼については、各層のバランスや形状など、また前檣楼背面の構造などに問題がありますが、1/1100スケールで材質や部品製造上のことを考えますと、まあ我慢できない範囲ではないでしょう。

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とは言っても、考証的におまみ氏からも色々ご指摘をいただいているように、問題点が残ってしまっていることもまた確かです。

ただアドバイザーの一人としては、これ以上細部を言い出すと様々ありましてキリがありませんので、今回はあれこれ申し上げるのは省略させていただきます。 購読者の方々には、何とかこのレベルまでは出来た、と言うことでご容赦を。

・・・・ それでも機銃の種類や機銃座など、何故間違えたままになるのでしょうかねえ。 シコルスキー氏の図面に基づいて、そのままデフォルメすれば問題は生じないはずなんですが。

結局のところ本シリーズの大きな問題点の一つは、通常ですと考証 → デフォルメの段階を踏むべきところを、中国のモデル・デザイナーさんは両方を一緒 (ゴッチャ) にしてやっているように思います。 それではダメですよ、と当初からアドバイスしてきているところですが、なかなか改善の方向には向かっていないようです。

・・・・ でも、この 「扶桑」 もこれでも当初のモデル・デザインからすると、随分良くなったんですよ (^_^;


さて、次は本シリーズ外国艦の3番目、初の英国艦で 「フッド」 です。 流石に英国メーカーとしては自国の艦船について資料が集まらなかったとは言えないでしょうから、どのようなものになるか楽しみです。

2013年11月04日

モデル・アドバイザーの独り言 (32)

◎ 第22巻 「フッド」

第22巻は本シリーズ初の英国艦の巡洋戦艦 「フッド」 で、1940年の姿とされています。

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日本の艦船ファンにもよく知られ、かつ愛着を持つ人も多い艦であり、しかも英国出版社が出す初の英国艦であるだけに、今回の出来が注目された一つと言えます。

モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価は次のURLにUPされているとおりです。


私としても、1/1100スケールの本シリーズとして、その全体的な出来栄えは良いと思います。 これだけのものであるならば高い評価を与えてもよいでしょう。

逆に言うと、英国艦であるだけに良質な資料も豊富に揃っておりますので、モデル化としては非常に楽であったと考えられます。

例えば、日本で比較的楽に手に入るだけでも次の一般刊行物などがあり、その気になれば1/1100スケールのモデル化としてはこれらだけでも十分な内容と言えるものです。

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もちろん、艦橋構造物の各層平面を始めとする細部の形状、船体中部両舷各2個所の魚雷発射管口扉のモールド欠如、及び前部マストの設計製造・組立ミスなどなど、色々あって言い出すとキリがありませんが、まあ我慢できないほどのことではないでしょう。

ただし、モデル・アドバイザーの一人としては、次の点については指摘しておきたいと思います。

1.艦首側面形状がちょっと異なります。 また、左舷に副錨の錨孔がモールドされていますが、建造当初からこれはありませんので、目立ってしまうだけにこのミスは痛いです。

2.舵及びその取り付け部 (デッドウッド) の形状がかなり違います。

3.船体塗別線の黒色帯の位置が斜めになっており、前部側が少々高すぎます。 これによって船体全体の印象がかなり変わってしまっています。

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4.短艇の種類・形状などが異なります。 また、後部マスト両脇にある高角砲が何故か間違った位置 (前部側にずれている) に取り付けられています。

5.前後部マストの黒色部の塗り分けが違います。 モデルのものは改装前の1920年頃のものです。

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6.キールが艦底から異常に飛び出ています。 あまり目立つところではありませんが、フルハル・モデルとしてはこれも痛いミスです。

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これらについては、1/1100スケールのデフォルメ上の話しではありません。 明らかにモデル・デザイン上の問題です。

なぜ、この様になってしまったのか?  いずれも、例えば上記の資料などだけに基づいたとしても間違えることはないはずのものばかりですので、ちょっと首を傾げざるをえません。

全体の出来が良いだけに、何とも惜しまれるところです。

2013年11月22日

モデル・アドバイザーの独り言 (33)

◎ 第23巻 「龍驤」

第23巻は 「龍驤」 で、1933年の新造時の姿とされています。

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「龍驤」 は排水量僅か1万トンの小型空母ですが、日本の艦船ファンの間でも愛着を持つ人の多い艦であり、そして新造時と2回の改装後のそれぞれでまた好みの別れるところでもあります。

ただし、1/700も含めこの新造時の状態がモデル化されるのは始めてのことと思います。 これは本シリーズの価値を高めるものといえるでしょう。

そして、最近の本シリーズは製品の出来としてかなり安定してきたところであり、このレベルでの日本空母のモデルが期待されたところです。

モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価は、次のURLにUPされているとおりです。


ハッキリ申し上げて、モデル・アドバイザーの一人である私としても “う〜ん” というところです。

既に 「ビスマルク」 や 「フッド」 などで申し上げてきたように、一般に利用可能な資料の過多がモデルの出来を左右するという典型でしょう。 そして考証が少々疎かになりつつあるのではという指摘も。

加えて、この 「龍驤」 では本シリーズで折角これまで向上が見られた組立・塗装という面でも、残念ながら一歩も二歩も後退してしまっています。


1.製品の出来 (部品、組立、塗装) について

(1) 部品の設計が悪いのか組立が悪いのか、飛行甲板の前後が反り揚がってしまっています。 (というより、中部も若干盛り上がっていますので、波打っていると言った方がよいかも)

実艦では前部が1度の前下がり、後部が0.35度の後ろ下がりですので、このスケールとしては水平であれば OK ですが、このモデルの出来ではそれが台無しです。 個体差の問題で私のものだけこうなっているのか ・・・・ ?

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(2) 高角砲座とその下の支柱部との形状が合っていません。 砲座が支柱より外側にはみ出ています。 後部の機銃座もその傾向にあります。 これはどうもみても設計のミス。 何故この様なことになってしまったのか (^_^;

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(3) 飛行甲板の木甲板のモールドがありません。 おまみ氏はこのサイズとしてはこれはこれでと好意的な評価ですが、1/1100の同一スケールとして他の空母は表現されていますし、何よりも日本空母として唯一の横張ですので、これは絶対に表現するべきであったと思います。

(4) 上記と合わせ、飛行甲板のモールド及び塗り分けが簡素過ぎます。 白線のマーキングも形状がかなり異なります。 滑走抑止装置装備の予定位置を表現したと思われる凹モールドも余計です。 また、就役時には既に装備されていた飛行甲板後端両舷の着艦標識が欠落していますが、目立つだけにこれは痛いミスの一つ。 

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(5) 推進軸がハの字になっています。 ブラケットなどの形状を見ると、組立ミスと言うより、部品の設計・製造ミスのようです。

023_Ryujo_model_05a_s.jpg

(6) 艦載機は、他のモデルと同じく全体が一色で翼上部に日の丸だけというもの。 これをシンプルと言うのかミスというのか ・・・・  まあ、飛行甲板上の配置の仕方も併せ、本シリーズでは艦載機は “おまけ” と思っていただくしか (^_^;  でも折角なのに何故もっと力を入れないのでしょうねぇ。


2.モデルの考証について

全体的な見かけとしてはそれなりに出来上がっており、1/1100というスケールを考えるなら十分なレベルと言えますが ・・・・ 細部についてのアドバイスはほとんど採り入れられていません (^_^;

特に指摘すべきところは次の点です。

(1) 上部構造物の前後部の形状がかなり違います。 艦橋前面は非常に複雑な形状をしておりますが、その特徴ある姿となっておりません。 また後部は背面のシャッターはもちろんですが、印象が異なってしまっています。

023_Ryujo_model_03a_s.jpg   023_Ryujo_model_03b_s.jpg

(2) 上部構造物両サイドのデフォルメの仕方が考証に対して極めて中途半端で、結果的に 「龍驤」 の実際とはかなり違った姿になってしまっています。

023_Ryujo_model_07_s.jpg

これらについては、モデル・デザインの初期の段階で写真や資料を示して全て指摘してありますが、デザイナーさんによって無視されてしまったようです。 一般に出回っている資料が少ないだけに、なぜもっと素直にアドバイスに従ってくれなかったのでしょうかねえ (^_^;

度々申し上げてきておりますが、モデル・デザインの段階でデザイナーさんがデフォルメと自己の考えによる考証とを一緒にしてやってしまっているようで、また、どうもイーグルモス社側もその問題点を認識されていないように思いますが ・・・・ ?


ただし、これは申し上げておかなければならないでしょう。 飛行甲板の木甲板部分についてです。

「龍驤」 の飛行甲板については、翌34年の第1回改装後の上空からの大変素晴らしい写真が残されていることは皆さんご存じのことと思います。

Ryujo_photo_1934_01_s.jpg

この写真で前部エレベーター以降の木甲板部分 (横張り) と、それより前の部分とでは全く違った写り方をしております。 その前部部分を拡大したものがこれ ↓ です。

Ryujo_photo_1934_01a.jpg

これを見ると木甲板でないようですが、しかしその境目はよく判りません。 写真に見える縦の筋は鉄甲板でこのように写ることは 「加賀」 などの写真でも明らかでしょう。

したがって、これをもって木甲板か、鉄甲板かを判定することは不可能で、当然そのどちらかであるかについては意見の分かれるところです。

それに、ここを縦張りの木甲板とするには次の疑問があります。

(1) なぜこの部分だけわざわざ縦張りとしなければならないのか、その根拠・理由がない。
(2) ここの構造について記述された史料は今のところない。

したがって、このモデルの仕様も考証の一つとして存在しますので、イーグルモス社の見解としてこれを採用したことは、これはこれで誤りでは無いと言えます。

( もしここが縦張りの木甲板とする史料をご存じでしたら、是非ともご教示ください。)

また、着艦制動索が建造当初は縦索式などと言われる方もおられますが、付属の解説書にある呉式四型ではないものの、横索式 (萱場式か呉式かは不詳ですが) であることは明らかです。

それに、兵器採用年と実際の装備年とは別であることに注意が必要ですね (^_^)

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なお、「龍驤」 は1万トンの小型空母とは言え、その実用性には見るべきものがあり、これはこれで十分使い物になったことは申し上げるまでもありません。

また、改装によっても航海性能が十分では無かったとか、「凪いだ海でも波が前甲板に打ち付けた」 だのは、それでは駆逐艦や軽巡などはどうなのかと。

つまり艦首波の立ち方は、その時の海面の状況はもちろん、艦首部の形状によって異なってきますし、大きなフレアーによって上から押さえる状況になりますのでより大きく見えるようにもなります。 しかしそれと耐航性能とは別の話であり、また復元性能の話しとも違います。

単に波を被るというのであれば、この荒天でもない状況の写真 ↓ で、4万トン級の 「赤城」 が艦首の乾舷不足、耐航性不良だとおっしゃるのでしょうか?

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私に言わせれば、あまりにも俗説に惑わされ過ぎているように思われます。

それに 「支援空母」 だの「二線級」 だのについても大いに異議のあるところで、私としては全く賛同できる表現ではありません。

1万トン未満の小型空母として計画され建造されたとはいえ、当初から支援空母でも二線級でもあった訳ではありませんから。

特に 「ス式安定儀」 の装備により飛行作業時の動揺減振には見るべきものがありました。 (安定儀は通常航海で使うものではないことにご注意を)

これを含めた 「龍驤」 の実際の状況については、本ブログで連載した高橋定氏の 『飛翔雲』 の中で出てきますので、これをご参照いただければ良くお判りいただけるでしょう。

ましてや 「空母の本領を発揮できない設計となった」 などは全く実艦無視と言えます。 あまりにも船に乗ったことがない人による “誤った思い込み” ですね。

えっ、太平洋戦争期の新型高性能機に対応できなかった、ですか。 そんなことは当たり前のことです。 「龍驤」 建造時にはそのようなことは想定もしておりませんし、出来もしませんので。

「大和」 型を建造するべきではなかった、という結果論だけでものを言うことと全く同じ類です (^_^;


2013年12月03日

モデル・アドバイザーの独り言 (34)

◎ 第24巻 「利根」

本シリーズ第24巻は重巡 「利根」 で、1942年の姿とされています。

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主砲を船体前部に集め、後部は広い飛行作業甲板とした姿は、洋上索敵に重点を置いた特異なもので、この艦型に愛着をもつ艦船ファンも多いところです。

そして、1/700も含めこの年代設定の状態がモデル化されるのは始めてのことと思います。 とは言っても、実質的に終戦時まで外観上それほど際だった違いはありませんし、ましてや1/1100スケールでは、です。

モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価は、次のURLにUPされているとおりです。


確かに私としてもモデル全体の出来は悪くないと思います。

そしてモデル・アドバイザーの一人としては、モデル・デザイン初期の段階での指摘点はかなり採り入れられていることも嬉しいところです。 (とは言っても、それが本来のあり方なのですが ・・・・ )

艦首の側面形状、艦橋構造物、マストや煙突後部の構造部の形状、などなどかなり考証に基づいてそれらしく修正されています。

なしにしろ初めは魚雷発射管口や魚雷搭載口などは表現されていなかったのですから (^_^;

もちろん、採り入れられなかった細部の指摘点も多数あります。 航空機運搬軌条のターンテーブルの欠落や軌条の不連続などなどです。

ただ、本シリーズのこれまでの状況からすれば、ここまで採り入れられたことに逆に驚きを感じていることも確かです。

この 「利根」 はモデル・デザイナーさんが違うのでしょうか?

その事は、全体の造形があっさりとして見えるデフォルメの仕方からも感じられます。 特に、主砲塔の形状や煙突両脇の予備翼格納所などの処理にそれがよく現れています。

024_Tone_model_03a_s.jpg   024_Tone_model_03b_s.jpg

また、前後部マスト三脚の背面側は真っ平らのままで、モールドさえ全くなしとなっています。

このデフォルメの仕方は、それはそれでモデル・デザイナーによる表現方法の一つと言えますが、購読者個人個人で好みの別れるところでもあるでしょうね。

特に最近のゴテゴテ感が流行のスケールモデル界にあっては、1/1100スケールとはいえ、物足りなく感じる人もおられるかも。

今回のこの 「利根」 モデルについて、私として更に注文を付けるなら、次の点などです。

(1) 魚雷発射管口・搭載口の黒ベタは何とかならなかったのか。 (キャンバス幕の表現でも一つの方法としてよかったはず)

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(2) 後部マストとデリック・クレーンの基部の表現の仕方
(3) 後部マスト上部の黒色塗り分け
(4) 前部錨甲板の表現の仕方
(5) 船体両舷舷側の汚水捨管などの表現

少なくともこれらが改善されていたならば、本モデルはシリーズ中においてかなり高い評価を与えられるものになったと思います。

024_Tone_model_04a_s.jpg   024_Tone_model_04b_s.jpg


さて次は、本シリーズ初のイタリア艦、戦艦 「リットリオ」 です。

イーグルモス社の本シリーズ公式サイトに予告掲載されている初期のテスト・ショット・モデルの写真を見る限りでは、全体の造形があっさりし過ぎているようにも感じられ、このためか前評判はあまり良くないようですが ・・・・

さて製品版はどうなるのか、派手な塗装の出来も含め楽しみですね。

2013年12月18日

モデル・アドバイザーの独り言 (35)

◎ 第25巻 「リットリオ」

第25巻は本シリーズ初のイタリア艦で戦艦 「リットリオ」、1943年の姿とされています。

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イタリアらしい独特のデザインで、また第2次大戦時の派手な塗装で知られているところですが、本シリーズにおいてもこれまで出された 「ビスマルク」 や 「エンタープライズ」 「フッド」 とは異なり、日本においては艦そのもの情報があまりというか、ほとんどないところです。 英国の出版社であるだけにその点を期待する向きも多かったと思います。

スケールモデルとしてはピットロードさんから1/700のなかなか良いキットが出ていますが ・・・・

モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価は、次のURLにUPされているとおりです。


私としても、この 「リットリオ」 もモデル全体の出来は悪くないと思います。

エメラルド・グリーンの船体下部、迷彩塗装の船体上部、前甲板識別塗装の赤白ストライプは見栄えがしますし、部品の製造・組立も最近の本シリーズのレベルは確保しています。

あとはあっさりし過ぎたデフォルメが購読者の好みに合うかどうかということでしょう。 特に、前檣楼や高角砲などなど。

考証的には、細かく言えば色々ありますが、私的に気になるのは次の点です。

1.後部甲板上の航空艤装関係のミス

クレーン上に載せられた水上機、カタパルト前方の航空機移動レールの欠落、同レール上にあるべき移動架台の形状など。 そして、カタパルト旋回用レールがデッキ・タンのままであるのは残念。

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2.艦首先端形状及び艦首主錨レセス部の船体形状のミス

これはデフォルメ上のことで、ではないと考えられます。

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3.最上甲板後端 (3番主砲塔の後ろ) の形状のミス

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そして塗装については疑問の残るところです。

艦首の識別塗装ですが、確かにこのストライプ本数の写真 (左下) も残されているものの、設定の43年にこれであったのかの確信はありませんし、それよりもなによりも、ストライプの形及び塗装の範囲が違います。 むしろ私的には右下のパターンではなかったかと。

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また迷彩は、船体右舷は解説書でも使われている写真のパターンと似てはいるもの細かなところはかなり異なってしまっています。

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それなら、では上構・主砲塔などの迷彩は? という疑問もあります。

それに船体左舷のモデルのようなパターンは私は見たことがありません。 モデル右舷のパターンと同じ時期では、左舷は下の写真及びイラストのようなものであったとされています。

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「リットリオ」 については最近次の刊行物が出されております。 私は所有しておりませんが、この中にはあるのでしょうか?  どなたか 「リットリオ」 の迷彩塗装についてご存じの方がおられましたら、是非ご教示下さい。

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ISBN-10: 1591144450、Naval Institute Press、2011/11/15


ところで、

私は日本艦のモデル・アドバイザーの一人ですから、この 「リットリオ」 には全く関与しておりませんが、しかしこれは声を大きくして申し上げなければならないと思います。

それは皆さんよくお解りのとおり、またしても水上機を艦尾クレーン上に載せてしまったことです。 なぜこのような、ごく初歩とさえ言えないミスを二度も繰り返すのでしょう。

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第1巻 「大和」の 時は私が参画した時にはもうどうしようもない段階まで進んでいましたので、間に合いませんでした。 しかしそれでも発売前にイーグルモス社に対して 「第1号からこれではダメ。 発売が遅れてもしかたないので、絶対に直すべき」 と進言しましたし、そして発売後は多くの購読者から辛辣な酷評を浴びましたので、十分に理解していると思っていたのですが ・・・・ 信じられないミスです。

前々から、「全体の見かけが向上してきている反面、どうも考証面が疎かになりつつあるようで気になる」 と申し上げてきましたが、その体質がはっきりしてきたように見えます。

要は、アドバイザーの考証をしっかりと聞かずに、モデル・デザイナーに考証とデフォルメの一切を任せっきりにし、かつメーカーでのテスト・ショットにおいてもイーグルモス社としてキチンと確認してチェックをしていないと言うことです。

アドバイザーには最初の段階で意見を聞くだけであとはほとんど関与出来ない状況となっていますので、最終的なデザインとそれに基づく製造についてはイーグルモス社自身も含めて誰一人として艦船に知識のある者がタッチしていないと考えられます。

これは本シリーズにおけるこれまでの大小様々な多くのミスを考えれば肯けることです。

本シリーズの外国艦担当のアドバイザーも決してこのようなミスはしないはずですし、チェックさせて貰っていれば見逃すはずもありません。

これではダメです。 何度も申し上げているように、企画開発・デザイン・製造・品質管理の全ての段階で、キチンと艦船の専門知識のある者のチェックが入る体制にしなければ。 関わりだした時から何度も口を酸っぱくして指摘してきたのですが (^_^;

本シリーズの今後の最大の課題と言えます。

う〜ん、こうなると次の 「阿賀野」 もちょっと心配に ・・・・

2014年01月04日

モデル・アドバイザーの独り言 (36)

◎ 第26巻 「阿賀野」

新年最初の本シリーズ第26巻は軽巡 「阿賀野」、1942年の就役時の姿とされています。

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モニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価は、次のURLにUPされているとおりです。


私としても、この 「阿賀野」 もモデル全体の出来は悪くないと思います。 というより、洗練されたスッキリとした艦型がよく表現されており、本シリーズの中では今までで最も良い部類の一つに入るでしょう。

そして懸念していた考証上の問題も、私のモデル・アドバイザーとしての指摘点はかなり採り入れられています。 この点はまずはホッと一息と言うところか。 もしかするとモデル・デザイナーさんがいつもの人とちがう?

(もっとも、本来ならばアドバイスは全て採り入れられるべきで、無理なら無理でその理由とともにアドバイザーに帰ってくるべきと考えますが ・・・・ )

あとは、軽巡というこれまでの戦艦や空母に比べて小さなサイズであることによるコストパフォーマンスの点と、全体が非常にあっさりした、あるいは省略が多い、デザインとなっている点が購読者の方々に受け入れられるかということでしょう。


考証と1/1100スケール上のデフォルメ表現については、もちろん細かいところでは沢山ありますが、以下私なりにいくつか所見を。

1.船体、特に艦首上甲板のシアーがアドバイスどおりに直線状になるように修正されています。 また、艦首下には僅かなバルバスバウとなっていますが、これもアドバイスどおりにそれらしく表現されています。

026_Agano_model_04_s.jpg   026_Agano_model_05_s.jpg

ただし、消磁電纜がアドバイスどおりには上手く表現されていません。 これはちょっと残念ですが、スケールを考えるとデフォルメ上の問題でミスとまでは。

2.艦尾側面形状が何故か猫背のようになってしまっており、また艦底部の形状も少々違います。 これはこのモデルにおける最大のデザイン・ミスかと。

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3.船体側面の汚水捨管などの表現、そしてちょっと見えにくいですが、中央部船底の形状などもアドバイスどおり修正されています。

4.艦橋構造物周りはアドバイスしたよりはかなりあっさりしたデザインとなっていますが、遮風スクリーンも含め、まあそれらしく表現されており、スケール的に見ても十分と思います。

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5.主砲塔の形状及び2番砲塔下部の円柱支部の形状が少々異なります。 また特徴的な砲塔側面の排煙窓や正面の照準窓が表現されていないなど、デザインがあっさりし過ぎています。 まあ、この辺はデザイナーさんのデフォルメ表現の範疇と言えば言えなくもありませんが ・・・・

6.煙突基部の二又表現がなされていないとのおまみ氏の指摘がありますが、実際にはここは三又となっており、かつその間にダクトがあるなど複雑な形状をしておりますので、このスケールでの表現としてはいたしかたないところであり、デフォルメ上の許容範囲と言えるでしょう。

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7.前後部のマストはほぼアドバイスどおりに修正されており、まあ十分な出来と言えます。 前部マストの後ろ傾斜もそれらしく表現されています。

ただし、前部マスト上部はおまみ氏の指摘にあるとおり黒色塗装は誤りで、また三脚部分の前脚がダクトの上部に載ってしまっています (これは最初のデザインの段階では正しくなっていたのですが ・・・・ ?)。

8.短艇類はアドバイスどおりの種類に修正されております。 ただ艦橋両脇の9mカッターが合戦準備状態となっているのは、どうもイーグルモス社としてはシリーズにおける日本艦のアクセントの一つと考えているようで、既刊のモデルでも指摘してきましたがどうも今後ともこの方針で行くようです。

9.これが本モデルでの最大の問題点と言えるでしょう。 飛行作業甲板上の移動軌条のパターンです。

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この「阿賀野」で最も不明なのがこの飛行作業甲板です。 図面も資料もなく、また写真も極めて不鮮明なものしか残されていません。

昭和17年10月の漂流試験とされる写真でも、また18年のトラックでの写真でも、あるいはこの甲板上での記念写真などによっても、本モデルのパターンとは異なるようです。 しかしながら、だからと言ってこれに関する正確な信頼に足る図面類はありません。

したがって、それらしくデザインしたもので誤魔化すか、パターンが公式図面などで正確に分かっているものを使うかの選択になりますが、本モデルでは後者を採用しております。


この「阿賀野」、本シリーズでは他の同型艦の予定はないためおまみ氏などは 「矢矧」 を期待されたようですし、また公式図が残されていることからもその選択肢もありましたが、やはりどれか1隻となるとイーグルモス社としてのタイプシップの選定で良かったと私も考えます。

さて、購読者の方々の評価はいかがでしょうか?

2014年01月15日

モデル・アドバイザーの独り言 (37)

◎ 第27巻 「古鷹」

本シリーズ第27巻は 「古鷹」 で、1926年の竣工時、20センチ単装砲6門の姿とされています。

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おそらくこの竣工時の 「古鷹」 が市販品としてモデル化されたのは始めてのことと思います。

そして、本シリーズは 「古鷹」 「加古」 と続く 「青葉」 「衣笠」 の4隻全てのラインナップが予定されており (「青葉」 は第15巻で既刊済み、1944年設定)、この 「古鷹」 が竣工時状態でモデル化されたことは、コレクションのバラエティさを増すものとなっています。

このことは本ブログ連載の始めにも申し上げたとおり、本シリーズ初期に参画し始めた時から私がイーグルモス社に対して主張してきたところで、それが実行されていることは嬉しい限りです。

さて、例によってモニターをされているHN 「おまみ」 氏による評価は、次のURLにUPされてます。


私としても、この 「古鷹」 もモデル全体の出来は悪くないと思います。 というか、最近はほぼこのレベルで落ち着いてきているように思います。

ただし、おまみ氏の指摘にもありますように、決して満足な状態ではないこともまたたしかで、本シリーズの更なる改善努力をイーグルモス社に期待するところです。


おまみ氏と重複するものもありますが、モデル・アドバイザーとしての所見をいくつか。

1.ここのところ毎回申し上げてきますが、このスケールとしての全体としての見栄えは良くなっていると思いますが、逆にモールドなどがあっさりし過ぎのような気もします。 私としては、もう少し細部を作り込んでも良いかと思いますが ・・・・

特に今回は、主砲塔、艦橋構造物、船体側面などのモールド、上甲板上の各種艤装・装備品の省略、あるいは舷側装甲板上端のエッジ、舷側魚雷発射管口扉、舷側汚水捨管、等々です。

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( 1929年当時の 「古鷹」 右舷中央部舷側 )

まあこれは、このスケールとしてどこまでのデフォルメを許容するかになりますが、購読者の方々にとっても好みの別れるところでしょう。

2.艦橋構造物のデフォルメがかなり異なった印象のものとなってしまっています。 特に羅針艦橋後部等の表現はちょっと問題があるかと。

3.就役時から1929年までは艦橋構造物左側に後ろに延びる大きなダクトがありますが、これが表現されていません。

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Furutaka_Photo_1926_01_mod1_s.jpg

公式図面がないことから、おそらくモデル・デザイナーさんが省いてしまったものと思われますが、かなり目立つだけに残念な点です。 アドバイスはしてあったのですが ・・・・

4.これは私のものの個体差なのかもしれませんが ・・・・ 船体と上甲板の接合部に大きな段差と隙間が生じています。

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モデル・デザインの部品分割の段階において、既に必要以上に大きな間隙を取っているため、部品製造・組立において発生するものです。

この問題は本シリーズ初期の段階に特に目立ったものでしたが、口を酸っぱくして指摘してきて、最近は少しは改善されてきていたと思っていただけに残念です。


既に度々申し上げてきておりますが、私はモデル・アドバイザーの一人として、モデル・プラン及びモデル・デザインの初期レベルに参画しております。

この 「古鷹」 についてもその各段階で多くのアドバイスをしてきましたが、かなりのものが採り入れられ、あるいは修正されていますが、その反面、上記のものも含めて採り入れられなかったものも沢山あります。

いつも不思議に思うのは、何故これらのアドバイスを全て採り入れず、その選択をモデル・デザイナーに任せるのでしょうか?

アドバイスを一旦全て採り入れた上で、1/1100スケールとしてのデフォルメをどうするかを考えるべき、だと思いますが ・・・・

それともう一点、同じ日本艦でありながらその表現・デフォルメの仕方が何故1隻ずつ異なるのでしょうか?

例えば、船体舷側の汚水捨管などの表現は、なされているものもあるかと思えば、この 「古鷹」 のように全く考慮されていないものが。 あるいは機銃や高角砲などの標準装備品の造形、等々です。

これはおそらく数名のデザイナーさんが一隻ずつ手分けしてデザインしているためと考えられます。 当然ながらデフォルメの手法などは個人個人で違ってきますので、そこをきちんとコントロールしていくのがイーグルモス社及びモデル・プラン担当部門の責任と思います。

折角の全80隻にのぼる統一スケールでのコレクションなのですから、そこのところはもう少ししっかりやるべきかと。 これも今後の残り50余隻の課題でしょう。

とはいっても、この 「古鷹」 、私個人としてはモデル・デザイン初期の状態からすると、何とかここまで見られるものにはなったな〜、と感じることもまた確かです (^_^;

ただ、搭載機が二式水偵ではなく、アドバイスどおりのハンザ式水偵ならなお良かったのですが ・・・・

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