2013年08月16日

米海兵隊の運用法 (5)

両用即応群 ARG

前回、MEU が世界中で突発する米国としての危機に第一義的に即応するために、6ヶ月交代をしながら常時前方展開する (している) とご説明しました。

しかしながら流石に海兵隊といえども、冗談にも米本土から海を泳いで海外に展開する訳にはいきません (^_^;

ではどのようになっているのでしょうか?

これが今回ご説明する米海軍の両用即応群 ARG (Amphibious Ready Group) (通称 “アーグ” と呼びます) と言われるものです。

ARG は、指定された管理編成の両用戦隊 PHIBRON (Amphibious Squadron) の中から各種タイプの両用戦艦艇3〜4隻で構成されるもので、これに先の1個 MEU を搭載し、指定された ARG 指揮官 (通常は両用戦隊司令 COMPHIBRON) とその司令部が運用します。

USAmphib_Ops_23_s.jpg

ARG の指揮官は MEU の指揮官がなるのではないことには注意して下さい。 両用戦 (上陸作戦) は海軍が行うものだからです。 つまり ARG は単なる輸送部隊ではない、ということです。

USAmphib_Ops_18a_s.jpg

1個 ARG には1個 MEU の人員と、その装備、機材及び15日分の弾薬・補給物資を搭載し、世界中の海洋に接する如何なる場所における危機にも直ちに対応できるように常時洋上待機します。

つまり、1個 ARG のみで、所要の地に到着後に直ちに搭載するヘリコプターや LCAC、AAV7などにより自力で上陸作戦を行い、15日間の1個 MEU のフル戦闘行動を支援することが可能です。

最近までは、この MEU を搭載した ARG は、太平洋と地中海に1隊ずつ MEU の展開サイクルと同じ6ヶ月交代で恒常的に展開し、状況に応じて大西洋、カリブ海やインド洋などにも配備する態勢をとってきました。

ただしこの ARG、実際の任務編成上では太平洋には2つあります。 それぞれ通常は ARG A (アーグ・アルファ) と ARG B (アーグ・ブラボー) と呼ばれ、以前は第7艦隊両用任務部隊指揮官 CTF76 の下に TG76.3 及び TG76.4 の番号が割り当てられていました。

( 任務編成ですので当然のことながら TG 番号はその時々の情勢・状況により変わってきます。)

( CTF76 である COMPHIBGRU 1 は、2006年にそれまでの両用戦艦艇に加え対機雷戦部隊や特殊作戦部隊などを統合した COMAMPHIBFOR7THFLT (Commander Amphibious Force, 7th Fleet) に改編されました。)

この内、ARG A が米戦域軍 (統合軍) たる米太平洋軍 (US Pacific Command) における危機対応の第一義的な即応部隊となっています。

USAmphib_Ops_22_s.jpg

太平洋艦隊水上部隊 NAVSURFORPAC (Naval Surface Force, Pacific Fleet) に属する4個の両用戦隊 PHIBRON (Amphibious Squadron) と I MEF の3個の MEU との何れかとの組合せにより、6ヶ月交代で米西海岸から展開し、常時洋上待機します。

( 太平洋艦隊における各 PHIBRON は、以前は第3両用戦群 PIHIBGRU 3 (Amphibious Group Three) の下に編成されていましたが、現在ではこの PHIBGRU 3 はなくなり、直接 COMNAVSURFORPAC (Commander Naval Surface Force, US Pacific Fleet) の下に置かれています。)

この “常時洋上待機” というのは、余程のことが発生しない限り、6ヶ月間どこにも帰港しないということです。

しかも、この6ヶ月の間常にその部隊・個人の練度・技量を維持しなければなりません。 艦上の海兵隊員のことを考えただけでも、これが如何に凄いことかをご想像ください。

もちろん、突発的な事情により止むを得ず特定の艦を港に入れることも全く無いわけではありませんが、その場合でも48時間以内に出港することが絶対条件です。
(この項続く)

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前 : 「その4 海兵遠征隊 MEU」

次 : 「その6 両用即応群 ARG (続)」

posted by 桜と錨 at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと
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