海兵遠征隊 MEU
沿岸域の陸上に対する投入戦力としては、空母艦載機によるものを除くと、海兵遠征隊 MEU (Marine Expeditionary Unit) が、米国による世界中に勃発する危機対応の第一義的なものとなります。
その兵力構成の標準は次のとおりです。

ただしこれはあくまでも標準というより一つの目安であって、実際の編成はその時その時で異なってくることに注意して下さい。 事態・状況に対応して柔軟な編成を採るのがこの MAGTF の特徴だからです。
したがって、実際のところ米軍の公式資料によってもそれぞれ装備や人員数がその時その時で多少異なっているものがありますが、どれもが正しいと言えます。
そして注意していただきたいのは、この MEU 編成において各エレメントの中の各部門に合計で約100名もの海軍将兵が含まれていることです。 約100名の海軍の部隊1つが組み込まれているということではありません。
ということはつまり、平時における人事・装備と教育訓練などの全ての面において、海兵隊と海軍とが一体となってその体制を作っていなければいなければできない話しです。
MEU の指揮官は大佐クラス (O-6) であり、それを補佐する司令部 (CE) のメンバーは常設です。 そしてこの司令部の下に、管理編成の部隊から準備の整った兵力が割り当てられて、実動の編成がなされます。
この MEU は、I MEF に 11、13、15 MEU、II MEF に 22、24、26 MEU、そして III MEF には 31 MEF があります。

しかしながら、この中で平時において実際に全兵力が配置された上で、即応態勢におかれて前方展開する (している) MEU は I MEF 及び II MEF からそれぞれ各1個 MEU のみです。
III MEF の 31 MEU だけはちょっと特別で、III MEF 自体が沖縄に前方展開していることから、この 31 MEU は太平洋・インド洋各国との共同訓練・演習などで出動する以外は、通常沖縄待機が基本とされています。
とは言いながら、昨今の情勢・状況からそうも言っておれず、最近では実作戦行動に駆り出されることも多くなりました。
この I MEF 及び II MEF から派出される MEU の即応前方展開は、6ヶ月毎にそれぞれの3個ずつの MEU の中から輪番で交代しつつ、常に1個ずつの MEU が継続して実施することになります。
例えば、最近のある時点での MEU の状況は、次のとおりであったとされています。

( 米海兵隊の公式資料から )
ただし当然ながら、この半年の即応展開期間中に実際に危機対応した場合には、順番や交代時期などが変わってくることは申し上げるまでもありません。
また、最近はこの MEU の出番というか必要性が大きくなりまして、なかなか振り回しに苦労しているのが実情のようです。 このため上にも書きましたように、III MEF の一つしかない 31 MEU まで実任務に駆り出されるケースが増えてきました。
(この項続く)
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前 : 「その3 海兵空地任務部隊 MAGTF」
次 : 「その5 両用即応群 ARG」
一連の御説明、毎回興味深く拝読させて頂いております。
まだ、途中ではありますが、ここまで読ませて頂いただけでも、我が自衛隊に海兵隊ができるのか相当疑問に感ぜざるを得ません。それ故、海兵隊的機能という文言にせざるを得なかった様にも思えます。
素人目には、米海兵隊に倣い、航空要員は空自から、陸上要員は陸自から移行し、海自が統括運用することが一番近道にも思えますが、海兵隊創設は焦眉の問題であるだけに、先生の専門家としてのお考えを是非お示し頂ければと思います。
取り敢えずは海兵隊・両用戦部隊とはどういうものかについて、米国を例にしてお話していきます。
そしてその上で、では日本はどうすれば、ということになりますが、その前に皆さんにも 「離島防衛」 とはどういうことなのか、何をしたいのか、をお考えいただければと思います。
離島と一言でいっても、それはどこの島々をさすのか。 魚釣島のような無人の小島なのか、宮古島のようなある程度人が住んでいるような島々なのか、あるいは沖縄本島のような島なのか。
そしてそれらに直接侵略を受けた場合、上陸して取り返すのか、それ以外の方法をとるのか。
・・・・ などなどです。 それがまず定まらなければ、海兵隊機能もなにも論じられません。
もちろん魚釣島のことだけでよいとするのなら、その答えは実に簡単なんですが ・・・・