2013年03月11日

モデル・アドバイザーの独り言 (4)

◎ どこまで緻密さ・精密さを求めるか

いかなるスケールモデルであっても、これが最も大きな課題であることは間違いのないところです。

それは例え1/96のシップヤードモデルをもってしても、あるいは呉の 「大和ミュージアム」 にある1/10 「大和」 でさえ、完璧に実艦どおりに表現するなどは不可能なことだからです。

縮尺する以上、必ずどこかデフォルメしなければなりません。 必然であり、宿命です。 では、どこを、どこまで、どのように?

確かに、最近の1/700や1/350スケールの組立モデルなどは、一昔前からするとその精密さ、緻密さには物凄い進歩があります。 かつて私も手を染めた静岡4社による1/700 「ウォーターライン・シリーズ」 の初期のものなどからすると、それこそ今や雲泥の差があると言っても過言ではないでしょう。

そして、それらのディティールアップ用として販売されている各種の専用エッチンク・パーツを始め、 最近の 「ナノ・ドレッド」 シリーズと称するものや、以前ここでもご紹介したことのあるベテランモデルの製品などは、その “ピン” の部類と言えます。

Veteranmodel_01_s.jpg
( ベテランモデル製の1/350用ディティールアップ・パーツの例 )

したがって、「世界の軍艦コレクション」 シリーズにおいても、現在の製造・加工技術のレベルをもってすれば、相当に細かい造形のものとすることができるでしょう。

では、実際問題として、本シリーズにそのような精密さ、緻密さを求めることが本当に適当なのか? これは当然、賛否両論があることでしょう。

もちろん、このサイズにあっても可能な限り精密・緻密であることは歓迎されることでしょう。 しかしそれには製造上のコストの問題に加えて、例えば、購入者の維持管理の問題なども伴います。

前者は申し上げるまでもないでしょうが、後者の場合で、もし取り扱いの最中に砲身やマストなどをポキッとやってしまったらどうするのでしょう? 本シリーズの主たる対象者にその場合のキチンとした修復が期待できるのでしょうか?

まあ、始めからブリスターパックなどの保護ケースから絶対に出さない (出せない) という前提にするなら、話しは別なのかもしれませんが ・・・・

また、上甲板以上は主としてプラスチックですから、もっと細かく部品分けすることにより緻密さを高めたらどうか、というご意見も当然あると思います。

これも製造・組立・塗装の問題でコストに跳ね返ってきますから、どこまで、どのように部品分割するかは難しい問題です。

モデラーさんの中からは、「自分で組立・塗装はやるので、完成品でなくて未組立の部品のままで販売して欲しい」 というご意見もかなりいただきました。

確かにそう言うものを模型店ルートで販売することも一つの方法かも知れません。 しかし、そうなると2つの製造・流通ルートが必要になりますし、なおかつ部品の精度などは現状の完成品でのレベルのままではモデラーさんは満足されないのでは、と考えます。

あるいは、かつてタカラ・トミーさんが出していた 「連斬模型」 を始めとする艦船シリーズのような、塗装済みの “半完成” モデルとすることによって、緻密度をある程度上げることもまた一つの方法かもしれません。 ( これはこれで面白い良いシリーズだったのですが ・・・・ )

Takaratommy_02_s.jpg
Takaratommy_01_s.jpg
( かつてタカラトミーから出ていた艦船シリーズの一例 )

しかし、これも考えてみて下さい。 このタカラトミーさんのものでも、満足に組み立てられなかった人がおられたことを。

そのようなことでは、本シリーズのコンセプトとポリシーに反することになります。 そう言う人達こそが本シリーズの主たる対象なのですから。

これらのことを考えると、緻密さ・精密さについてある程度のレベルで、というよりかなりのところで、妥協しなければならないことになります。

組立・塗装済みの “完成品” というコンセプトそのものが、コスト上の最大のネックだからです。

もちろん本シリーズの現状が、今後ともこのままの状態で良いとは、私も決して思っていません。 イーグルモス社の改善・改良努力を大いに期待するところです (^_^)

この記事へのコメント
あくまで私個人の評価ですが、ディティールに関しては、このスケールで最大限の努力をしているとは思います。
ただ残念なのが、組立ての雑さが目立つものが多いことです。
パーツの精密さは必要充分なレベルに達しているのだから、後は組み立て・塗装のフィニッシュの部分でガンバって欲しい。
自分で作れない・作るのが苦手な人向けなら、なおさらしっかり作って欲しいのです。
上部構造物がナナメだったり、砲身があらぬ方向に曲がっているのはカンベンして(笑)。
創刊号の大和、クレーンの上に飛行機乗ってるのには笑っちゃいました。
Posted by ken at 2013年03月11日 22:06
Ken さん、コメントありがとうございます。

>組み立て・塗装のフィニッシュの部分で
そうなんです、部品の合いも含めてこれが本シリーズの最大の課題。 これについては次回書く予定にしています。

>クレーンの上に飛行機乗ってるのには
これはもうイーグルモス社としては素直にごめんなさいするしかないでしょうね。 一体誰が考えて、誰がOKしたのか、私も不思議です (^_^)

第1巻の 「大和」 からの個々のモデルについては、この後順次お話ししていきますね。

でも、この価格でこのモデルのラインナップならば、決して悪くはないと思っています。 並べてなんぼのシリーズですから。 今後にご期待下さい。
Posted by 桜と錨 at 2013年03月11日 23:43
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/63579065
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック