2012年11月23日

大空への追想 (40)

著 : 日辻常雄 (兵64期)

第3章 艦隊勤務の巻 (昭和15年12月〜16年4月) (注)

    第1話 搭載艦物語

 ここで日本海軍水上機の歴史を少し繙いてみたい。

 海軍航空の生い立ちは水上機から始まっている。 すなわち明治45年6月迫浜に海軍航空術研究委員会ができた当時 (当時の海軍航空予算は年間10万円 − もりそば一杯3銭也 )、海軍が最初に購入した飛行機は次の2種類である。

     モーリスファルマン水上機  2機 (フラソス)
     カーチス水上機        2機 (アメリカ)

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( モーリス・ファルマン式小型水上機 )

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( カーチス式水上機 )

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( 創設当時の追浜飛行場 )

 大正元年12月横浜沖観艦式に、これら水上機が空中パレードをした。

 大正3年8月第一次世界大戦青島作戦に、海軍航空部隊が初参加した。 (陸軍も同様) すなわち輸送船 「若宮丸」 を改造して水上機母艦とし、これに水上機12機、搭乗員15名を乗り組ませ、青島の偵察爆撃を実施している。  航空の初陣である。

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( 大正4年 特務船 「若宮」 となった時の姿 )

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( 大正3年9月撮影の 「若宮丸」 飛行科士官 )

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(第二艦隊司令長官からの感状)

 この時の爆弾は大砲の弾丸にヒレをつけたものである。 

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( 当時の航空爆弾   左が海軍、右が陸軍のもの )

 注目すべきは、この時点において海軍は水上機の主任務として対潜作戦を打ち出していることである。

 航空母艦の建造に着手したのが大正8年。 であるから水上機母艦の方が6年早く出現している。

 なお、この年に横廠式水偵 (単発双浮舟、二座) を国産し、最初の長距離飛行として横須賀−佐世保間無着水飛行に成功した。

SR_Yokosho_Ro_A_01_s.jpg
( 海軍横廠式ロ号甲型水上偵察機 (初期生産型) )

 この頃から以後の10年間に、海軍は陸上機、水上機ともに急速な進歩を遂げたのである。


 さて第六航戦 (神川丸、能登呂) は、前述のように南寧作戦中に艦隊に編入され、内地帰還後、そのまま艦隊勤務に変わったのである。

 血腥い戦地行動から一挙に外洋索敵任務への転向なので、大分勉強の必要があった。 ただ 「神川丸」 の場合は正式の水上機母艦とは違って、洋上での発着には人一倍苦労があつた。
(続く)

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(注) : 本章は今日の話題社版には収録されていません。

この記事へのコメント
子供が飛行艇が好きなので、興味深く拝見しています。図書館でもなかなか目にする事ができない貴重な資料を読めるのには感謝しております。どうぞ無理のないペースでお続けになってください。
Posted by ろろ at 2012年11月27日 08:49
 ろろさん、こちらへのコメントありがとうございます。

 お楽しみいただけているとのことで嬉しいです。

 こういうものも出来るだけ多くの方に長く読み継いで欲しいと思い、私個人の責任において一般公開をしております。

 ただ、元々が海自隊員向けのものですので、そのままではちょっと一般の方々には少し分かり難いところがあるかと思いまして、気の付いたところにはできるだけ写真や地図を添えて注釈をいれることにしております。

 ちょっとスローペースですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

Posted by 桜と錨 at 2012年11月27日 18:37
貴重なお写真大慶です。
感謝申し上げます。
陸軍は風車付信管で海軍は砲弾のままの信管のようですね。
素人くさい質問ですが、陸軍も爆撃に参加していたのでしょうか。てっきり海軍だけかと…。
最初の頃は五寸釘をばら撒いたとか
Posted by みたもん at 2013年01月31日 21:02
追伸
愚問でした。陸軍もニューポール機等を投入していたのでした。お詫びいたします。
Posted by みたもん at 2013年01月31日 21:21
どうも同じことを質問するようで、気が引けますが敢えて上述青島戦砲弾改造爆弾の事ともう一点お伺いいたします。
●陸軍の爆弾の方が、風車信管付きの方でしょうか? 次はもしご存知でしたら、ですが…
●陸軍機に積んで行った軽機関銃は何という制式名でしょうか?ホチキスM1909の7.7_仕様かなとも思うのですが…
Posted by みたもん at 2013年02月09日 02:15
みたもんさん

あれっ? あっ、書き間違いで反対です。 左が海軍、右が陸軍のものです。 修正しました (^_^; 海軍の信管は魚雷の衝突栓の流用です。

なお、陸軍機のことは私がお答えするより陸軍専門の方にお任せした方がよろしいでしょう。 ここ↓ でお尋ねになるとよろしいかと。

     http://ansqn.warbirds.jp/

Posted by 桜と錨 at 2013年02月09日 18:48
ご丁寧にありがとうございました。
小生、昔からキャプションの右と左が良くわからない人なので…。
またご紹介のサイトも感謝申し上げます。
旧型魚雷の衝突栓は、確かあのような突起付でした。御礼
Posted by みたもん at 2013年02月10日 00:06
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