2012年08月29日

大空への追想 (19)

著 : 日辻常雄 (兵64期)

第2章 支那事変の巻 (承前)

    第3話 南支沿岸封鎖作戦 (承前)

        その3 陸上輸送攻撃 (承前)

(2) 15年8月15日橋梁、倉庫群攻撃

 倉庫や橋梁攻撃も又重要な戦術手段である。 6月初頭興化湾 (注) の攻撃で倉庫群と大橋梁に大きな被害を与えておいたが、3ヶ月後の15年8月15日、偵察によると見かけは破壊のままであったが、既に使用を開始していた。

 橋梁は徹底的に破壊しないと効果がない。 50糎の幅でも残っておれば手押し車が通るのである。 死んだと思った橋は生きているのである。

 また荷揚場付近の倉庫の攻撃には泣かされる。 必ずというくらい至近に第三国権益が存在するからである。

 この日の攻撃目標は倉庫である。 風下側にフランス国旗のマークをつけた建物ががんばっていた。 低空でこれを調査していると、この権益付近から機銃射撃をうけた。

「 卑怯者ッ 射つなら射って見ろ 」

 やられると、猛然とファイトが湧く。 しかもこれが要注意。 こういう時にとかくやられるものである。

 と言って紳士的行動をせよというのではない。 冷静に判断して反撃すべきである。 要するに我が方に被害がない限り、任務と攻撃目標を忘れてはならない。

 しかしあの時、私はカーッとなって “三権” も何も眼中になかった。 猛射を浴びせてからそのまま低空で倉庫を爆撃、運よく命中して黒煙濠々たる壮観を皇し首尾は上々だったが、これは幸運以外の何ものでもないと思う。

 調子がのっていたので、あのままだと仏権益まで叩き潰したと思う。 後席古参の偵察員から声あり、

「 フラソスの旗印をお忘れなく。」
(続く)

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(注) : 先の第14回で出てきました江口鎮がある現在の福建省ホ田市 (ホは 「蒲」 から三水を除いた字) の面する湾のことです。


koukawan_map_01_s.jpg
( 元画像 : Google Map より )

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