2011年05月31日

『艦船乗員の伝統精神』 − (23)

著 : 坂部省三 (元海軍少将、海兵37期)

  第三章 乗員の伝統的良風

 艦船の乗員の心掛は以上述べ来りたる所を実行に移し、誠心誠意、衰退し来れる船乗の精神を復活するにあるも、尚言い尽し得ざりし点を本章に於て具体的に追補したいと思う。

    第一節 艦の威容

 軍艦は主権に伴う尊敬と礼遇とを受くべきものなるを以て、乗員は常に艦内外の整正に努め、艦の威容保持に関しては特に最善の注意を払い、「軍艦は威信厳然として、戦わずして己に敵を屈するの概あるを要す」 と言われておる。

 然るに軍港内を一巡して見るに、外容のみに関しても大抵は欠点を有し、完全なりと思うもの僅かに過ぎざるは誠に遺憾とする所である。

 抑も、軍艦に於ける保存整備の目的は 「艦船の現有する戦闘力を維持、又は増進し、戦闘並に作戦上の要求を充たさんが為なり」 と信ずるが、吾々には前に述べた通り海軍の伝統精神である艦の威容を保持する為には、「外を綺麗に内を明るく」 と言う嗜みが大切であると思う。

 私は検閲の講評を拝見する度毎に考えるのは、錆と掃除、整頓の問題に限らず、更に大きく見て外舷や帆布、索具類等の手入整頓又は威容等に関し、乗員等の嗜みに対し一層詳細の講評を戴きたいと思う。

 佐世保に於ては、昭和6年より艦船部長が時々港内を巡視して講評して居るので、佐世保在泊軍艦の外舷は近頃軍港中一番綺麗であるが、外舷のみならず之を艦の威容と言う所まで拡げたらよいと思う。
(続く)

posted by 桜と錨 at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 艦船乗員伝統精神(完)
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