その目的とするところは、編纂者の一法師大佐の序に記されているとおりですのでこれをご覧いただくとして、日本海海戦を始めとする日露海戦に於ける将校などの体験談などは水交社のものなどを始め数多く出されているところですが、当時一兵卒として戦った人達のものはほとんど無いと言って過言ではないと思います。
本資料は作成当時の昭和初期には特務士官となっていた者達の手になるものですが、既に四半世紀の時が流れた後のものであり、多少の記憶違いなども含まれているであろうことは致し方ないものの、実戦体験の赤裸々な談話集として今尚貴重なものであることは変わりないと考えます。
今年は年末に私もお手伝いをしているNHKスペシャルドラマ 「坂の上の雲」 の第3部が放映予定であり、その第3回 (第12話) 及び最終第4回 (第13話) にて日本海海戦が一つの目玉となります。
また、横須賀にある 「記念艦三笠」 も今年は修復50周年を迎え、今月末にはその記念行事も行われるようです。
これら良き機会ですので、ここにご来訪の皆さんのご参考として本資料の全文をご紹介してみたいと思います。
なお、ブログ連載に当たり、読みやすいように旧漢字を新漢字に改め、また句読点の挿入や、文節、段落などに適宜改行を入れたことを予めお断りしておきます。
管理人 桜と錨
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『 特務士官の語れる日露海戦思ひ出話 』

本書は数年前の旧稿にして久しく編輯者一法師大佐の筐底に埋もれ居たるものなるも素朴なる従軍勇士の赤裸々なる告白として下士官兵の指導上適当なる参考資料と認め広く一般に薦むることゝせり。
昭和十年六月
海 軍 省 教 育 局
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序
日露戦役に従軍せる諸勇士も時の推移と共に現役を退き貴重なる戦訓も世に出ずして湮滅せられんとす諸将軍の懐旧談は有終会発行の懐旧録に其の一部を収録すと雖も直接砲後罐前等に在りて奮闘せる状況の世に伝へられざるは頗る遺憾とする所なり。
然るに本団に於ては日露戦役に参加せる幾多戦士の残存するあり畏友尾崎篤四郎中佐と諮り同戦役に於ける実況、感想等を録し以て実戦場裡に立たざりし後進の為め活教訓を残さんとその材料の蒐集に力めしが補助員の勉励努力により四閲月の日子を費して漸く之れが完成を見るに至れり。
録するものは何れも赤裸々の実状にして常時の状況を髣髴たらしめ真に吾人の好教訓となすに足るものと認む。
治に居て乱を忘れざるは武人不断の心掛なり本書此の意味に於て諸士の好参考となるべきものと信じ之を同好の士に頒たんとす希はくは斯の教訓をして永久の生命あらしめられんことを聊か記して序とす。
昭和三年十一月十日
呉 海 団 一 法 師 少 佐
(続く)
この「思ひ出話」に収録されている首記の執筆者は、呉鎮に籍があった特務士官だけでしょうか?私の祖父も、日露戦争に従軍した昭和初期の特務士官(機関科)でして、佐鎮に原籍がありました。ひょっとしたら、祖父の書いた手記が収録されているのではないかと思って、お尋ねする次第です。
余談ですが、明後日、つまり海軍記念日に佐世保への出張の予定が入りました。佐世保の海を見ながら106年前の祖父の姿を想像してみるつもりです。
>呉鎮に籍があった特務士官だけでしょうか?
基本的にそのようです。 ただし在籍港が呉でない艦、例えば三笠などに乗艦していた人もいますので、これが呉以外の在籍の人なのか、あるいは呉在籍で戦時乗組として乗っていたのかなどはちょっと判りません。
なお、主計、機関(沖四市機関特務中尉)、軍楽の人も一人ずつですが手記が掲載されています。
また、この懐旧談は「其の二」までは知られているのですが、その後も引き続き出されたのかどうかも判りません。
>明後日、つまり海軍記念日に佐世保への出張の予定が入りました。
それはいいですね、ゆっくり楽しんできて下さい。 そして「海自佐世保史料館(通称、セイルタワー)」もまだでしたら、是非ご覧になられるとよろしいかと。
佐世保も駅周辺を中心にその姿が大きく変わってしまったと聞いています。 私も機会があれば訪ねて見たいですが ・・・・
父の話によれば、祖父は海軍記念日に海兵団で日本海海戦の体験談を講話したことがあるそうです。どこかに、祖父が語ったものか書いたものがあればと思っています。個人的な記録の類は、空襲で消失してしまっています。