著 : 坂部省三 (元海軍少将、海兵37期)
第一章 海上勤務の特殊性 (承前)
第八節 実務主義と理論主義
運用術は特に実務を重んずることは誰しも承知のことなるも、動もすると実務即ち船乗の常識として片附ける結果、理論的方向を放擲し、徒に実務万能主義に傾くは最も考慮すべきことなるが、又一方理論に偏して実務を軽視することは其れ以上慎むべきことである。
要は、「実地実物に当り理論を消化し、理論に従って実務を処理する心掛緊要なり」 と言われている通りなり。
故に海上勤務者は、常に学理を経とし、経験を緯とし、凡ゆる場合の感を養い置き、咄磋の場合適切なる処置を講じ得る如く技倆の修練を要するのである。
(続く)