先の大谷幸四郎元海軍中将の 『運用漫談』 に続き、これから連載を致します 『艦船乗員の伝統精神』 は、坂部省三氏 (海兵37期、海軍少将) が昭和10年に横須賀鎮守府付となったのを機会に纏められたもので、昭和12年に横須賀鎮守府より全海軍に配布されたものです。

坂部省三氏については馴染みのない方も多いと思いますが、海兵37期卒 (明治42年)、以後一貫して運用畑を歩み、大尉の後半からはそれに関連して運用術練習艦 (後、練習特務艦) となっていた 「富士」 「春日」 の運用長や兵学校教官などの教育畑を多く経験した後、昭和7年には 「富士」 特務艦長を務めました。
昭和10年に横須賀鎮守府付となり、同12年には海軍少将、予備役編入となりましたが、この辺の経歴をみると、どうも途中で体を悪くされたような気がしないでもありません。
本史料が書かれた経緯及び主旨については、巻頭言及び緒言に述べられておりますので省略しますが、艦艇の運航、海上作業等において、基本として守らねばならない古くからの教えが網羅されており、いわゆる 「シーマンシップ」 について非常によく纏められています。
今から70年以上も前のものであるにも関わらず、読み返す度に現在の船乗りにとっても耳の痛い内容ばかりで、今日でも 「シーマン・シップ」 教育のための最良の資料の1つです。 是非とも現役の海自幹部諸官には熟読をして貰いたいものです。
また、一般の方々にとっては 「海上勤務」 というものがどの様なものなのかをご理解いただくための恰好のものと考えます。 どうか、船乗りになったつもりでじっくりと味わって下さい。
なお、ここで掲載いたしますものは、もう20年ほど前、私が 「はるな」 砲雷長時代にワープロで起こして第3護衛隊群内に配布したものからです。
カナをひらがなに、一部の旧字を新字体に直し、適宜句読点を加え、段落を整えておりますが、それ以外は原文のままです。 もしかすると、誤字・脱字が残っているかもしれませんが、その場合はご容赦をお願いいたします。
管理人 桜と錨