
約250頁の部内資料とは言いながら、今回のものは部外の印刷業者に外注したハードカバーの立派な “書籍” です。
著者の福田一郎氏は、もちろん音楽評論家の方ではなく (^_^; 海兵26期、元々の水雷畑から潜水艦乗りの道に進まれた元海軍少将です。
本書は、元々は昭和33年〜35年に当時の雑誌 『海と空』 に連載された 『どん亀話』 『続どん亀話』 を元に、改めて単行本用に書き直されたものですが、“さる事情” (本書序より) により出版には到りませんでした。
その原稿をそのままボツとすることは勿体ないということで、昭和44年に福田氏が海自に寄贈したものを、先のとおり第1潜水隊群において参考資料としたものです。
内容はタイトルが示す様に、その誕生から第1次大戦までの初期潜水艦の発展について、その建造史に止まらず、作戦・運用、戦史、事故・災害に到るまでの幅広い内容を簡潔に述べたものです。
写真も豊富で、中には大変珍しいものもかなり含まれています。 ただ残念なことに、印刷・製本のコストの関係と、当時の技術をもってしてはこれを活かし切れていない点でしょう。
本書がどれだけ印刷され、どこにどの様に配布されたのか不明ですが、もしかしたらどこからか古本として古書店に出るかもしれません。 (ネット上の履歴を見ると実際に出たことがあるようです。)
この方面に興味のある方は入手されておいて損のないものと思います。

( 明治38年10月第1潜水艇隊各艇竣工記念 最前列左から
4人目が当時第4号潜水艇艇長だった著者の福田一郎大尉 )
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余談ですが、本書が部内資料として印刷された際の著者の 『前書き』 の中に次のことが記されています。
| 挿入すべき多数の図面は本冊子の (当初企図した) 発行に尽力された福井静夫氏に一括して託してあるので、ここには手元に残った若干のものだけを使用したに止まったのは 甚だ遺憾 である。 |
これが言外に何を言わんとしたのかは明々白々でしょう。 海軍の大先輩たる著者に海自部内資料でここまで言わせるのかと。
それで結局その故福井静夫は何をしたのか? 多くの関係者が存命であった当時であるならば、まだ解明可能であり後世に残せる史実も多数あったにも関わらず、それら全てを永遠の闇に葬りさっただけ。 「艦艇研究家 福井静夫」 の名だけを残して。
今日の艦艇愛好家さん達の中には、厖大な史料・資料が散逸せずに残ったのは福井静夫の大いなる功績である、などと “本末転倒” なことを言い出す人がいます。
それが残ったのはそれを福井静夫が意図した訳ではなく、単なる死後の結果論でしかありません。 実際、段ボール箱数百個分といわれたそれらは、キチンとした何らの整理も管理もされていなかったのですから。
そしてその史料・資料集めの口実として利用した 『日本海軍艦艇総集』 (注) などは始めからそのつもりはなかったと判断せざるを得ません。 事実、今日に至るまで、本人が 「何分冊になるのか判らない」 と公言した、その原稿・草稿の “だたの1枚” でさえ明らかになっていないのですから。
(注) : 福井静夫が度々口にして “公約” した 『日本海軍艦艇総集』 について、ご存じない方がおられましたら、本家サイトの次のものをご参照下さい。
苦言の話は知らず興味深く拝見出来ました
一号艇竣工の写真も初めてです 三男の福田辰雄が未だ存命ですので今度訪れたら探して見ますが見付からなかったらコピーを頂けませんか?
福田一郎氏のご家系ですか、立派な御祖父様をお持ちですね。
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もちろん喜んで。 原本が見つからない時は仰ってください。