2011年02月23日

南西方面護衛戦資料

 今回は海上護衛戦について、まだ比較的新しい資料を2つご紹介します。

 防衛研究所から出されたもので、平成6年の 『 南西方面航路における船団護衛作戦 −第1海上護衛隊の船団護衛作戦 』、もう一つは平成7年の 『 南西方面航路における船団護衛作戦 −第901航空隊の対潜作戦 』 です。

escort_sw_01_1994_s.jpg   escort_sw_02_1995_s.jpg

 共に、防衛研究所戦史室に残る各種の史料を中心にして纏め上げたもので、統計的な観点から要領よく記述されています。

 両者は、というより第901航空隊そのものが第1海上護衛隊の作戦を補完する意味で作られたものですから、この2冊は合わせて1冊と考える方がよいでしょう。

 ただ残念なのは、本ブログで連載しました 『第12震洋隊物語』 でもコメントしましたとおり、『第1海上護衛隊戦時日誌』 の昭和19年12月分が防衛研究所にもないことです。 このデータの欠落はちょっと痛いところ。

 とはいえ、これだけ纏まったものというのは他にありませんので、この分野に興味のある方は入手されておいて損はないと思います。 特に巻末の注記にある引用史料名は有益でしょう。

 それにしても、この資料を読んで改めて思うことは、旧海軍が護衛戦を軽視した云々よりも、結局の所 “持たざる者” の性で如何ともしがたいものであったこということです。 まさに “貧すれば鈍する” で。
posted by 桜と錨 at 12:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 海軍のこと
この記事へのコメント
桜と錨様

僕は大学時代に海上護衛について研究をしておりました。当時は戦史叢書や大井篤氏の著作物、その他海上護衛に関する戦記本や史料集関係を参考にしていたのですが、もしこの史料を知っていれば・・・と思います。ちょうど紹介されている史料の刊行年に研究をしていたので(苦笑)

海上護衛を研究する前は、日本海軍の海上護衛対策を軽視している、と思っておりましたが、研究をはじめて気がついたのが、軽視ではなく重視したくても出来なかった、ということでした。日本海軍の制海権思想も影響しておりますが、それ以上に、直接護衛をすべき兵力が少なすぎた、と言えると思います。第一線艦艇の充実で精一杯な状況では、直接護衛は難しかったと思います。
戦前は各鎮守府や要港部、警備府が担当海面の交通保護に任じることになっていましたが、当然のことながら、鎮守府や要港部、警備府の任務はそれだけではなかったですし、ただでさえ第一線兵力が不足をしているのに、警備兵力の充実などもってのほか、だったと思います。
上京した折にはこの史料を読みたいものです。
Posted by へたれ海軍史研究家 at 2011年02月23日 16:01
へたれ海軍史研究家さん

 海上護衛を考えていなかった、対潜戦の能力がなかった、航空主兵への転換が遅かった、空母が足りなかった、レーダーへの理解が無かった、etc. etc. ・・・・

 戦後になって結果を見てから、さも判った様な顔をしてものを言うのは楽なことです。

 しかしながら、そう言う批判をする人達に限って、話しはそこで終わってしまいます。 本当にそれだけで済む話しなのでしょうか?

 もっと根本的な事は、日本という国家として一体どの様な 「戦争」 をやり、どの様にしてそれに勝利するのか。 これを 「Grand Strategy」 と言っても良いですし、「国家戦略」 「政戦略」 などと言ってもよいでしょう。 あるいは 「War Plan」 でも良いでしょう。 この肝心なことを当時の日本は誰も考えなかったし、作りもしなかった。

 持たざる小さな島国である日本が、その僅かな人、物、金を肝心な目的の為に適正に配分する、即ち 「resource allocation」 のための、国家として最も肝心な方策が存在しなかった。

 軍人は本来 「戦闘」 をするのが役目です。 「戦争」 ではありません。 したがって、その方策が示されなければ、軍人は自分達の 「戦闘」 を中心、主体でものごとの総てを考える様になるのは当たり前の成り行きです。

 国家としての方策の欠落も、これを総て軍人のせいにするのは簡単で楽なことです。 しかもその責任が全く無かった訳ではありませんから。 しかし本当にそれだけで済む話しなのでしょうか?

 持たざる国家であるからこそ、国家として最もそれを最優先で考えねばならなかった。 その責任は軍人だけではなく、日本という国家・国民そのものにあったはず、と私なら思います。 総てを軍人のせいにするのは、単なる逃げ口上に過ぎません。 自分は軍人ではない、善良なか弱い一般市民、良識ある知識人なのだという。

 これは 「軍」 「軍人」 という存在が無い現在の日本の状況を見ても、火を見るより明らかです。

 ・・・・ という堅苦しい話しはともかくとして、

 海上護衛戦に関する史料・資料はまだありますので、この後も機会をみて順次ご紹介したいと思います。
Posted by 桜と錨 at 2011年02月24日 02:04
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