2011年01月16日

斉射のやり方 (2)

1.射撃の手順 (承前)

(3) 各砲台へ発砲諸元の伝達
(4) 砲台における調定と照準


 これらについては射撃指揮というよりは、主として艦の砲戦関係機器・設備に関係してきますが、既に 『連装砲の発射法』、『距離通報器について』、『艦砲射撃の基本中の基本 − 照準について』 などでご説明しておりますので詳しくはそちらをご覧ください。


 ここで再度強調しておかなければならないことは、日露戦争期においては、艦橋から各砲台への距離号令通報器でさえ主砲、副砲、補助砲併せて1艦で1系統しかなく、後は伝声管、電話、メガホン、伝令、示数盤、黒板などによって伝達していた状況であったということです。

 したがって、『別宮暖朗本』 の著者が言う

 砲術長は、主砲、左右舷側の6インチ砲といった4つ程度のグループに分け、計算結果を連絡し、それをうけたグループは全砲門をそれに従わせ、斉射をおこなった。 これが中央管制(Central Fire Control)といわれるものである。 ・・・・ (中略) ・・・・ 中央管制は斉射法と表裏をなすものである。 つまり砲術将校 (=分隊長) を砲ごとにおくのは現実的ではない。 (p66) (p70)

 射撃のタイミングについていえば、帝国海軍の艦艇には砲手のそばにブザーがあり、2回ブッブーとなると 「準備」、ブーと鳴ると 「撃てー」 を意味した。 そして旋回手や俯仰手は、「準備」 の前に砲弾を装填した砲身を苗頭の指示をうけ、修正しなければならない。 引き金を引く砲手は、単にブザーに合わせるだけだ。 そして 「撃てー」 の合図で、どちらかの舷側の6インチ砲は一斉に射撃した。 (p66) (p70〜71)

 近代砲術の世界では大中口径砲手の腕や目や神経は、命中率とは関係がない。 いくら砲手を訓練したところで事故を防ぐことはできるが、命中率をあげることはできない。 6インチ砲や主砲を命中させることができるのは、砲術長、すなわち安保清種なのである。 (p269) (p278)

 大口径主砲の砲手は、目盛り操作と弾丸装填のみに集中しており、敵艦をみるチャンスはない。 またみえたとしても目標は砲術長が決定するのが原則である。
(p270) (p279)

 など絶対になるわけがない 、全くのウソと誤りだと言うことです。

 仮に 「一斉打方」 や 「交互打方」 をやりたかったとしても、当時は物理的 “にも” 出来なかったのですから。
(この項続く)
posted by 桜と錨 at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し
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