2011年01月07日

旧海軍艦艇の弾火薬庫事故

 今年初の史料紹介は、旧海軍艦艇における弾火薬庫事故についての 『旧海軍艦艇における弾薬爆発 (発火) 事故調査資料』 です。

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 これは昭和42年に海上幕僚監部技術部が日本兵器工業会に依頼し、旧海軍の関係者が取り纏めたもので、「取扱注意」 の部内参考資料として印刷され限定配布されたものです。

 明治38年9月の佐世保における 「三笠」 爆沈を始め8件の弾火薬事故について記述され、加えてこれに関連した事項が補足されています。

 この史料を見る限りで感ずることは、旧海軍では艦艇の弾火薬庫事故が多かったにも関わらず、その原因調査が徹底されず曖昧なままとなったこと、そして未遂事件も含め人為的と考えられるものがかなりあることです。

 国家・国民を守る軍を預かった者として、人命はもちろん軍艦を事故で亡失した以上、原因を徹底的に調査し、適切な対策・措置を施すことはもちろん、キチンとした資料を残すこともその責任であったはずです。

 にも関わらずそれを行って来なかった。 今となっては、事故原因も含めたそれらの真相は究明のしようもありませんが ・・・・

 しかも、終戦により旧海軍は解体・消滅し、新たな海上自衛隊が創設されたにも関わらず、このような旧海軍の事柄を何故今さら “内容的に部外に公表することは好ましくない” (前書きより) とするのか? 本史料を読んだ当時から疑問に感じています。

 そして、この史料も今では当の海上自衛隊に残っているのかどうか ・・・・ ?
posted by 桜と錨 at 12:52| Comment(4) | TrackBack(0) | 砲術の話し
この記事へのコメント
8隻もありますか。
私が知っているのは
三笠、松島、河内、筑波、陸奥
でいずれも沈没ですね。
沈没には至らなかった事故があるのでしょうか。
Posted by 出沼ひさし at 2011年03月19日 00:59
出沼ひさしさん、こん**は。

8隻ですが 「三笠」 が重複していますので、正しくは7隻 (8件) と言うべきでしたね。 つまり、「三笠」 の明治38年の爆沈時と、大正元年の未遂事件です。

あとの6隻 (6件) は、「磐手」 「松島」 「日進」 「筑波」 「河内」 「陸奥」 です。

この内、沈没に至らなかった 「三笠」(大正元年) 及び 「磐手」 「日進」 については人為的なものであることがハッキリしています。 また、爆沈した5隻 (5件) の事件でも人為的ではないと完全に断言できるものは一つも無いとされています。

これらのことも合わせ、旧海軍艦艇における弾火薬庫事故には人為的なものがかなりあると推測される所以です。
Posted by 桜と錨 at 2011年03月19日 11:12
なるほど、日進、常磐については知りませんでした。
しかし人為的な爆発事故が多いとは。

装甲巡洋艦以上で比較してみると
日本では7隻
イギリスではヴァンガード、ブルワーク、ナタールの3隻
イタリアではレオナルド・ダヴィンチ、ベネデット・ブリンの2隻
アメリカではメインの1隻
フランスではイエナ、リベルテの2隻

こんなところでしょうか。
保有数との比率で考えると日と伊が同じ、フランスは少なめ、イギリス、アメリカは少ないといったところでしょうか。
ドイツが皆無なのはさすがと言うべきでしょうか。
Posted by 出沼ひさし at 2011年03月19日 13:08
流石は出沼ひさしさん、よくご存じですね。

因みに、私が知る限りでは次のとおりです。 (沈) は爆沈したもの。

英 : ナタール (沈)、ヴァンガード (沈)、ブルワーク (沈)、フォックス
伊 : レオナルド・ダ・ヴィンチ (沈)、シシリア、マルコポーロ
仏 : イエナ (沈)、リベルテ (沈)、ヴォーバン、グロリア
米 : メイン (沈)
ブラジル : アクイダバン (沈)

>ドイツが皆無なのはさすがと言うべきでしょうか。

 弾火薬の製造・品質管理、弾庫の艤装、保管、その他外的要因も含めて全ての面で良かった結果と言えるでしょうね。 ただし、爆沈などの大事故に至らないものについてはほとんど判りませんので、何とも言えないところもありますが。
Posted by 桜と錨 at 2011年03月19日 16:40
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