2009年08月14日

NHKの番組と『軍令部令改正之経緯』

 9(日)の午後9時からNHK総合テレビで 『日本海軍 400時間の証言 第一回 開戦 海軍あって国家なし』 という1時間番組がありました。

 ここにご来訪の皆さんならご覧になられた方々も多いと思います。

 番組そのものは、センセーショナルなところばかりをつまみ食いしただけの、極めて意図的な、“始めに結論ありき” 的な編集であり内容でした。

 もっと言えば、不必要に “売らんかな” だけが強調される最近の悪いジャーナリズムの典型そのもので、NHKでさえこんなものを作るのか、と思いましたね。

 それに中身的にも特に目新しいものはありませんでしたし。

 肝心の録音テープにしても、戦後35年以上も経ってからの証言集にどれだけの価値を見出せるか、ということになります。 しかも証言をつまみ食いする以外には何等の裏付けもとらずに。

 そしてなによりも、NHKが新発見新発見と言う割には、この「海軍反省会」というものの全貌が正しく正確にキチンと示されていません。

 この番組についてのミクシイのマイミクさんの日記にもコメントを付けさせていただきましたが・・・・

 出席者、証言者の全体が不明で、自由参加なのか、ある程度メンバーをキチンと揃えて、偏りのない証言、証言者を得たのかと言う点も不明であり、疑問な点です。

 しかも、本当に要職にあった生き残りの高級幹部達の証言を集め得たのか? それさえも判りません。 特に第1回について言うならば、悪く言えば肝心要の富岡定俊氏などが死去したのを見計らって会を開いたんではないか? とも疑いたくなります。

 最大の問題点は、終戦後35年以上も経ってからのものですので、出席者そのものの記憶も細部についてはどうかということと、既に各自がそれぞれ別の人生を確立してしまった後ですので、良い意味でも悪い意味でも各自それぞれの思惑があるかと。

 言い方を変えると、言いたいことがある人が出てきて言いたい放題言ったとか、気の合う仲間が集まって “あいつらを吊し上げよう” とか、そう言った傾向が無かったのかです。

★ ★ ★ ★ ★

 ところで、この番組の中で突然 『軍令部令改正之経緯』 という文書が出てきました。 軍令部総長としての伏見宮殿下の名前が出てきたところですので、覚えておられる方もおられるかと。

 この文書、別に目新しいものではなく、研究者の間では以前から知られていたものなのです。

 が、問題はNHKがこの文書についての正確な説明をしないまま、都合のよい文言だけを採り上げていることです。

 当該文書は、実際には2部からなっており、海軍大学校教官であった高木惣吉中佐(当時)が、第1部は昭和9年に高橋三吉中将から軍令部第二課長及び軍令部次長の時について、第2部は昭和10年に井上成美大佐 (比叡艦長) から軍令部第一課長の時について、それぞれ聞き取りを行った時の 「メモ」 です。

(そう言えば高木惣吉氏も上記反省会開催開始直前の昭和54年に物故されていましたね。)

 こう言う説明が全くないまま、さもこれが海軍の “公式文書” であるがごとく編集され放映されたことは、その姿勢に疑問を覚えます。

 そしてここで一つ疑問が。 私の手元には当該文書のコピーがあるのですが、表紙も中身も全て手書きです。

kaisei_01_s.jpg

 ところが、NHKで放映されたものは、確か表紙は手書きでしたが、中はタイプ印刷のものが写されていました。 こんなタイプ印刷したものが別にあったんでしょうか?

 しかもNHKの画面に映ったものでは、

「・・・・〇〇〇ハ此ノ案ガ通ラネバ〇〇ヲ辞メル・・・・」

 となっていましたが、私の手書きのものでは

「・・・・××ハ此ノ案ガ通ラネバ〇〇ヲ辞メル・・・・」

 となっています。

kaisei_02_s.jpg

 NHKのものは放送で視聴者に判らせるようにわざと 「〇〇〇」 と 「伏見宮」 の三文字に合わせてあるようにも見えたのですが・・・・?

( 最後の件は録画をしておりませんので再確認しておりません。 どなたか録画されておられましたらお願いします。)

(追) : 最後の件につきましては、コメント欄にありますように、手書きのものと同一であった旨のご確認をいただきました。 山本一雄さん、ありがとうございました。 (8月16日)




posted by 桜と錨 at 20:48| Comment(6) | TrackBack(0) | 海軍のこと
この記事へのコメント
録画していましたので確認したところ、放送されたものものは手書きと同じでした。
Posted by 山本一雄 at 2009年08月15日 18:14
山本一雄さん

ありがとうございました。 この件、本文を修正追加いたします。
Posted by 桜と錨 at 2009年08月16日 02:15
もう25年ほど前になりますが、昭和58年か59年に、郷友連盟に出入りしていた人から「海軍反省会」の話を聞きました。
「反省会をやるとは海軍は随分、進歩的ですね。」と言ったところ、「実質的には愚痴大会だよ。『あいつのせいで負けたんだ』のような発言が多いんだよ。」と聞かされ、がっかりした覚えがあります。

以上、伝聞ですので事実とは違うかもしれませんが、反省会をやっていた当時、そのように感じていた人もいたということで。
Posted by 出沼ひさし at 2009年08月17日 21:16
 出沼ひさしさん

 そういう話しが出てきますので、この類のものの取り扱いは慎重にする必要があるんですよね。
Posted by 桜と錨 at 2009年08月17日 23:34
NHKは先日の「台湾」問題の番組や、「沖縄住民自決の軍命令」問題の番組で、明らかな偏向が問題視されています。僕もこの2つの番組を見て怒りと悲しみで涙が出ました。国営放送が完全に共産化されています。数年前までは、よいドキュメント番組を作っていたんですけどね。
そのため、NHKのこの手の番組をどうしても見る気がせず、この番組も予告編で気にはなりましたが、見ませんでした。ちなみに、一昨夜だったかBSでやっていた、当時の映像をカラー化したという試みの番組は欧州戦中心だと思って見てしまいましたが、こちらの戦いも扱っていて「マッカーサーがフィリピンを解放(解放ですよ!)」と、明らかに偏向したナレーションが入っていて、唖然としました。
Posted by 凡夫 at 2009年08月19日 23:46
凡夫さん

今NHKも色々大変なようです。 「NHK」とはいいながら、その番組は系列会社に下請けに出したり、外部の人を多数傭ったりで。 その上、ゴタゴタ続きで・・・・

ですから、NHKの姿勢がそうなのか、個々の番組の内容まで統制できないのか、よく判りません。

しかしながら、以前と比べると内容的に 「?」 と思うよな偏りが出てきている番組が目に付くことは確かですね。
Posted by 桜と錨 at 2009年08月20日 11:41
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