しかしながら、旋条(ライフル)砲が普及して砲弾の形状がこれに適した長軸弾となるにつれて、この弾丸重量をもってする方法は実状に合わなくなってきました。
ここに来て従来のポンド表記でその名称を示してきた旋条砲は、口径、即ち旋条の山から山への砲内内径で表すものへと改めるのが一般的となりました。
前回の(1)でお話ししましたように、旧海軍では明治始めの創設期から艦載砲の呼称には輸入元の元々の名称により、そのままセンチ、インチ (inch)、ポン ド(pound) 及びミリ (millimetere) の4つを制式に使用していました。
そして明治41年には名称統一のために、3インチ砲以上の大・中口径砲はインチで表記することとなり、この時にポンド表記であったものは次のように改正されました。
五十口径露式十二听速射砲 → 五十口径露式三吋砲
四十口径安式十二听速射砲 → 四十口径安式三吋砲
四十口径一号式十二听速射砲 → 四十口径一号三吋砲
四十口径四十一年式十二听速射砲 → 四十口径四一式三吋砲
一号式短十二听速射砲 → 一号短三吋砲
ところが何故かこの時、旧海軍は3インチ未満の砲についてはそれまでのミリ表示から、この旧式なポンド表記にしてしまいました。 残念ながらこの改正理由についてはハッキリしません。
この時の小口径砲の名称改正は、次のとおりです。
五十七密米保式速射砲 → 保式六听砲
五十七密米山内速射砲 → 山内六听砲
四十七密米保式重速射砲 → 保式三听砲
四十七密米山内重速射砲 → 山内三听砲
四十七密米露式重速射砲 → 露式三听砲
四十七密米保式軽速射砲 → 保式二听半砲
四十七密米山内軽速射砲 → 山内二听半砲
三十七密米保式速射砲 → 保式一听砲
しかしながら、大正6年になって艦載砲の口径表記が全てインチからセンチに改正されたのに伴い、この小口径砲のポンド表記も、センチ表記に改められることになりました。
この時の小口径砲の名称改正は、次のとおりです。
山内六听砲 → 山内六糎砲
保式六听砲 → 保式六糎砲
一号六听砲 → 一号六糎砲
山内三听砲 → 山内五糎砲
保式三听砲 → 保式五糎砲
露式三听砲 → 露式五糎砲
三听内筒砲 → 五糎内筒砲
山内二听半砲 → 山内短五糎砲
保式二听半砲 → 保式短五糎砲
二听半内筒砲 → 短五糎内筒砲
三听大仰角砲 → 五糎高角砲
二听半大仰角砲 → 短五糎高角砲
ここに来て、旧海軍の砲熕武器の名称からポンド表記のものは全てなくなりました。
因みに、19世紀末から20世紀初めにかけての小口径速射砲の世界的なメーカーであったホッチキス社のカタログによりますと、既に1884年の段階でポンドとミリとが併記されています。 保社における表記は次のとおりです。
1ポンド砲 → 37ミリ砲
2.5ポンド砲 → 47ミリ砲(短)
3ポンド砲 → 47ミリ砲(長)
6ポンド砲 → 57ミリ砲
9ポンド砲 → 65ミリ砲
33ポンド砲 → 10センチ砲
(注):「内筒砲」の「筒」の字は、本来は「月」偏に「唐」と書きますが、一般的なフォントにはありませんのでこの字をもって換えております。