つまり推進機関の準備所要時間のことです。
中には、車と同じで 「スイッチ一発!」 などと思っている人もいるようですが・・・・(^_^;
蒸気推進艦の例をとりますと、
1. まずボイラーに点火して高温・高圧の水蒸気を出せるようにしなければなりません。 これを 「気醸」 といいます。
2. プロペラを回すための蒸気タービンや蒸気管、蒸気弁などを暖めなければなりません。 これを 「暖気暖管」 と言います。
3. この1.及び2.が完了したら、キチンとプロペラを回せるかどうかのテストをして確認する必要があります。 これを 「試運転」 と言います。
それぞれに必要な時間は、ボイラーやタービンの形式・大きさなどによって異なってきますが、旧海軍における一般的なものとしては、
まず1.の気醸ですが、ボイラーに点火してから蒸気圧が使用圧力になるまでに、水管式で1〜3時間とされていました。 古い円管式では、小円缶で4〜12時間、大円缶になると12〜24時間もかかっています。
2.の暖気暖管ですが、小型のタービンなら3〜4時間、大型のものでは中には24時間かかるものもありました。
では、気醸が終わらないと暖気暖管に移れないのかというとそうではありません。 補助ボイラーといって、ご飯を炊いたり、真水を作ったり、発電機を回したりするためのものが動いていれば、これの蒸気を利用して暖気暖管をすることができますし、補助ボイラーを持っていない艦では、幾つかある主ボイラーの内の1〜数基を炊いていますので、これを使用します。
ただし、通常は出港時には全力発揮可能の状態にしますので、全ボイラー、全タービンは使用可能状態にしなければなりません。
そして試運転は、順調に行って大体10〜15分かかります。
この試運転は、岸壁繋留又は浮標繋留ならば出港の45分前までに、錨泊ならば30分前までに完了しておくのが普通です。
そしてこの試運転が完了して始めて、艦全体で出港準備の作業に入ることになります。
これに加えて、この試運転までにやっておかなければならないことは沢山あります。 蒸気タービンの回転をプロペラ回転数に落とす減速装置の準備。 舵取装置はもちろん、各種通信器(例えば速力通信器など)の作動確認、等々があります。
当然ながら、気醸や暖気暖管を始める前にやっておかなければならない準備作業も沢山あります。 煙突の確認に始まり、ボイラーを炊くための通風装置、油圧装置などの各種補機の準備、燃料系統の準備・確認、等々。
ですから機関科員は出港の前日から大変に忙しいことになります。
戦時に、例えば空襲を受けて緊急出港する場合などは、上記の中でかなりのことを省略するなどして、一部の機器が準備できないまま、あるいは故障することを覚悟して無理に動かして、これらの時間をある程度短縮することは可能です。
しかしそれでも 「スイッチ、ポン!」 などとはとても行かないことはご理解いただけると思います。
因みに、戦後の海上自衛隊では、蒸気推進艦の気醸及び暖気暖管の標準は次のとおりでした。
気醸 : 普通 1時間30分、 至急 1時間
暖機 : 普通 1時間30分、 至急 45分
う〜ん、それにしてもHN 「駄レス国務長官」 さんもご苦労なことですね (^_^)
本来なら海軍から連絡官を派遣して、徴用商船の幹部職員も予備役の海軍士官の身分とするなどして、対等に協議が出来る態勢が無いこと自体が、日本軍は本格的な外征軍の体を成していないですね。
例えば、高等商船学校生徒は入校日に海軍兵籍に入り「海軍予備生徒」となり、卒業後に一定の教育を受けた後に予備士官となります。
ですから、商船の船長及び乗組士官は全員が海軍予備士官です。(年齢が退役年齢より若ければ)
ただしこれは召集を受けた場合に効力を発揮しますが、召集されて予備士官として服務するとなると一般商船に乗り組むことができません。 予備士官を船長として当てるには、船そのものも特設艦船に編入しなければなりませんが、当然これでは陸軍の容認するところとはならないでしょう。
戦闘に従事するならともかく、輸送のための徴用であるなら、これは考えるところです。 米軍のように統合軍組織の一つとしてのMSC(Military Sealift Command)の様なものが作れるなら別ですが。 もっとも、その米軍でさえ陸軍は陸軍で別に船舶を持っていますので・・・・