あの公表資料が作られた2001年の時点で、米軍が考えていた対弾道弾の防御手段は ↓ の5つでした。

この内、大気圏内防禦(Lower Tier)のPAC−3とNA(Navy Area)は、既存のものの応用と言うことで、初期段階の実用化直前というところに来ていました。
そして次の段階の大気圏外防禦(Upper Tier)でも、米海軍はNTW(Navy Theater Wide)については早期実用化の目算が立っていました。
それは当然でしょう。 イージス・システムを改良して使うんですから。
それに対して、新規開発である米陸軍のTHAADの方はもう10年以上かかっているにも関わらず全く目途がたたない状況でした。(20年近く経った未だにダメですが。)
で、米海軍・海兵隊は業を煮やした んです。
能力が大してない上に厖大な手間暇のかかるPAC−3や、まともに使い物になるかどうかさえ解らないTHAADなどは後回しにして、海軍のイージスを使うNAとNTWを最優先すべきだ と。
それはそうでしょう。 SM−2ブロックWAというミサイルを使う Navy Area からして、その有効射程はPAC−3とは全く比較になりません。 これは既に第1回で示したとおりですが、もう少し具体的に現すと ↓ のようになります。

イージス艦の位置をそのまま横須賀なり品川沖に移動して、有効射程の楕円の長軸を北朝鮮の方向に回転させてみて下さい。 どれだけの能力があるのかお解りになると思います。
これ、既存のイージス・システムに若干の改良をすれば、あとはWAというミサイル弾を積むだけで、全てのイージス艦が、艦・装備・人員をそっくりそのまま使えるんです。 イージス艦本来の能力を何等制限すること無しに。
それどころか、PAC−3では決定的に弱点であるC4Iについては、元々が強力な能力を持っています。
しかも、PAC−3のように厖大な手間暇がかかることは全くありません。 全世界の海洋に前方展開している艦隊から、所要のところへイージス艦を “自分で少し移動” させればよいだけです。
加えて、イージス艦そのものが多目的・多用途であり、自分で洋上機動し、自己防禦能力があり、後方・補給関係の基地機能は自ら保有、という “軍艦” の特性をそのまま持っていることは言うまでもありません。
パトリオット部隊などは自立出来ない上に、早い話が “防空” しか使い道がないんですから。