2009年02月21日

聖市夜話(第25話)船団轟沈・流れ弾警戒−2(その2)

著 : 森 栄(海兵63期)

 さてミ07船団26隻は6月11日堂々たる隊形で門司を出発した。

 敵潜情報によるものか、13日鹿児島に仮泊し、14日抜錨し南西諸島寄りの航路についた。

 指揮官としては恐らく右側に入れてある機雷堰を利用する計画であったものと思われる。 ただし私などは、従来からこの機雷堰には余り期待はかけていなかった。

 14日夜、「朝顔」は船団右中央に占位していたが、船団速力遅く、強い波浪があり、舵が効かず、片舷前進原(半)速、片舷停止ないし後進微速を繰り返し、船団からの定位置を保持するに苦労しながら続行していた。

 これより先約1か月ばかり前、やはり夜間の護衛行動中、私は艦橋で黒い海面を眺めながら、フト敵潜雷撃時の「流れ弾」のことを思い、早速艦橋命令簿に次の趣旨を記入し、この発令後各当(副)直将校について当直中によく説明し、一巡終わって 「これでよし」 と安心したことがあった。

 〔敵潜の流れ弾について〕−艦橋命令簿− 船団護衛中、船団部隊敵潜の雷撃を受けたる場合、敵の発射点咄嗟に不明の時は、その流れ弾を受けざるため、当直将校は艦長の命を待たず、直ちに船団外方に緊急転舵するものとす。

 そして今夜の荒れ狂う海上の波浪をみると、「流れ弾」どころか敵潜側の魚雷発射すら難しいのでないかと思われた。

 また敵潜が潜望鏡深度を保持することも難しく、大胆な敵さんなら浮上近接して、浮上のままで雷撃するかな!とも思われる海上の荒れかたで、大体随半している護衛艦が舵効き悪く、ちょっと油断していると船団に突っ込みそうになったり、反対に外側に向いてしまって進行方向に横倒しになったりするのでは、見張りも水中兵器も果たしてどのくらい役に立っているかもはなはだ疑問であった。

 大体海上が荒れて波浪が高くなり、かつ舵効きが悪くて片舷後進を混ぜて使うようになると、見張員の眼鏡の中の水平線は常に上下し、決められた哨区を見張りし続けると頭が痛くなり、胸がムカムカするものであり、また探信儀も聴音器も艦底部の動揺、海水中の気泡のため雑音多く、見張りも水中兵器も波静かなときの性能の半分以下と想像された。
(続く)

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