「世界の艦船」 誌が通巻1000号を迎えたことをご紹介したばかりですが、早速次の1001号の9月号の見本誌が届きました。
9月号の特集は 「今日のNATO海軍」 で、いつもながら大変素晴らしい写真の数々と記事が掲載されております。

この記念すべき大台最初の1001号に、私も1稿を書かせていただきました。
題して、
『 「いなづま」 座礁事故の調査結果を考える 』
ご存じのとおり、「いなづま」 は今年の1月10日、因島の民間造船所での定期の年次検査・年次修理とエンジンの修理を終り、母港たる呉への回航に合わせてそのエンジンの確認運転試験を伊予灘で行ったものですが、その時に周防大島と大水瀬島の間にあるセンガイ瀬近傍の小センガイで座礁したものです。
そして海上幕僚監部に監察官を長とする艦船等事故調査委員会が設けられて、去る5月9日にその調査報告書が出され、同時にマスコミなどに対してその調査報告書の概要が説明されました。
当該調査報告書そのものは部外には非公開のものですので、私の1稿はその調査報告書の概要の説明及び出席者のメモなどに基づいたものです。
是非 「世界の艦船」 9月号を手に取ってご一読ください。
ただここでも申し上げたいのは、
「調査報告書」 の本来目的とするところは 「艦船等事故の実態を明らかにし、事故の防止に資する」 もので、海自部内における勤務参考たるべきものです。
しかしながら、残念ながら実態は 「調査報告書」 のその本来の目的を大きく外れ、官僚や政治屋達に対する当たり障りのない、いわば “メイキング” の公文書となっています。
実際のところ、私の知る限りでは過去に遡ってこの 「調査報告書」 でキチンとその実際の詳細が論じられたものは見たことも読んだこともありません。
今回の 「いなづま」 の座礁事故についての調査報告書も、まさにその典型の一つといえるでしょう。
それを差し置いても、今回の 「いなづま」 の座礁事故は、艦船の航海に当たっての初歩中の初歩、基本中の基本を全くないがしろにした、“とんでもない” “常識的にあり得ない” “お粗末な” “船乗りとして恥ずかしい” “余りに酷い” ことであると言えます。
そしてその原因と責任は偏に艦長個人に帰することです。
ヒューマン・エラーが重なってたまたま起きてしまったこと、などとんでもないことで。
年次検査を使って休暇だけでなく、乗員の入替や転勤等もあったでしょうし、事前の研究会を開いていないのは無謀ですね…。
溺者救助等の訓練がいつから頭の中にあったかはわかりませんが、やるなら事前の研究会等で打ち合わせして、乗員の練度等考慮し、四国沖まで出れば好きなだけ試験も訓練もできたのではと思ってしまいました。(それか後日訓練をやるか)
勿論業者との役務契約の日程もあるとは思いますが…。
当該記事にも記載してありますが、「艦船等事故調査報告書」 はその本来のあるべき姿・目的とは全くかけ離れており、政治屋や役人など外向けの完全なメイキング文書となっており、少なくとも私は事故の実際の状況や原因などが正しく具体的に記述されたものを見たことも読んだこともありません。
そしてそのことを前提にた上で今回の 「いまずま」 座礁事故の調査報告書を読んでみても、当該艦長による運航・航海は船乗りとしてあり得ない、極めてお粗末なものであることがお判りいただけるでしょう。
こんな艦長の下で報告書に関係者として名を連ねることになった副長以下の幹部やCIC直長などは不幸と言えるかと。
もし調査報告書の通りだとすると、これは 「いなずま」 に限ったことではなく、海上自衛隊の艦艇部隊がとんでもないレベル、状態になっていると言うことになりますから。