「世界の艦船」 の4月号増刊は 『傑作軍艦アーカイブ』シリーズの15回目で 巡洋艦 「最上」 型/ 「利根」 型の特集 です。

写真ページはいつもどおり編集部さんの努力によって大変素晴らしいものになっており、かつ今回は付録として重巡 「高雄」 の貴重で珍しい写真集が加えられています。
本文記事では、私も次の2稿を担当させていただきました。
『徹底分析 B 兵 装』
『九二式射撃盤改一の役割と構造』
申し上げるまでも無く、「最上」 型も 「利根」 型も計画時にはまだ軍縮条約下にあり、このため両艦型は主砲を6インチの軽巡洋艦として建造し、軍縮条約後には主砲を8インチの重巡とすることとされました。
このため、船体設計にはかなり困難が生じたことにより、その後明らかとなった脆弱性の改善のために相当な無理をしたことが知られています。
また、「最上」 型は6インチ砲を搭載した姿で就役し、その後これを8インチ砲 (20センチ2号砲) に換装していますが、後発の 「利根」 型では就役時から8インチ砲を搭載しています。
この換装については、当初の6インチ3連装砲塔の評価・評判が高かったことから、当時から用兵者においてもこれを惜しむ声があったことは事実です。
しかしながら、戦後になって “無理に換装しなくても良かったのでは” とする声もありますが、これが全くの認識違いであることは明らかでしょう。
また、「利根」 型は主砲塔を5基から4基に1基減らし、かつこれを前部に集めて、後部を水偵増載用としましたが、更に 「最上」 においてはミッドウェー海戦での敗戦後に後部の主砲塔2基を撤去して飛行甲板を艦尾迄増設して、いわゆる一般に言われる “航空巡洋艦” に改造しています。
「利根」 型においては、計画当時の海戦思想からも当然あり得ることと考えられますが、「最上」 については全くの “無駄” “余計なこと” であったと言わざるを得ないでしょう。
即ち、ミッドウェー海戦以降においては、対米戦を考える上での海戦様相は艦上水上機の増載などは価値のない情勢となっいます。
実際のところ、この 「最上」 の改造などは手間暇だけかかったものの、実際には何の役にも立たなかったからです。
私の2稿目である 「最上」 型及び 「利根」 型の主砲用に搭載された 「九二式射撃盤改一」 については、詳細な旧海軍の詳細な史料が残されていますが、これを単に要約しても一般の読者の方々には判り難いものとなりますので、艦砲射撃全般について簡単にお話しし、その中でこの 「九二式射撃盤改一」 について簡単に触れることといたしました。
機会があれば、この 「九二式射撃盤改一」 についての詳細をお話ししたいと思いますが、かなり専門的になることもあり、そのチャンスはあるかどうか ・・・・

もう書店の店頭には並んでいることと思います。 見かけられましたら、是非一度手に取ってご覧ください。
例によって、この写真ページだけをとっても購入される価値は十二分にあると思います。
なお私の 「兵装」 の稿で、参考として黛治夫氏の著書にあるものから射撃経過の図例が入っておりますが、これはあくまでも一般の読者の方々のための “一つのイメージ図” であって、旧海軍における射法・射撃指揮法の実際とは号令など多少異なるものであることをご了承ください。