2023年03月01日

月刊誌 『丸』 3月号


既に書店店頭に並んでいるかと思いますが、月刊誌 『丸』 3月号の見本誌が届きました。


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今月号の特集の2つ目が『海自最新鋭ステルス艦 「もがみ」型護衛艦』 です。

私もこの中で1稿を書かせていただきました。

   『 海自護衛艦の変遷を追う 』

保安庁・警備隊になって米海軍からの貸・供与に始まり、その後国産の護衛艦が建造されましたが、その変遷を主として艦全体のデザイン形状、即ち“艦形”をメインとして簡単にお話ししたものです。

しかしながら、紙幅の関係もあって現在空自の F-35B 搭載用に改修中のDDH及び最新のFFMと言う 「もがみ」 型については省略せざるを得ず、これらについてはそれぞれ他の方の記事に譲らざるをえませんでした。

ただし、これは 「丸」 編集部さんの意向もあるのでしょうが、初心者向けの読者の方々向けの解説記事となり、著者の方々もいわゆる “船に乗ったことのない” “武器・システムなどを扱ったことのない” ライターさんのものとなってしまいました。

「 結局、「もがみ」護衛艦は有事の戦力として期待されるというよりも、平時の洋上監視で有力な戦力と言えるのではないか。」

とされる方もおられますが、本当にそれでOKなのでしょうか?

その様なことは海上保安庁が追求すべきことであって、いわゆる “軍艦” としては有事のため、かつ多用途、多目的な使用とそのための能力を有するべきでは?

しかも、現在の 「もがみ」 型は基準排水量が3900トンもある大型護衛艦でもあるにも関わらず、兵装は少なく、かつ乗員は約90名に過ぎないのです。 つまり、長期行動での哨戒直なら1直僅か30名弱です。

これでは平時において “艦体・機関・装備の全てが正常に作動する完全にノーマルな状態において” その限られた能力が発揮できるに過ぎないのです。

つまり、装備などのどこかにトラブル・不具合箇所が生起した場合にはシステムの表示にしたがってそのユニットごとまるまる交換する方式とせざるを得ず、これまでのような乗員による故障探求・修理などは行動中にはまず不可能と言えるでしょう。

したがって、トラブル・不具合箇所がそれなりのものである場合には、即母港などへ帰港して後方支援部門がこれに当たる必要が出てきます。

そして、これまでのような船体・機関・装備の乗員による計画整備・メインテナンスなどは僅か約90名の乗員ではほぼ不可能であり、しかもクルー制などを採用すると、日本人の性格からしてもいわゆる自艦に責任を持たない “帳面消し” となる可能性が大です。

ましてや、平時任務においてさえ、立入検査、臨検・拿捕や陸戦隊編成は言うに及ばず、派遣防火隊の派出さえ出来ないのでは ?

FFM 「もがみ」 型の原型である米海軍における “ストリートファイター構想”、つまり 「LCS計画」 は既に完全な失敗であることが証明されており、次期水上艦の建造計画は在来型であるDDGXとされ、かつこのLCSは艦齢僅か数年にして退役が始まっている、にも関わらずです。

これを22隻もの大量建造を推進しようとする海上自衛隊、よほど隊員の確保が困難となってきた結果なのでしょうね。

私としては、FFMではとてもではありませんが、有効な 「海上防衛力」 を構築できるとは考えられません。 海上保安庁に毛の生えたレベルが精々かと。

ましてや、次に予定されている 「哨戒艦」 構想などは ・・・・ (^_^;

posted by 桜と錨 at 20:28| Comment(6) | TrackBack(0) | 現代戦のこと
この記事へのコメント
その辺はFFM&哨戒艦による「警戒監視に専従させ、ELを海外プレゼンス&訓練員集中させ、正面切っての殴り合いに備えさせる」というところからあるわけですから・・・・

有事にはFFMはSSM&対地火力プラットフォームとしての価値がありますが、哨戒艦はあくまで「通峡監視」メイン。
ここはもう「運用レベルから区別化して割り切った」と思ってます。そうしないと回らないので・・・・(DEはもう限界ですし)


Posted by 元〇〇科員(現某艦〇〇員〇) at 2023年03月05日 16:32
元〇〇科員(現某艦〇〇員〇)さん、こん**は。

>警戒監視に専従させ、
>有事にはFFMはSSM&対地火力プラットフォーム

3800トンもの艦に僅かな兵装と僅かな乗員で、しかもその船体・機関・装備の全てが正常に全力発揮可能の場合には多少なりとも役に立つかもしれませんが、ご存じのとおり、これで長期間の哨戒行動などまず無理というものでしょう。

しかも、通常の“軍艦”としての多用途・多機能性を求めることはまず不可能かと。

元となった米海軍のLCS計画は、自際に運用して試すだけ試してみて「ダメ」と判定された結果が出ているにも関わらず、海自はいまだにこのFFMの様なものを22隻も建造予定であり、計画し、作り始めた以上はこれまでと同じく「ダメ」とは言えず、十分な運用テストをしないままズルズルと使い続けるのでしょうね。

>哨戒艦はあくまで「通峡監視」メイン

まさに海上保安庁の巡視船もどきで、この予算と人員があれば保安庁が建造して運用する方がはるかにマシでしょうね。

Posted by 桜と錨 at 2023年03月05日 23:00
>ご存じのとおり、これで長期間の哨戒行動
>などまず無理というものでしょう。

まぁ今よりはるかにマシではないかと思います。
DEで設計思想の倍の期間とか普通ですから・・・・
あとは情報収集用にES装備ですかね。

>まさに海上保安庁の巡視船もどき
まぁ言っちゃえばそうなんですが、「警察には警察」「軍には軍」という根本的な問題があるわけで・・・・
AMSやMSO投入(しかも頻繁)より、OPV作るほうがはるかにマシかと思ってます。
Posted by 元〇〇科員(現某艦〇〇員〇) at 2023年03月06日 20:04
早々に、「もがみ」型FFMは当初の22隻整備計画を修正して12隻で打ち切り、次の新型FFMを建造すると言う構想が出ましたね。 まだまともな運用試験も運用実績も無いのに。

FFM構想が「失敗」であったと言えないため、いつもの海自どおり、ズルズルと“少しずつ”の改良・改善と言って誤魔化していくんでしょう。

範をとった米海軍のLCS計画が完全な失敗であった事実を素直に認められずに。

まあその前に決定的な隊員不足というのがありますが。 少子化ということより、いまだに憲法違反といわれ、その上に処遇は悪いのでは、今どきの若い人達に艦船勤務の魅力など無く、成り手は少ないでしょう。

単に艦船の少人化、自動化で済む問題では無いのですけどね。

> DEで設計思想の倍の期間とか普通ですから

「ちくご」型などは装備は当時でさえ古かったものの、“軍艦”としての多様性、汎用性は遥かに高かったですね。 現在のFFMでは長期行動や有事対応など、とてもとても。

>「警察には警察」「軍には軍」という根本的な問題が

その“軍”としての能力どころか巡視船艇に毛の生えたような艦艇を作ろうとしているわけですね。


Posted by 桜と錨 at 2023年03月07日 16:18
お邪魔します。
 日本は幕末に黒船に押しかけられて、開国させられたばかりか不平等条約まで結ばされました。その事が旧海軍に「押し寄せる"黒船"を追い払う」事を目指させたのかも知れません。「最大最強の"黒船"」戦艦大和ばかりでなく「小良く大を制す」特型駆逐艦や「銀の弾丸」酸素魚雷とかも作りました。しかし軍備強化のためには経済発展が必須で、そのため日本は次第に海の向こうの資源等に依存するようになり、先の大戦では米の潜水艦他にそれを絶たれて敗北しました。結局目指した艦隊決戦ではなく、輸送を含む海上利用の争奪戦で敗れたのです。で戦後の海自は何を目指すのか、どんな戦い方をしようとしているのかが自分には見えません。とりあえず潜水艦と機雷には苦しめられたので、対潜及び対機雷には力を入れたようですが。「輸送を含む海上利用の維持確保」は日本だけでどうにかなるものではなく、アメリカのそれに乗るしかありません。兵器もまた「道具」であり、「何のために何をどこまでやらせるか」をはっきりさせないと最適化は不可能です。先に述べた日本及び海自の立ち位置等がもがみ型を含む海自の艦艇に影響を与えているのではないかと思ったりもします。また海自に於いて中心となる艦は何なのかと思ったりもします。海軍の任務を「海上優勢を巡る争いで勝つ事」とすれば、往年ならば「存在する”だけ”で敵への圧力となり得る戦艦」で、その後は「小国の空軍を凌ぐ航空兵力を展開可能な空母」でしょう。となれば海自の「中心」は「(日本の意志では動かせない)米空母」なのかなとも。
Posted by ブロガー(志望) at 2023年04月23日 20:42
HN「ブロガー(志望)」さん、こん**は。

一つ一つご説明していきますと大変な量と手間暇になりますので。

まあ、一般の方々の中にはそのようなご所見をお持ちの方がおられても不思議ではないでしょうね。

Posted by 桜と錨 at 2023年04月27日 19:26
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