2022年05月18日

「三笠」 と東郷ターン


海人社さんの 『世界の艦船』 の6月号増刊の見本誌が届きました。

今回の増刊号は 『ネーバル・ヒストリー・シリーズ』 の6回目で、『 戦艦 「三笠」 と日本海海戦 』 です。

SoW_No974_cover_s.jpg

写真ページは編集部さんの努力によって大変素晴らしいもので、まさに 「三笠」 とそれにまつわるものの総集編になっていると言えるでしょう。

本文記事は本シリーズだけあって、過去の 『世界の艦船』 に掲載されたことのある優れたものが約2/3を占めており、これらはまだこれまでご覧になる機会の無かった方々には有益なものと思います。

で、私も新規の記事として次の2つを書かせていただきました。

第1部の 「戦艦 「三笠」 のすべて」 で
    「 建造経緯とメカニズム 」

第2部の 「日本海海戦」 で
    「 東郷ターンの歴史的意義を考える 」

前者は紙幅の制約もあり、かなり概略のものになってしまいました。 「三笠」 の英国での建造状況、日本への回航、そして日本到着後から母港たる舞鶴入港までについては、それぞれお話ししたいことは山ほどあるのですが ・・・・

特に、後に一部の人々から 「三笠反乱事件」 と言われるようになる英国での出来事と、これに関連した日本帰国後の軍法会議や艤装員長・初代艦長たる早坂源吾海軍大佐の罷免に至ることについては、興味のある方もおられるのではと思います。

この軍法会議の件については、私の 本家サイトの 『海軍須知』 コーナーで、その第9話の 『海兵団と海兵団練習部』 について解説した時に、その最後に 『(参考):軍艦 「三笠」 と呉海兵団 』 としてその概略をお話し しておりますので、参考にしてください。

    http://navgunschl.sakura.ne.jp/suchi/09_Kaiheidan.html

元々の事件の実態としては、当時の若者達が初めて海外に出ての、ある意味他愛もない切っ掛けではあったのですが (^_^)


2つ目の記事は、元船乗りとしての日本海海戦の第1会戦劈頭での敵前大回頭、即ちいわゆる 「東郷ターン」 の実態についての説明です。

これまで一般出版物やネットなどで、日本海海戦初頭の第1会戦は、その合戦図を見ての “ダラダラとした並航戦であった” とか “丁字戦法は実現しなかった” などと広く言われてきました。

Tsushima_Trace_02_s.jpg

これは、この合戦図というものがどういうものかが理解できていないということであり、そしてそれは全て、「船に乗ったことの無い」 「大砲も触ったことが無い」、即ち 広い海上で船を動かしたことも、艦砲射撃を経験したことも無く、これらについて理解できていない、ということを自ら自白した バレバレのもの、と言うことです。

つまり 海上における 「相対運動」 ということをが分からない、したがって艦砲射撃がどのようなものかも知らずに書いている ということです。

一例として、東郷ターン時の状況をロシア側の 「スワロフ」 艦上で、ロジェストヴェンスキー提督や艦長などはもちろん、砲術長や各砲台長、そして何よりも各砲の射手にとって、連合艦隊第1戦隊の先頭にいた戦艦4隻がどの様に “動いて見えたか” ( =照準できたか) ということを簡単に示しました。

Togo_turn_01_s.jpg

これが、実に見事な丁字体勢の実現であり、鎮海湾待機中の猛烈な射撃訓練の成果により、当時の艦砲による射撃指揮システムとこれによる現実の有効射程である約6千メートルにドンピシャ持ち込んだ、ということ以外の一体何だと 言うのでしょうか?

そして以後は、ロシア側はこの体勢を嫌がって (当然ですが) 右へ右へと逃げようとし、これに対して連合艦隊側は優速を利用して常にこの丁字体勢を維持しようとした、その結果を “地理的作図” により描いたものがあの合戦図であるということです。

この東郷ターンについては、今後これまでのような誤った記述がもう二度と出てこないことを切に望む次第ですね。


本増刊号、書店の店頭で見かけられた時には、是非手に取ってご覧ください。

そして、「三笠」 や「 日本海海戦」 についてだけでなく、日本海軍史に興味のある方々なら、お手元に置いておいて決して損の無いものであると思います。


posted by 桜と錨 at 14:51| Comment(4) | TrackBack(0) | 海軍のこと
この記事へのコメント
是非、購入したいと思います。
Posted by 小橋透雄 at 2022年05月18日 16:53
小橋透雄さん、ありがとうございます。 これはお手元に置いておいて損は無いかと。

Posted by 桜と錨 at 2022年05月18日 19:45
本日購入いたしました。日本海海戦を知るうえで、必携の本ですね。ご案内いただきありがとうございました。
Posted by 小橋透雄 at 2022年05月19日 18:27
小橋透雄、ありがとうございます。

「世界の艦船」は編集部さんが大変しっかりしており、記事を書くこちらがタジタジになるくらいです。 安心して見れますね。

Posted by 桜と錨 at 2022年05月19日 23:21
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