2022年02月12日

貴重な旧海軍史料の哀れな姿


先日 Facebook で、今に残る旧海軍史料のうち、早い段階でキチンとした複製を作ることを怠ったものが数多くあるという話をしました。

もちろんこれは何も防衛研究所の所蔵のものに限ったことではありません。

例えば、次のようなものがあります。

Gunnery_Staff_Poketbock_S19_cover_s.jpg


これは昭和19年11月に横須賀海軍砲術学校が作成した 『砲術主務参謀勤務手簿 第1編 (海上)』 というものの表紙です。

内容的には、旧海軍の砲術・艦砲射撃についての基本的なデータ集といえ、旧海軍に関心のある方々にとっては貴重なものと言えるでしょう。

しかしながら、この史料は現在は防衛研究所所蔵の3冊及び、私が知る限りではそれ以外に2冊ありますが、これらの全てが原本からのコピーで、元々の原本は防衛研究所にも所蔵されておらず、所在不明です。

とはいっても、早い段階でこれらのコピーからできるだけ原本に忠実な複製を作成していたならば、と思わされます。

私がコピーを撮ったものも、20年以上前に既にこの状態で、各ページとも2つのものの良い方を選びましたが、とてもそのままでは使えるようなものではありません。

状態は防衛研究所に所蔵されている3冊も同じようなレベルで、流石にこれらからコピーしたものはアジ歴で公開できるようなものではありません。

したがって、文字起こしや図等のトレースが必要になりますが ・・・・

これに限らず、防衛研究所所蔵の大判の青焼きの図面を始めとして、現在では感光・経年劣化してしまっているものが極めて多く、それはアジ歴で公開されているものだけをご覧いただいても、その状況の一端はお判りいただけると思います。

勿体ない、というかもっと早く手を打っておけば、と。

これら貴重な史料は二度と元の状態に戻ることはありませんので、大変に残念なことです。

posted by 桜と錨 at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 海軍のこと
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