海上自衛隊の古い史料から、“かつては、こんなものもあったよ” という20回目です。
前回の GFCS Mk 63 に続き、今回は 射撃指揮装置 GFCS Mk 56 についてです。

この射撃指揮装置 Mk56 は、第2次大戦において大活躍した5インチ砲管制用の Mk37 の対空用の後継というべきもので、米海軍では3インチ、5インチ、及び6インチ砲用とされましたが、海上自衛隊ではやっと 「たかつき」 型で5インチ単装速射砲 Mk42 の導入に合わせて米海軍からリリースされました。
( 海上自衛隊における建造計画の順としては 「やまぐも」 型の方が早いのですが、本来はこの5インチ砲用が主目的です。)
当時 米海軍では Mk37 に替わる対空・水上両用の射撃指揮装置として既に Mk68 が導入されていましたが、残念ながらこれは米海軍からリリースされなかった ことから、国産のT型ができるまでは 「たかつき」 型及び 「やまぐも」 型ではこの Mk57 で我慢するしかなかったのです。
このため、私達が中級射撃課程学生のときには、これらの護衛艦はまだ現役であり、課程修業後の配置としてこれらの艦の砲雷長への補職の可能性もあり得ました。
この Mk56 については実機教材は無く、かつ装備艦での実習も行われませんでしたので、したがって1術校砲術科における座学として詳細な教務が行われ、SGについても 「概論」 (一般) 及び 「機能説明書」 とともに、海曹専修科学生用の 「回路図」 も使用されました。
「概論」 と、「一般」 及び 「付図」 の2種類のSGが使用されましたが、表紙の見かけはともかく、中身は前者の方がタイプ印刷で新しく、後者は手書きのものですので、この後者は1術校砲術科での教育開始当初のものと思われます。


「機能説明書」 は MK56 の各部の機能・機構についての詳細なもので、これと 「回路図」 の併用により教務が行われたと記憶しています。


この 「回路図」 は元々が海曹専修科学生用のもので、B4版2〜4枚に分割された回路図集ですが、この内の半数近くを1枚物に繋ぎ合わせた上で、教官の説明による書き込みをしておりますので、幹部中級課程においても詳細な教務が行われたといえます。
この Mk56 装備艦は全てとうの昔に退役し、また実機も残されていませんので、もしかするとメーカーによる建造時の装備品納入時に契約によって作成された 「取扱説明書」 一式はどこかに残されているのかもしれませんが、このSG類は課程教育終了に伴い全て破棄されたようで、防衛省・海上自衛隊には既に一切残されていないというのがその公式スタンス と聞いています。
とすると、当時の幹部及び海曹の学生だった者で他に今でもこれらを保管しているのがあるのかどうか ・・・・
( なお、現在、本家サイトの 「現代戦講堂」 の 「資料展示室」 コーナーにおいて、既に退役・破棄された国産の射撃指揮装置T型のSGについて順次公開しているところですが、余裕ができましたら、私が所持しております上記の Mk56 のSGについても公開していきたいと思っております。)
http://navgunschl2.sakura.ne.jp/Modern_Warfare/Shiryo/tenji_main.html
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