海上自衛隊の古い史料から、“かつては、こんなものもあったよ” という18回目です。
今回は 「砲術・射撃一般」 についてです。
ここで言います 「砲術・射撃一般」 とは、始めて射撃畑に足を踏み入れることになる若い士官・幹部に対する砲術・射撃全般についての入門編ということを意味します。
旧海軍においては、海軍兵学校生徒時代に 『砲術教科書』 に基づいて砲術・射撃全般に関するの基礎が教育されてきました。
海軍兵学校がまだ当初の築地にあった時代には、この砲術も含めてすべての教育が基本的に英語により行われ、その教科書も英海軍の原典又はこれを邦訳したものが使用されていました。
これについては、私の 『加藤友三郎と砲術』 でも、パワーポイント及び拙論のPDF版をご紹介して、その中でお話しておりますので、そちらをご参照ください。

そして明治21年に海軍兵学校が江田島に移転して以降は、いわゆる術科に関することは教官の手になる日本海軍独自のものとなって行きます。
砲術については、明治22年から同24年にかけて順次作成された 『砲術教科書』 全6巻が最初のもので、明治35年には全8巻となり、これは昭和期まで続く形態の基礎となりました。

では、警備隊・海上自衛隊になってから、この砲術・射撃一般についてどのように教えてきたのかということですが、残念ながら当時の史料などが残されておりませんので、不詳です。
しかしながら、既に何度も申し上げてきましたように、ともかく米海軍に倣う、ということを基本としましたので、おそらくこの入門用の砲術・射撃一般については、米海軍の基礎的な教範である 『 Naval Ordnance and Gunnery 』 の1950年版もしくは1955年版をそのまま使用、あるいはこれの一部を翻訳したもので教えられたのではないかと思われます。
海上自衛隊の幹部候補生学校が出来た以降については、一般幹部候補生課程においては、防大卒はともかく、一般大学卒がその主たる対象となりますので、砲術・射撃一般については (も)、それこそ初歩の初歩、ということになります。
私が候補生の時の砲術SGについては、既に本家サイトにて公開しているところです。

おそらく一般大卒の者に対するものも同じSGを使用しての教務であったと思いますが (確認はしておりません)、ある意味 “防大卒を馬鹿にしているのか ?” と思うようなレベルの内容のものでした (^_^;
そして、1尉になってから自己の専門 (特技) が決まる1年間の幹部中級課程 では、射撃課程学生でも中には初任幹部の間に任務射撃課程を出ていない (即ち、砲術士を経験していない) 者もおりましたので、一応射撃一般の教務から始まったと記憶しております。
この時の私の時のSGは残念ながら無いのですが、その後の昭和58年の課程用の 『射撃一般 (上・下) 』 が残っています。

内容的には、「射撃概論」、「砲熕武器」、「射撃指揮装置」、「艦艇戦闘指揮システム」、「射撃指揮法」、「弾火薬」 の項目立てになっていますが ・・・・ ただし、私達の時の実際の講義は、冒頭の 「射撃概論」 をサラッとやっただけで、後はその後の各論の教務において詳細を習ったように記憶しています。
もちろん、この中級課程のSGでも秘密文書に指定されたものでも何でもありませんが、もう40年近く前のものですので、現在となっては残されているのか ・・・・
==========================
前 : 17
http://navgunschl.sblo.jp/article/189012167.html
次 : 19
http://navgunschl.sblo.jp/article/189063365.html