2019年10月21日

「いずも」 型の空母化 ?


昨今、急に浮上してきたのが、空自の F-35B の導入と、海自の 「いずも」 型にそれを搭載できるように改造するという話しです。

これについて 『朝雲新聞』 の10月17日付けの紙面で、私の所見を1ページ (広告枠を除く) で掲載していただきました。

R011017_Izumo_Full_s.jpg


本来は10月17日付けの紙面は観艦式特集になる予定で、私の記事もそれに合わせたものだったのですが、ご存じのとおり台風の影響で観艦式が中止となってしまいましたので、急遽紙面の大幅な差し替えとなったものの、私の記事はそのまま残していただけました。

また、内容的にはちょっと辛口ですので、『朝雲新聞』 さんとしては紙面にし難いところがあったかもしれませんが、こうして掲載いただけたことは嬉しい限りです。

要約すると、

この空自の F-35B 導入とそのための 「いずも」 型改造については、現在のところ公表されている事項は、次の点のみです。

空自 : F-35B を42機導入し、必要に応じてこれの一部を海自の 「いずも」 型に派遣・搭載して運用する。

海自 : 空自の F-35B を搭載できるように 「いずも」 型を31億円をかけて改造する。 これにより 「いずも」 型はより “多機能な護衛艦” として能力強化されたものとなる。

防衛省 : 状況により空自の F-35B を搭載した 「いずも」 型を航空基地の限られた太平洋方面においても、航空優勢の獲得・維持のために運用する。


これをそのまま解釈すれば、空自は F-35B の一部を 「いずも」 型に搭載して “本土防空隊としての要撃戦闘” に使用する。 そして海自はその空自の F-35B に 「いずも」 型の背中を貸すだけの単なる “洋上移動航空基地” “航空機運搬艦” とする。 と言っているだけに過ぎません。

たったこれだけのことで “「いずも」 型を空母化する” などと言うと、世界中の笑いものになってしまうでしょう。

STOVL機とはいえ、艦艇に固定翼機を搭載した “だけ” では海上航空兵力として何の意味も意義もありませんし、それ以前に “必要に応じて” とはいえ艦艇に搭載して運用するためには解決すべき重要な問題が多々あります。

これらについては、防衛省、空自、そして海自からはいまだに何の具体的なことは公表されていません。

ということなんですが ・・・・

私からすれば非常におかしな話しであり、現在の公表内容からすれば 「いずも」 型も、そして搭載する F-35B も、極めて能力が限定された非効率的かつ不経済なものになってしまいます。

本当にこんな使い方のもので、防衛省も空自も、そして海上自衛隊も納得しているのでしょうか ?

そしてそれ以上に情けないことは、当の海上自衛隊がこんなもので良いのかどうかを何も示していないことです。

まさか海上自衛隊自身が “海上航空兵力” というものをこの程度にしか理解していないということは無いですよね ?


なお、『朝雲新聞』 さんのご厚意により今回は10部いただいており、私の関係必要先に配付してもまだ余分がありますので、もしこの当該紙をご要望の方がおられましたら、お申し出いただければ郵送することといたしたいと思います。

posted by 桜と錨 at 10:04| Comment(8) | TrackBack(0) | 現代戦のこと
この記事へのコメント
言葉は悪いのですが「いずも型が航空自衛隊戦闘機隊の下請けになってしまった」感じです
さらに言えば、F-35Bは航空自衛隊ののネットワークに入ったままですよね?
Posted by キャニー at 2019年10月22日 08:30
キャニーさん、こん**は。

問題は現在公表されている大雑把なこと以外、肝心な具体的なことが全く出てきていないことなんです。

搭載した F-35B の管制・運用はどうするのか? 整備・補給は? 戦術支援 (早期警戒、電子戦、空中給油など) は? 誰の指揮下で何にどの様に使うのか?

などなどです。

これらが出てこない限り、今の段階では単に “ 「いずも」 型に空自の F-35B が積めたらいいな〜 ” と言ってるのと変わりませんから。

Posted by 桜と錨 at 2019年10月22日 10:45
そういえば、イスラエルでも2004年にドック型輸送揚陸艦(LPD)を建造
みたいな話がありました。
Posted by キャニー at 2019年10月23日 11:13
キャニーさん

肝心なことは、どの様なものをどの様に搭載し、どの様に使うか、ですね。

ただ単に図体が大きいから何にでも使える、などというのは “多機能” とは言いません。

それぞれの機能が十分に備わっており、それを発揮する能力があってのことです。

まあ、百歩譲って “汎用性がある” とは言えるかもしれませんが、そのようなことは軍艦なら本来当たり前のことですが。

その意味では 「いずも」 型などは “大きいから便利” と言っているに過ぎません。

Posted by 桜と錨 at 2019年10月23日 12:54
80年代に海上自衛隊がシーハリアーと小型空母を導入して
それをF-35Bの運用に特化した新型空母に発展させるのが
ベターだったと思います。
(F-35BはNIFC-CAに使う予定になります)
Posted by キャニー at 2019年10月24日 09:57
キャニーさん

80年代に空母建造もハリアーの導入も全く可能性はありませんでしたね。 (ハリアーの熱心な売り込みがあり、海自部内では一応検討はしたのですが。)

むしろ、1次防で潰れたCVHの時が海自で空母を保持する最大のチャンスでした。 まあこれは防衛庁 (当時)・海上自衛隊が自ら潰したようなものですが。

何しろ米海軍は護衛空母の供与まで打診してきたのですから。

この時に空母の導入に踏み切っていれば、後にハリアーの導入も可能だったかもしれません。

Posted by 桜と錨 at 2019年10月24日 11:25
仮に海上自衛隊がCVHを整備したとすると
その後の艦艇の建造計画は違ったものになりますよね?
Posted by キャニー at 2019年10月25日 08:35
キャニーさん

当然ながら、もしCVHを導入するとなると海自全体の防衛力整備計画が変わってくることになります。

CVHは結局のところ、後にご存じの姿形が変わってしまったDDHへ繋がることとなるわけですが、このCVH構想においては、これをどの様に運用していくかの公的な検討資料などは最後まで何も出てこないままでした。

したがって今日となっては、このCVHが実現していたら、ということは一つの “歴史の if” と言うことですね。

Posted by 桜と錨 at 2019年10月25日 16:12
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