2019年10月20日

旧海軍の探信儀


HN 「hush」 さんの素晴らしい見識にはいつも驚かされますね。

Type93_sonor_02_s_mod.JPG
( 九三式探信儀一型大要図より )

もちろんソーナーの送受波器の自己雑音のことは、旧海軍のみのことではなく米海軍でも同様で、最初の実用型であるQCでも一応整流覆があるにはありましたが不十分で、その改良型のQGAでは新しいものが開発されて装備されました。


ただ、hush さんのご所見の中で、

>ランジュバン式水晶送波器を 「横向き」 に使用するのが原点で

とされていますが、

実は仏国スカム社製のランジュバン式水晶発振器を使用するものを日本が購入したのは2種類ありまして、1つが九三式探信儀のモデルになった有名ないわゆる 「スカム式探信儀」 ですが、もう一つが 「L式」 と言われる測深儀です。

この測深儀をモデルにしたものが 「九〇式測深儀」 として北辰電気で製造されていますが、このL式の送波器を “横向き” にして (元は測深儀ですから当然船底に取り付けられ下向きですが) 探信儀としたものが水上艦艇用の「八九式探信儀」、そして潜水艦用のものが 「九一式探信儀」 です。ただ、逆にこの潜水艦用の九一式の詳細については不詳です。

「八九式探信儀」 は当初 「L式潜水艦探知器 (爆雷用)」 という名称で横廠機雷実験部で実験されております。

しかしながら、この八九式探信儀と九三式探信儀の開発に関する関係・関連の詳細は不明で、特に前者については 「海軍水雷史」 でも 「海軍水測史」 「海軍電気技術史」 でも全く触れられておりません。

ただハッキリしているのは、「八九式」の送波器の形状・構造は 「L式」 のものを横向き (縦置き) にして、これを上下・旋回ができるようにしたもので、「九三式」 はモデルとしたとされる 「スカム式」 の形式となっていることです。

Type89_sonor_02_s_mod.jpg
( 八九式探信儀送波器一型 )

Type-Scam_sonor_01.JPG  Type93_sonor_01_s.JPG
( 左:スカム式送波器  右:九三式送波器一型 )

この八九式探信儀は 「曳船第728号」 「第5号掃海艇」 「第6号掃海艇」 に装備されました。 したがって「海軍水測史」 では第5、第6号掃海艇に装備されたのは九一式とされていますが、これは誤りです。

Type89_sonor_01_s_mod.jpg
( 八九式探信儀大要図より )


送信周波数は、八九式が一型:29kc、二型:29.2kc、九三式が一型:29kc、二型:25kc、三型及び四型:17.5kcで、モデルとされたスカム式が17.5kcです。


なお、

>送波器と記してしまいましたが正しくは送受波器

確かに一般的に言えば送受波器ではありますが、旧海軍では八九式の仮称時には「送受波器」であるものの、それ以降は全て 「送波器」 が正式名称ですので、必ずしも間違っているわけではありません。
posted by 桜と錨 at 09:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 海軍のこと
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186689430
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック