2019年01月23日

SAR と ISAR


Facebook の方で今回の P−1 に対する韓国駆逐艦 「クァンゲト・デワン」 によるFCレーダー照射事件に関連して、一連の記事を8回にわたって連載いたしました。

その中でちょっと触れたのが ISAR についてですが、そう言えばここでも、そして本家サイトの方でも確かまだご説明したことが無かったと ・・・・ ?

折角の機会ですので、ここでも少しご紹介しておきます。


レーダーの発達により、偵察衛星などで用いられてきたものに SAR (Synthetic Aperture Radar、合成開口レーダー) があります。

これは衛星の早い飛翔速度を利用し、その経路を巨大な仮想のレーダー・アンテナに見立てて、それによるレーダー映像を合成することによって地表の起伏などの詳細が判るようにするものです。

SAR_1990s_02_s.JPG

ちょっと古い画像ですが、20年以上前の段階でここまで出来るようになっていました。

SAR_1990s_01_s.JPG

この SAR の原理を応用したものが ISAR (Inverse Synthetic Aperture Radar、逆合成開口レーダー) です。

原理についての詳細は省略しますが、両者の違いを簡単に示したものが次の図です。

ISAR_1990s_02_s.JPG

このように、ISAR は航空機のように衛星よりは遙かに飛翔速度が遅いものに用いられます。

このISAR 機能は30年以上も前に既に米海軍のP−3などのレーダーに装備されていた古い技術ですが、その後海上自衛隊でも P−3 や HS に装備され、今では一般的な機能となっています。

もしろん今回の事件の P−1 に装備する HPS-106 レーダーにもこの機能があることは申し上げるまでもありません。

これもちょっと古い画像でご紹介しますが (流石に最新のものは ・・・・ (^_^; )、もう20年以上前に既にここまで出来るようになっていました。

ISAR_1990s_01_s.JPG

これをご覧いただいてお判りのように、ISAR 機能を使うとレーダーの映像で水上艦船の大凡の形が得られます。

そして艦船の長さに対するマストや艦橋などの構造物の位置の比率を図ることによって、具体的な艦型を識別することができます。

データー・ベースを整えれば、それとの比較によって簡単にこれができるようになるものであることはご理解いただけるかと。


ただ一つ、この ISAR 機能が有効に働くには一つ重要な条件が必須になりますが、それは何かお判りでしょうか?


そうです、SAR は地表に固定された動かないものであることが前提ですが、ISAR の場合は逆に海面の動揺によって艦船が揺れ動く必要がある のです。

したがって、ISAR は水上目標に対しては極めて有効ですが、地表にあるものに対しては不向きなんです。

posted by 桜と錨 at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代戦のこと
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