2018年09月05日

米海軍の射撃用レーダー Mk-13


大戦後半に米海軍の戦艦や巡洋艦の主砲用射撃指揮装置の一部として装備された水上射撃用レーダーである MK-13 ですが、実はいまだにその詳細は一般には公開されていないものの一つです。

米海軍の正式なマニュアルとしては 「OP-1297 Radar Equipment Mk13 Mod0」 などがあることは知られていますが、これらは今のところ入手できません。

このため、現在のところネットの某所で HN 「hush」 氏が紹介された 「NAVPERS-10798 Naval Ordnance and Gunnery Vol.2 Fire Control」 を始め、その他の米海軍マニュアルに書かれている概要などを付き合わせて行くしかありません。

もっともそれでも性能要目などについてはかなりのところまでが判ってはいるのですが ・・・・

そこで、極めて博識なことで知られる hush 氏でも流石にここまで専門的になるとご存じではなかった (多分) ことを少し補足を。


実は hush 氏が紹介された有名な Gene Slover 氏のサイトは、ご存じの方も多いと思いますが残念ながらUPされている米海軍のマニュアル類は画像なども含めてあまり綺麗ではないのが残念なところです。

当該ページにある Mk-13 の画像と同じものを私の手元の資料からご紹介すると次のものです。

NAVPERS-10798_Fig-20C1_m.JPG
( 当該マニュアルの原本より )

また当該マニュアル第20章の G. Main-Battery System にある Mk-13 のアンテナ前面の図は次のようになっています。

NAVPERS-10798_Fig-20G1_m.JPG
( 同 上 )

このG項をお読みいただくとお判りいただけると思いますが、Mk-13 のアンテナは1秒間に5回の周期で左右に5.75度 (100ミル) 計11.5度 (200ミル) の首振り運動 (と言うより実際には振動に近いですが) をしますが、上下の運動はありません。

NAVPERS-10798_Fig-20G6_m.JPG
( 同 上 )

したがって、アンテナそのものはその左右・上下の運動による弧や楕円を描く訳ではありませんし、アンテナ・カバー前面部がその運動のためのガイドになっている訳でもありません。

このアンテナ・カバーは単にアンテナのメカニカル機構保護のための雨風除けであり、風の抵抗を小さくするためにあの形になっているのです。

そして、カバー前面部は開閉出来るようになっていますが、これはアンテナ機構部のメインテナンスのためであり、通常の運用においてこれを開閉することはありません。

では、hash 氏のご紹介にある先のA項 Fig-20C1 にあるアンテナ架台に付いている 「Antenna Elevation Receiver-Regulator」 と言うのは何をするものなのでしょうか?

Mk13_antenna_01_m.JPG
( 別の未公開米海軍マニュアルより )


そうです、船体のバランスや動揺による傾きに対してアンテナの向き (=レーダー・ビームの方向) が照準線方向 (=方位盤の向き) において常に水平に保たれるように、垂直安定ジャイロ (Stable Vertical) の信号によってアンテナ機構そのものを上下に動かすためです。

また必要に応じて方位盤の測距儀 (これも垂直安定ジャイロによって安定が保たれています) を測距目標に合わせた時の俯仰角度に追従するようにすることもでき、これらは方位盤内にあるスイッチの切換で選択可能となっているのです。

posted by 桜と錨 at 21:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 砲術の話し
この記事へのコメント
ご親切に回答して頂きありがとうございます。
この記事を見てもう一つ疑問が出たのでよければ教えて下さい。
米戦艦の主砲射撃用レーダーはこれ以外にMk-3とMk-8がありますが、こちらにはこのようなレドームは無かった様に思います(記憶違いであればすいません)。
となれば
・Mk-3やMk-8には必要ないがMk-13には必要。
・Mk-3やMk-8で必要が認識されMk-13に装備された。
・これ以外の何か。
等の選択肢が出てきますがどうだったのでしょうか?
Posted by Mk.63 GFCS at 2018年09月06日 00:24
Mk.63 GFCS さん、こん**は。

正解は1番目ですね。

なぜそうなのかは Mk-3 や Mk-8 のアンテナの形状や構造、作動方式をご覧になればお判りいただけると思います。

Posted by 桜と錨 at 2018年09月06日 16:07
Mk.63 GFCS さん、こん**は。

いかがでしょうか、Mk-3とMk-8、ご覧になられてお判りになられました?

Posted by 桜と錨 at 2018年09月14日 14:55
申し訳ありません。
手持ちの本などを読んだのですが正直なところ、あまりよくわかりませんでした。
Posted by Mk.63 GFCS at 2018年09月16日 17:20
Mk.63 GFCS さん

そうですか。 ではそのうちMk-3及びMk-8について本ブログか本家サイトでご紹介する機会もあると思いますので、本件も含めてお話しすることにしますね。

Posted by 桜と錨 at 2018年09月16日 19:02
お手数をおかけして申し訳ありません。
本当に有難う御座います。
Posted by Mk.63 GFCS at 2018年09月16日 19:28
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