2018年07月02日

方位と距離の呼称法


某所で次の様な質問が出ていました。

艦橋では方位や距離の数字を読み上げたりすると思いますが、その時の数字の読み方について教えて下さい。

その後に続く文章からはおそらく全くの初心者の方かと思いますので、それはそれで仕方が無いのでしょうが ・・・・

一言で “艦橋で” とはありますが、方位や距離の呼称法について “どこの国の” “いつの時代の” “どの様な状況で” “どの様に使う” 場合なのかという前提が全くありません。

旧海軍か海上自衛隊でのことなんでしょうが、それにしてもこの前提がなければ本来は答えられないことではあります。

回答を付けた方々も何故かこれには全く触れておりません。 (まあ某所は質問したい人、回答したいと思う人がそれぞれ自由に書き込むところですので、それでも全く構わないのでしょう。)


旧海軍でも海上自衛隊でも、艦上で “聞き間違いの無いように” 呼称法が決められており、数字などは一般的なものとしての読み方もあります。

よく知られている、一 (ひと)、二 (ふた)、三 (さん)、四 (よん) ・・・・ というのはその代表的な一つですね。

Seamen_nav_text_01_cover_s.JPG
( 旧海軍の水兵さんが航海術について最初に習う教科書 )


しかしながら、見張り、測距・測的、砲戦・水雷戦、操艦・操舵、艦位・位置、時刻やそして測深 (測鉛) 法などではそれぞれの教範類において異なった (独特な) 報告・号令が定められています。

これらはそれぞれその必要があってのことで、これらが随時艦橋内で報告や指示・命令とし飛び交うことになります。

例えば、最も頻度の多いのが見張についてで、これは報告を受けた者がわざわざ羅針儀を見なくとも即座にその場で直感的に分かるように 「潜望鏡、右 (左) 20 (ふたじゅう) 度、(距離) 3千 (さんぜん)、向かってくる」 などとと艦首を中心にして左右180度まで、距離は目測概略のメートル単位又は遠距離の場合はマイル単位 (その場合は○○マイルと言う) で報告します。

よく言われるような百メートル単位は見張では使いません。 これは測距・測的や砲戦などの場合です。

また、艦位・位置でしたら360度法の方位とマイル単位 (2マイル以内ならメートル≒ヤード単位) での報告になりますし、操艦・操舵での方位も360度法で、例えば 「235 (ふたひゃくさんじゅうご) 度、宜候〜」 のようにです。

もちろん、旧海軍でも磁気羅針儀しかなかった古い時代と、転輪羅針儀 (ジャイロ・コンパス) を使い出してからとでは大きく異なってきたことは言うまでもありません。

また特に測深 (測鉛) は呼称法の中でも最も独特なものの一つでしょう。

そして戦後の海上自衛隊ではレーダーやソーナーの装備が当たり前になりましたが、レーダーは360度法で距離はマイル単位 (2マイル以内はヤード単位)、ソーナーはヤード単位 (TASS等の長距離の場合はマイル単位) です。 

これらのように、艦橋における方位や距離は全て一つの呼称法しかないのではなく、それぞれの場合などで異なることを説明する必要があるでしょうね。

-------------------------------------------------------------

次記事 : 「 方位と距離の呼称法 (補) 」

posted by 桜と錨 at 23:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 海軍のこと
この記事へのコメント
一般で入隊して3年間奉職したものですが、見張り報告で80(やーまる)とか普通に使ってましたよ?
視界内に入ってきたフネを報告する際に100m1単位でやってました(25年程前ですが)。
一輸隊の輸送艦2隻での経験でしたがウチの乗ってたフネは他の艦と違ったんでしょうか……?
Posted by 薩摩 at 2018年07月03日 22:34
薩摩さん、こちらへようこそ。

で、方位はどのようにされてたんでしょうか? そしてそれらの根拠は何でしょうか?

Posted by 桜と錨 at 2018年07月04日 19:31
見張りとしての報告は相対角の報告なので口語です。
方位の読み上げ(真方位〇〇〇)の報告は羅針盤を見ながら報告する際に使用してました。
根拠と言われても「当時そういう報告の仕方を教わって見張り員配置の時にそのままやっていた」としか言いようがありませんが。
念のために当時フネで教育を担当してくださった今も現役の先輩にも連絡を取って確認したところ「それで間違ってないよ」と言われましたけど。
教本とかそういうもので教わるのではなくフネに配属されてから実地で教えられたやり方です。
Posted by 薩摩 at 2018年07月04日 20:28
薩摩さん

>相対角の報告なので口語です。

「口語」 というのがよく判りませんが ・・・・

いずれにしても、それが 「発唱法」 であり 「呼称法」であって、質問にある “読み上げ” のことですね。

別に紙に書いたものを読んだり、羅針儀を使ってのことだけではありませんので (^_^)

上に書きましたように、方位や距離についても艦橋内では見張だけではなく、様々な 「呼称法」 による情報が飛び交いますので、それをキチンと区分けする必要があります。

そして見張の基本は常に 「相対方位」 であって、羅針儀を見ながらのことは特別な情報が求められる場合です。


>「それで間違ってないよ」と言われましたけど。

海自の現場でなぜそれが出てきたのかについては、後で別記事にして改めてご説明することにしましょう。


Posted by 桜と錨 at 2018年07月04日 21:58
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/183708524
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック