2018年01月24日

拙稿 「アイオワ級の兵装」 の補足 (5)


第2次大戦時の艦艇における個艦の戦闘指揮は、従来からの艦橋や司令塔、そして旧海軍のような防空指揮所のように、前檣楼に設けられた施設において行われてきましたが、更に米海軍においては各種レーダーの装備に合わせて艦内にCICが設けられ、ここでも戦闘指揮ができるようになりました。

これは 「アイオワ」 級でも同じことで、これらの艦内配置については、現在では米海軍から公式の詳細な一般配置図が公開されており、ネット上でもあちこちのサイトで紹介されていますので、比較的簡単に見ることができるようになりました。

この詳細な公式図集を見ると、「アイオワ」 級4隻でも就役時や戦後の改装時のものなどがあり、また各艦で少しずつ異なりますので、建造時期による違いや改装による変遷などがわかり、大変に興味深いものがあります。

拙稿でもこの公式図について 「ニュー・ジャージー」 の大戦後の大改装時のものから前檣楼及び発令所・CICの部分を抽出してご紹介たところです。

CEC_draw_02_s.JPG

CEC_draw_01_s.JPG


では、この 「アイオワ」 級において艦長はどこで戦闘指揮を執るのかと言うことですが、一言で 「戦闘時」 と言ってもその様相、形態、状況などは様々ですので、これについては “どこで” とは一概には言い切れません。

強いて言えば “その時その時で艦長自身が最も戦闘指揮に最適と思った場所に位置する” ということです。

例えば、戦艦対戦艦の水上砲戦ならば司令塔の上から2層目にある個艦戦闘指揮所の中でしょうし、対空戦闘であるならば状況把握に適したCICでしょう。 あるいは対地射撃なら自分の目でも見えるところということになります。

この “艦長自身が戦闘指揮に最適と思うところで” というのは、別に 「アイオワ」 級に限ったことではなく、どの艦でも、またどこの海軍でも同じことであり、必然的なことでもあります。

そして、副長及び砲術長はそれぞれ艦長とは別のところに位置するのが一般的です。 これは被害時の指揮継承のためと、艦長の戦闘指揮を補佐するために艦内応急や射撃などの職務の遂行をそれぞれ適したところで分掌するためです。


(1月25日追記) :

戦闘時の艦長の位置に関連して、これはあまり語られたことはありませんし、また 『世界の艦船』 9月号増刊の 『傑作軍艦アーカイブ4 米戦艦 「アイオワ」 級』 の中でも触れられていないことですが、「アイオワ」 級には前檣楼中段 (08レベル) には 「副次戦闘指揮所」 が設けられており、しかも操舵室や海図室の設備もありますので、ここで艦長は航海及び戦闘の指揮を執ることが可能です。 そしてその後ろ側に航海用艦長室 (Captain's Sea Cabin) が設けられていました。

BB61_sec_scs_01.jpg

BB61_sec_scs_021.jpg
( 戦後の大改装後の 「アイオワ」 の前檣楼 (部分) )

この航海用艦長室は戦後の大改装時も 「アイオワ」 では上図のとおりそのまま残されていますが、「ニュー・ジャージー」 では気象室になりました。 ただし副次戦闘指揮所などは元のままです。

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前記事 : 拙稿 「アイオワ級の兵装」 の補足(4)

posted by 桜と錨 at 21:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 海軍のこと
この記事へのコメント
Mk.63GFCSです。
桜と錨さん、詳しい説明をしていただき本当にありがとうございました。

追加の質問になってしまいますが、解説のなかで少し気になったところがあります。
「副長及び砲術長はそれぞれ艦長とは別のところに位置するのが一般的です。 これは被害時の指揮継承のためと、艦長の戦闘指揮を補佐するために艦内応急や射撃などの職務の遂行をそれぞれ適したところで分掌するためです。」
ということですが艦長が司令塔にいる場合、砲術長は砲戦指揮に適していると思われる主砲用の発令所にいるのでしょうか?
それとも艦長が司令塔の下の階にいて砲術長は射撃指揮所にいるのでしょうか?
もし宜しければお教え下さい。
Posted by Mk.63 GFCS at 2018年01月24日 22:15
Mk.63 GFCS さん、お久しぶりです。

>艦長が司令塔の下の階にいて砲術長は射撃指揮所

艦長が戦闘時にどこに位置していても、主砲の射撃を伴う場合は砲術長は必ず (使用不能でない限り) 射撃指揮所に位置します。 主砲の射撃システムが基本的にそのように作られているからです。

ただし対空戦闘の場合は一概には言えません。 それは艦としての戦闘要領が艦長によってどの様に決められ、また砲術長がどの様に射撃指揮要領を決めているかは、ひとえにその時の艦長、砲術長のやり方になるからです。

したがって、射撃指揮所にいて副砲射撃指揮官に全てを委任するかもしれませんし、場合によっては副砲発令所にいて指揮のオーバーライドをすようにしているかもしれません。 あるいは艦長がCICに位置しない場合にはCICで目標割り当てなどの指揮をするかもしれません。

Posted by 桜と錨 at 2018年01月25日 12:16
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