2017年12月17日

名著 消ゆ!


さる一般の方からお知らせをいただきましたが、『攻撃理論概説並に射撃理論』 というテキストについて防衛省に問い合わせたところ “見つからなかった” との回答があったとのこと。

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ご来訪の皆さんの中にはご存じの方もおられるかもしれませんが、当該書は昭和29年に海上自衛隊術科学校 (当時、現在の海上自衛隊第2術科学校の前身) において教科書として使われたもので、教官で旧海軍出身の松下辰吉氏の手になる海上自衛隊における砲術関係の名著の一つとされているものです。

私が海上自衛隊に入った時には既に使われておりませんでしたが、その頃でも射撃を専門とする幹部にとっては必読の書の一つでした。

そして私が定年退官する頃でもあちこちにそれなりの数が残っておりましたが ・・・・ 現在では上記の通り海上自衛隊の中には “見つからない” と。

もしこれが本当ならば、海上自衛隊は何故こんなことをするのか、こんなことになるのか。

このような海上自衛隊の歴史的資料として大変に貴重で価値のあるものでありながら、その保管・管理はもちろん、そもそもその資料の選定の段階から全てを全く中身が判らない事務官などの素人に任せっぱなしにしているのでは?

海上自衛隊は遅きに失したものの、平成6年に 「歴史保存に関する達」 を定めております。 しかしながらこういう状況を聞くにつけ、一体何のための規則であり、一体何をやっているのかと。

これだから “海上自衛隊は自分で自分の足跡を消しながら前に進む組織” と言われるのです。

かつて海上自衛隊50年史の編纂に携わった同期の者が 「桜と錨よ〜、海上自衛隊には何にも残っていないぞ〜」 と嘆いていましたが、その実状・実態は全く変わっていないのではと思わざるを得ません。


ただ、極めて遺憾かつ残念な出来事ではありますが、当該書は500部印刷されており、術科学校における教育使用が終了して当該書の不要決定された時に、当時の心ある射撃幹部達がそれを惜しんでかなり個人的に保管したとされていますので、もしかしたら誰かから、あるいはどこからかヒョッコリ出てくる可能性も無きにしもあらず、と淡い期待を抱いておりますが ・・・・ ?


あ〜、こんなことになるような予感がしたので、全文ディジタル化保管しておいて良かったと心底から実感しています。

posted by 桜と錨 at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し
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