2017年09月06日

『艦砲射撃訓練規則』 (補足)


これはどうしても補足しておかなければ片手落ちになるでしょう。

先にこの訓練規則を説明した時に、もしかしたら “あれっ” と思われた方もおられるかもしれません。 そうならその方は大変に旧海軍に詳しいと言えます (^_^)


実は、太平洋戦争が開戦となった直後の昭和17年1月8日に 『戦闘訓練規則草案』 が定められて試行されました。

sentoukunrenkisoku_souan_S17_s.jpg


これによって 『艦砲射撃訓練規則』 を始めとする、魚雷発射、航空、艦隊運動、機関運転などそれまでの訓練規則の全てが 「停止」 となったのです。

ただ残念ながらこの内令により海軍省教育局長から所要の向きに配布されたとする別冊そのものは見たことがありませんし、防衛研究所にも残されていないようです。

とは言っても、どの様なものであったのかの大凡の見当は付きます。

即ち、太平洋戦争が始まり戦時状態となった海軍においては、平時における訓練規則がそのまま実施できるわけはありません。

例えば、射撃訓練についても平時におけるように事細かなことは不可能ですし、ましてや外地に展開する艦艇部隊がそのような訓練をする余裕はありません。

それに規定された標的でさえ満足には揃いませんので、その時その時で標的として使えそうなものを使うしかない状況です。

ですから、開戦後早々に訓練についても平時の態勢から戦時態勢へと切り替えたわけです。

このため、この 『戦闘訓練規則草案』 は本来の各種訓練規則に準拠しながらも、相当に簡略化されたものであったはずです。 特に手続きや書類などについては。

当然ながら戦争が終結して平時の態勢に戻れば、また元の各種訓練規則に則った訓練が再開されたはずですが、敗戦という結果に終わりましたので、この試行も終戦までそのまま続いたのです。

ただし射撃訓練の実施要領のようなことについては基本的にそのまま踏襲せざるをえません。 変えようがないからです。

したがって、これら各種訓練規則は 「廃止」 ではなく 「停止」 とされており、規則そのものは終戦まで存続したのです。



付け加えるなら、この規則などは 『海軍制度沿革』 にはありません。 これは昭和15年に編纂され、昭和12〜13年、一部は14年のものまでしか収録されていませんから、それ以前のことを調べるならともかく、多くの方々に関心のある太平洋戦争開戦前から終戦までのものは当然ながら載っていないわけです。

この 『海軍制度沿革』 以降の旧海軍について調べるには、まずは『海軍諸例則 第14版』と『内令提要 第10版』 (と一部については 『軍極秘内令提要』 ) を見る必要があり、かつ基本です。

そして、これらどれにしても 「なかなか検索に骨が折れますが」 などと言うことはありません。

これらの記載要領については全てキチンと分類されておりますので、目次及び索引の使い方に少し慣れればすぐに探せるようになります。

なお、これらの目次及び索引については、本家サイトの 『史料展示室』 でも公開しておりますので、こちらも活用いただけると嬉しいですね。

『海軍制度沿革』 目次 :
    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/tenji/28_nav_reg_his.html
『海軍諸例則 第14版』 目次及び索引 :
    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/tenji/04-shoreisoku.html
『内令提要 第10版』 目次及び索引 :
    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/tenji/02-nairei.html

posted by 桜と錨 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し
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