2017年08月13日

「起工式」 「命名・進水式」 「竣工式」 (続2)


前回、艦艇籍編入は命名・進水日、海軍工廠以外での建造の場合は竣工・接受日であることを説明しました。

さて、そこで問題となるのが 「同型艦」 ということです。

「〇〇型」 のタイプ・シップたる一番艦というのは、さて次のうちのどれで決まるのでしょうか?

   1.建造計画番号順
   2.艦艇類別等級表の記載順序
   3.艦艇籍編入日の順序
   4.竣工日の順序

一般的には同一年度に複数の同型艦を建造する場合、計画番号順に艦船名が決定され公布されます。 そしてこの順番に艦艇類別等級表に記載されます。

では、当該表の記載順序がそのまま同型艦の一番艦、二番艦ということになるのでしょうか?

ここで注意していただきたいのは、この 「〇〇型」 という類別が公式に規定されたのは 潜水艦が大正11年の 「潜水艦艦型呼称」 において、その他は 大正15年の艦艇類別等級表の全面改訂の時 で、それまでは旧海軍には公式の 「〇〇型」 という呼称は存在しなかったと言うことです。

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そしてこの大正15年の改訂時に、「〇〇型」 というのは基本的に艦艇籍編入日をもってその順序とした のです。 言われてみればごく当たり前のことではあります。


例えばよく言われる “「古鷹型」 か 「加古型」 か” ということです。

大正15年の艦艇類別等級表において 「古鷹」 「加古」 の2隻は 「古鷹型」 とされ、一番艦が 「古鷹」、二番艦が 「加古」 とされております。

つまり、両艦とも民間造船所で建造されましたので艦艇籍編入は竣工日であり、「古鷹」 が大正15年3月31日、「加古」 が同7月20日ですので、これがこの類別等級表上の公式な順序です。

これは 「高雄型」 についても同じです。 「高雄」 は横須賀工廠、「愛宕」 は呉工廠ですので艦艇籍編入は命名・進水日で、「高雄」 が昭和5年5月12日、「愛宕」 は同年6月16日です。 従って同型艦4隻は 「高雄型」 であり、一番艦が 「高雄」、二番艦が 「愛宕」 で全く問題はありません。

世間一般でよく言われる、

愛宕のほうが2ヶ月先に竣工していますので、愛宕クラスとも呼ばれます

というのは、何らの公的意味もなしません。

更には、「妙高型」 でも同じことで、二番艦の 「那智 」 の竣工が 「妙高」 より約8ヶ月早かったことから、確かに海軍部内でも通称 「那智型」 と呼ばれたことがありますが、艦艇籍編入は 「妙高」 が昭和2年4月16日、「那智」 が同年6月15日ですから、公式類別上の 「妙高型」、一番艦 「妙高」 で全く問題ありません。


要するに、竣工日の早い遅いは同型艦としての類別とは直接関係しない ということです。

もちろん同型艦を何型と呼ぼうともそれは自由ですが、それは公式のものとは別の “俗称” でのことですから、“「〇〇型」 あるいは 「××型」 とも呼ばれる” などと同列に論じられるような話では無いことに注意する必要があります。


ただし、これはあくまでも原則の話で、艦艇籍編入日以前に艦艇類別等級への登録がなされること、また大正15年以前の複雑な建造・類別の経緯などから、必ずしも全てが一致しているわけではありません。

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(前) : 「起工式」 「命名・進水式」 「竣工式」 (続)
posted by 桜と錨 at 11:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 海軍のこと
この記事へのコメント
ブログ、拝見いたし、凄く参考になりました。
私のお爺さんは、第2号型海防艦に乗船していました。
昭和19年2月1日、第2号海防艦艤装員として横鎮に勤務してから終戦まで、第2号型海防艦に乗船し被弾し復員してきます。NHKスペシャルドキュメントシリーズのシーレインに及川大臣と一緒に写った写真も見られます。第2号型海防艦に関する情報がありましら教えてください。艦長は、原利久少佐になっています。
Posted by 横浜慎一 at 2017年08月13日 18:04
横浜慎一さん、初めまして。

>第2号型海防艦に関する情報がありましたら

あまりにも範囲が広く漠然としたお尋ねですが、もし全般概要についてのご要望でしたら、まずは Wiki あたりから始められてはいかがでしょうか?

Posted by 桜と錨 at 2017年08月13日 21:33
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