2017年06月13日

安式十二吋砲は駐退しない?


私もかつて長い間鉄砲屋の末席に身を置いてきた者の一人ですが、その私が最近驚いた、というより驚愕したことがあります。

それは 「三笠」 など日露戦争で活躍した戦艦に搭載された 「四十口径安式十二吋砲」 は、発砲時に砲身は退却しなかったと言っている人がいるということを聞いたことです。

最初はお付き合いのあるさるところから 「某所からその様なことを言われたが実際のところはどうなのか?」 と質問がありました。

この時はいくら何でもまさか本気でそんな事を言う人はいないだろうと思いましたし、そもそも近代砲においてその様なことになっていれば反動で忽ち砲架が壊れてしまいますよと答えておいたのですが ・・・・

その後すぐに、今度は長くお付き合いのある全く別の友人から同じことを聞かされました。 しかも某所からは、もし駐退するならそれを示す図面と駐退量を教えてくれと言われたと。

ここまでくると、その某所が本気で安式十二吋砲は駐退しなかったと思っていたことがハッキリしました。

もう何をか言わんやで (^_^;


この砲については、旧海軍によるその各部の詳細が判るいくつかの公式図面が残されています。 例えば当該駐退機については次の様なものです。

Type_Arm_40cal_12in_draw_02_s.jpg

また詳細な公式性能要目も残されており、これについては既に私の本家サイトでも公開しているところです。 もちろんその中に駐退量のデータも含まれています。


これらの旧海軍史料は、一度でもキチンと調べさえすればいずれもすぐに出てくるものです。

そもそも、12インチもの大砲が無退却などあり得ないことはちょっと考えれば判りそうなものですが ・・・・


なお私の知る限りでは、駐退しない砲で有名なものが一つあることはあります。 以前紹介したことがありますが、ホッチキス社の1〜6ポンド速射砲で、同砲開発後の初期段階の1880年代のことです。

Ho_3pnd_RF_non-recoil_photo_01_s.jpg
( 3ポンダーの例 )

もちろんこれは小口径の砲だから可能な話しであり、しかもその後すぐに駐退機付きの砲鞍と退却砲架にとって変わったことは申し上げるまでもありません。

posted by 桜と錨 at 20:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 砲術の話し
この記事へのコメント
いつも拝読させていただいております。御投稿からかなり日が経ってからのコメントで申し訳ありません。
 
『三笠』の十二吋砲が駐退しないという妄説ですが、映画「日本海大海戦」や「日本海大海戦 海ゆかば」の戦闘場面で駐退していないことが根拠(?)なのではないでしょうか。
 
馬鹿々々しい話とは思いますが、そうでもなければ思いつきそうにない妄説かと。。。
Posted by kenmat88 at 2017年07月31日 00:04
kenmat88 さん、こん**は。

>映画「日本海大海戦」や「日本海大海戦 海ゆかば」の戦闘場面で

それは無いと思います。 そういう方々ではありませんので。 逆にそれだけに “何を惚けたことを” と思う次第なのです (^_^;

しかも最近のものでは、私がお手伝いしたNHKの 「坂の上の雲」 ではVFXチームさんに説明してキチンと表現してもらっていますので ・・・・

Posted by 桜と錨 at 2017年07月31日 09:00
>桜と錨 様
 
的外れな書き込みに、丁寧に御回答くださり、ありがとうございました。
 
『坂の上の雲』の戦闘場面は良かったですね。
これからも、あのレベル(以上)の映画・ドラマを製作してもらいたいものです。
Posted by kenmat88 at 2017年08月01日 17:49
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