2016年10月03日

海上警備隊と旧海軍軍人


ネット某所で昭和25年に創設された警察予備隊への旧陸軍軍人の採用状況について話題になっておりました。

では昭和27年に創設された海上警備隊の場合についてはどうだったのか、と思われる方もおられると思いますので少々。


警察予備隊では昭和25年の創設時にはまだ戦後の公職追放もあって旧陸軍軍人は採用されませんでした。

しかしながら、当然のこととして軍事組織とはどういうものかさえ満足に理解していない一般の人々を集めてもまともに機能するわけがありません。

そこで26年には取り敢えず陸士58期 (終戦直前に少尉に任官) を採用したものの結局上手く行かず、知識及び経験のある佐尉官の旧軍人を採用せずにはおられませんでした。

これに対して昭和27年4月に創設された海上警備隊 (僅か4ヶ月後には 「警備隊」 となる) は、この警察予備隊での反省と海軍という特殊性もあり、また旧海軍軍人の採用もかなりの程度が可能な情勢となったことから、当初から旧海軍軍人が含まれました。

とは言っても、組織そのものが海上保安庁の一部局だったこともあり、保安庁からの転換者が主流を占めたのは当然のことです。

そして旧海軍軍人の採用に当たって、特に幹部については定員枠による採用数の関係や戦後既に7年も経っていたことなどから、それほどスンナリ行ったわけではありません。

それに旧海軍での知識・経験は有っても米海軍方式の採用により全く一からの出直しであったため、これに馴染めず拒否反応を示す者もかなりあったと聞いています。


そこでこれらの全体像ですが、

海上警備隊創設時の状況や経緯、そしてこれに先立つ 「Y委員会」 のことになどついては、一般の方々が入手できるものとして 「 (財) 水交会」 から出ている鈴木総兵衛著 『聞書・海上自衛隊史話』 があります。

Kikigaki_suzuki_H01_cover_s.jpg

当該書はかつて水交会会報誌 『水交』 に連載されたものを改めて1冊に纏め直して出版したもので、このテーマについてその概要と流れを掴むには最適のもの、というより現在までのところこれしかないと言っても過言ではないでしょう。

なにしろ、後になって出された学者や研究者などがものしたものと異なり、当時の中枢にいた当事者が書いたものですから。

しかしながらデータなどの具体的な面ではやや足りないところもあり、かつ公的な裏付けも必要になりますので、やはり当該書だけでは不完全と言えます。

この足りない部分については、昭和57年に海上自衛隊が 『海上自衛隊二十五年史』 を 「本編」 及び 「資料編」 の2分冊で公刊しており、海上警備隊創設時の人事的なことも一応網羅されています。

JMSDF_History25_cover_s.jpg  JMSDF_History25_2_cover_s.jpg

ただし、残念ながらこの年史は 「部内限り」 に指定されていたため、一般向けには公開されていませんので、まず目にされたことはないと思います。

( 国立国会図書館には平成15年の 「50年史」 は収蔵されてますが、この 「25年史」 はありません。 ただ、最近では時々古書店に出回っているようですが ・・・・ )


これらを要約すると、海上警備隊への旧海軍軍人の採用状況は、国内情勢、そして組織そのものが保安庁出身者に牛耳られていたことなど考慮すると “まあ上手くやった” のかなと評価されます。

そして何よりも、まず教官要員を最優先したことと、一から米海軍方式に従ったことがその後に繋がっていると言えます。


で、これで終わりなんですが、やはり具体的な数字などを挙げて説明しないと手抜きかな ・・・・ (^_^;

posted by 桜と錨 at 20:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 気ままに
この記事へのコメント
HN 「小島」 さん

お尋ねの件は本項の内容に関することではありませんので、私の回答も併せて別記事といたしました。

Posted by 桜と錨 at 2016年10月04日 12:35
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