2016年09月29日

呉海軍工廠テキスト 『軍艦ノ発達』


以前神田の古書店で入手した福井静夫編の呉海軍工廠テキスト 『軍艦ノ発達』 についてご紹介しました。


ご存じのとおり福井氏は戦後になって自分がかつて関わった史料に手を入れ、元々の作成時の内容からかなり変わっていることがあります。 ですから、このテキストについてもその有無と私の所持する複製が何時の段階のものであるのかを確認したいと思っていたところです。

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fukui_warships_cover_02_mod.jpg
( いずれも管理人所有の複製版 )

そこで 「大和ミュージアム」 に収蔵されている福井史料の中にこれの元の原紙がないかどうかを問い合わせたところ、複製なら一冊あるとの回答がありましたので先日見に行ってきました。

結果的には、私が持っているものと全く同じ原紙からの複製で、綴じ方が多少異なるだけのものでした。 そして同館には元々の原紙は収蔵されていないとのこと。

しかしながら、同館収蔵の複製には福井氏自身による書込がありまして、それによってこのテキストの経緯などについて幾分判明しました。 その要旨は次のとおりです。

1.昭和19年7〜8月に工廠実習の学生・生徒用のテキストとして第1巻分を作成・配布し、20年初頭これに第2巻も合わせたものを完成。

 福井氏本人曰く、内容は Hovgaard 著 「Modern Warships」 の和訳ほぼそのままで、これに訂正・修正を加え、更に氏の勤務録より追加を行った。

2.昭和20年4月兵学校教官の内示があり、その講義用として最終的な纏めを実施。

3.戦後になって、昭和27〜28年に青陽社 (注) によりブループリント30部を印刷・製本し、20冊は造船工業会などに、そして10部を海幕用として配布。 海幕は更に別途青陽社に10〜20冊の増刷を発注した。

(注) : 現在東京の港区にある 「(株) 青陽社」のことと思われます。

そして元々の原紙では、(何故か) わざわざ米国の 「米」 を 「獣偏に米」、同じく英国の 「英」 を 「獣偏に英」 と書いていたものを、この戦後の再印刷の時に正しく 「米」、「英」 と修正したとしています。

大和ミュージアム収蔵分も私の複製もこの修正跡がありますので、戦後増刷分であることは間違いありません。

また、同館のものは目次が第1巻と第2巻のそれぞれの表紙の後にありますが、私の複製では両方の目次が冒頭の合冊表紙の後に纏められています。

そして私のものは明らかにブループリントからコピーしたものであることから、海幕が別に発注した増刷分 (おそらく原紙は使わせて貰えなかった) の1冊であり、これがどこからか古本で流れたものであると考えられます。

・・・・ ということで、残念ながら 「大和ミュージアム」 には元々の原紙は無く、しかも福井氏の書込には戦時中に印刷したもの1冊は仮製本して所蔵していると記されていますが、これも同館にはありませんでした。

これらは今どこにあるのか ? もしご存じの方がおられましたら是非ご教示下さい。
posted by 桜と錨 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 海軍のこと
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