2015年07月16日

オールド・セイラーの眼 (31)


◎ 第66巻 「鈴谷」

シリーズ第66巻は旧海軍の 「鈴谷」 で、1940年に当初の軽巡から重巡へ改装された時の設定とされています。

「鈴谷」 及び 「熊野」 は一般的に 「改最上型」 とも呼ばれているように、基本的には 「最上」 型の3・4番艦ですが、船体設計をやり直しておりますので 「鈴谷」 型と言ってもよいものです。

したがって、本モデルではこの点をどのように表現するのかも見所の一つであるといえます。

066_Suzuya_model_01.jpg

066_Suzuya_cover_s.jpg

いつもどおり、モデラーさんとしてモニターをされており、本シリーズのレポでコラボさせていただいてるHN 「おまみ」 氏の評価記事は次のURLです。


総合評価として “良くも悪くもこのシリーズなりの鈴谷の形になっていると思います。 甘めかもしれないけど平均点。 (ただし最近の品質低下で平均点下がっています)” とされています。

詳細評価も含めてほぼ全面的に同意します。 特に本シリーズの基本コンセプトからすると、決して見栄えは悪いものではないのですが ・・・・

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( 手前から第66巻 「鈴谷」、第32巻 「三隈」、第20巻 「最上」の順 )

ただし、これは本シリーズを並べて離れて見る場合であって、手にとってみるとやはり色々と問題がある、という出来になってしまっています。

特にこの 「鈴谷」 はモデル設定である重巡改装時の姿として一般艤装図及び船体線図などの公式図が残されていますので、これに基づいてキチンと考証とデザインをしていれば間違えようのない “はず” のものです。

しかしながら、本モデルを見る限りでは、本当にこの公式図を確認したの? というところが随所にあります。 その最大の問題点が船体形状です。

全長200.6m (=182.4mm) に対してモデルは179mmで約3.5mmも短く、逆に船体最大幅19.2m (=17.5mm) に対して18.6mmと1mm以上広くなっており、船体平面形状は実艦よりズングリムックリしています。

066_Suzuya_model_04.jpg

また、船体断面形状が異なっており、特に 「最上」 型に対して 「鈴谷」 型は船体最大幅よりもバルジ幅が広く、船体舷側から大きくはみ出ているという特徴が表現されていません。

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Suzuya_official_draw_sec_01_s.jpg

加えて、船体前部の形状も異なります。 まず平面形状は全体がズングリであるのに対して艦首部は明らかに細すぎます。

066_Suzuya_model_02a.jpg

Suzuya_official_draw_01_s.jpg

そしてこのシリーズの最大の欠点であるダイキャスト船体とプラ甲板との接合部の大きな隙間のために、これが一層強調されて見えます。

また側面形状では、艦首上甲板の反り上がり (sheer) が大きすぎますし、また艦首先端の2つの直線を基本とした特徴ある形状が全く表現されていません。

066_Suzuya_model_02b.jpg

Suzuya_official_draw_02a_s.jpg

船体後部では、上掲の船体断面図の如く丁度装填演習砲当たりから上甲板が下りの傾斜となっており、「最上」 型と異なる特徴の一つとなっていますが、これも表現されていません。


船体以外での主要な点については、主砲や艦橋構造物上部の誤り、高角砲に至っては何を今更という形状、煙突のおかしなジャッキステイ、推進軸の付き方が違う、などなど。

その他、後部の洗い場が凸形状になっているなど詳細に見ると数限りなくあります。

これらを見るに、単なるスケールからするデフォルメ上の問題ではなく、明らかにモデル・デザイナーは艦船についての全くの素人さんであるが故のものと判断されます。

そしてこの素人さんがデザインするものを、企画〜デザイン〜製造の全ての段階において誰も考証的なチェックをしていないのではないかと。

例えば次の画像と本モデルを見比べてみて下さい。 タミヤさんの公式サイトにある1/700のものですが、艦載機を含め基本的にこれと実にそっくりなデザイン (^_^;

Tamiya_Suzuya_01.jpg
( 元画像 : タミヤさんの公式サイトからお借りしました )

これを見ると、もしかするとデザイナーは公式図に基づくのではなく、これをそのままスケールダウンすることを図ったのでは? と疑わざるを得ないレベルのものです。

おまみ氏も指摘されている “最近の品質低下で平均点下がって” ということの典型例の一つと言えるでしょう。 オールド・セイラーの眼からしても、大変残念な出来となっています。

イーグルモス社さん、既に66巻です、シリーズとしてのこれまでの蓄積が製品に反映されても良いのではないでしょうか?

それとも、シリーズ最後まで全くその単品限りでその時その時の担当デザイナー任せで行くのでしょうか?

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