2015年06月30日

防衛医科大学校とその卒業生達 (2)


◎ 本科医学生について

防衛医大に入学してくる学生達は、確かに大変に優秀な者が揃っています。

同校の入学試験は毎年一般大学などより早い時期に行われますので、一般医大や医学部を目指す受験生の多くはまず “腕試し” のつもりでここを受けます。

そして旧国立系や慶大などの著名医大・医学部の入試に落ちたか、優秀でも私大の入学金・学費の支払いに無理があるといったような学生が多く入校してきます。

ですから、お金でなんとか、というレベルの私立医大や医学部の学生との差ははっきりしています。

もちろんこれは “知能レベル” での話しで、性格などの人間性の問題はまた別ですが (^_^;

全寮制の自衛隊の医大ということさえ我慢できれば、後は学費や衣食住は全てタダ、それどころか学生手当まで支給されます。 それに 「訓練」 という名の体験航海や体験飛行、硫黄島研修やスキー訓練などなど、割り切れば全て無料の様々な “旅行” も (^_^;

教授陣も東大出や慶大出が揃っていますし、私が知る限りでは当時は救急、脳神経、リハビリなどは非常に優秀でした。

それ故に中途退学者はほとんどなく、しかもひたすら医師国家試験合格を目指しての6年間の丸抱えの育成 (当然ながら、日々の授業を欠席するなどありない訳で) ですから、合格率も例年非常に高いことは言うまでもありません。

そして何よりも、防衛大学校に比べれば、全寮制での団体生活など楽ちん、楽ちん。 一応学生舎では防衛大学校と同様に学生隊を編制し、自衛官としての基礎を作る形態はとっていますが、規律や躾け、訓練などははるかに緩いものです。

また、平日の課業後の外出もほぼ自由、クラブ活動は看護学生と一緒にワーワーキャーキャー (^_^) 私達から見れば自衛隊で言うところの学生舎とはほど遠く、まさに単なる “寄宿舎” です。

ましてや、5・6年ともなると病院での診療実習が中心となりますので、時間などの都合のため、学生部による学生舎での指導はほとんどできなくなります。

また防衛大学校の学生と異なり、在学中でも結婚可です。 このため5・6学年にもなると近くに奥さんを住まわせ、既に子供もいる、なども散見されます。

とは言っても、大体において真面目な学生が多いです。 それは目の前に卒業時の国家試験に合格する必要がある、という人生の大きな目標 (というよりハードル) がぶら下がっているから、でもあります。

それでも学生としての成績は、やはりトップクラス一握りは男子学生であるものの、その下に女子学生がズラリと並び、更にその下に残り大多数の男子学生が並ぶ、という状況になります (^_^;

男子は医師志望の理由として一般的な “格好いい” “高収入” などなど結構ある意味チャランポランな考えで入学してきますが、女子はやはり人生の目標としてしっかりと決めて来る者が多いからです。

ではその成績が下に並んでいる男子学生がダメなのかというと、決してそうではありません。 元々能力は高いものを持っていますので、卒業後に医師として勤務し始めてからある日 “あっ、俺はこの道で頑張るんだ” と意識が変わった後は、どんどんと伸びる者が多いですね。

逆に女子は一般的に在学中の成績は上位でも卒業後は思ったほど伸ない者が多いように見受けられます。 それは入学の時点で既に一杯一杯のほぼ全力を出していますので、その後に伸びる余地が少ないからとも言えます。


◎ 学生部について

冒頭の組織のところで書きましたように、自衛隊医官たるべき者を養成する防衛省の防衛医科大学校において、全学校職員約1200名中に現役の自衛官は学校本部の学生部に24名と、医学研究センターの教授陣などに10名ほどいるだけです。

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(防衛医大本部庁舎)

ただし医学研究センターの現役自衛隊医官は、講座を持っていない (規則上持てない) ので基本的に本科医学生の教育にはノータッチです。

そして学生部ですが、24名で本科医学生の学生舎での生活指導を始め、訓練及び服務・補導などに当たります。

しかしながら全員とも一般自衛官であって、医官ではなく、ましてや防衛医大の卒業生でもありません。

したがって、本科医学生からしてみれば、学生部の自衛官は自分達の “先輩” でもなく、彼等が目指す対象でもありません。

当たり前ですが、医学生の目が向いているのは医師たる教授陣であり、彼等が “先輩” であり “身内” なのです。

そして学校の組織も運営も教育も、全ての環境は自衛隊医官とは全くの無縁であり、また学校長以下全教職員が医学生に対してまずは医師となる (=国家試験に合格する) ことに全力を尽くことを求めているのです。

さて、これで学生部に何ができるでしょうか? 医学生を単なる医師ではなく、“医師たる幹部自衛官” に躾けるのが役目? 冗談でしょう。

学生にとっても全教職員にとっても、学生部は小うるさい “舎監” としての存在でしか無く、またその様にしか期待されていないのです。

そして僅か24名の学生部の自衛官が如何に立派に勤務しようとも、学生・教職員にとっては別世界の人間のことでしかないのです。


これを要するに、防衛医科大学校とは自衛隊の医官 (軍医) を養成するところではなく、防衛省・自衛隊に勤務 (就職する) ための “お医者さん” を作るところなのです。

そしてこれは当然ながら医学生本人達のせいでも、また防衛医大の教職員の責任でもありません。 ましてやたった24名の学生部の一般自衛官達のせいでもありません。 防衛省 (の役人達が) 自らがそのようにしてきた結果なのです。

したがって、冒頭に書きました医官である3等陸佐の女性に対する批判が、もし本当に防衛省から出たのであるならば、それはもう全くの筋違いと言うもので、防衛省自身がやってきたことに対する自覚も反省もない、無責任な発言ということになります。

私に言わせればまさに “何を今更白々しく” の一言に尽きます。

(この項続く)

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防衛医科大学校とその卒業生達 (1) :

防衛医科大学校とその卒業生達 (3・終) :
posted by 桜と錨 at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに
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