2015年06月18日

オールド・セイラーの眼 (29)

何かバタバタしておりまして、ブログの更新も2週間近く開いてしまいました (^_^;

◎ 第64巻 「ミネアポリス」

シリーズ第64巻は久々の米海軍艦艇となり、重巡 「ニュー・オーリンズ」 級の3番艦 「ミネアポリス」 で、1942年のルンガ沖夜戦 (アメリカ名 タサファロンガ海戦) 時の設定とされています。

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モデラーさんとしてモニターをされているHN 「おまみ」 氏の評価記事は次のURLです。


“ディテールは平均的レベルで悪くない。ただ秀作の多い海外艦の中ではあっさり気味” とされつつも “造形、組み立て塗装ともに問題なくなかなかの出来” と評価されています。

確かに本シリーズを並べて飾ってみる分には見栄えは十分であると言えるでしょう。 ただそれだけに残念なところがあるのも事実です。

私としては次の4点については指摘しておかなければならないでしょう。


1.飛行作業甲板と後部上部構造物

このクラスでは2番艦の 「アストリア」 の公式図が公開されており、またこの 「ミネアポリス」 そのものも多くの写真とともに1/700や1/500などの詳細な分割図面を掲載した書籍がいつくか出ています。 したがって、これらを基に1/1100にスケール・ダウンしたフルハル・モデルをデザインすれば容易で、かつ大きな間違いが出ようもないものです。

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・・・・ にも関わらず、格納庫前の作業甲板付近から後部上構にかけての形状が間違っています。

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実艦ではカタパルトのあるこの格納庫前の作業甲板は両舷にわたり上甲板と同一平面の面一であり、かつ舷側には切れ目のないブルワークがあります。

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しかしながら、モデルでは何故か作業甲板は上甲板より一段高くなっており、しかも船首楼甲板 (最上甲板) よりは低いという、非常に奇妙なモデル・デザインになっています。

しかもカタパルト後部で両舷とも上甲板と同じ高さの凹部分があり (ご丁寧にラッタルまで表現されている)、かつここには舷側のブルワークがありません。

そして更に問題なのは、実艦では後部上部構造物の両側が舷側と面一となっていますが、モデルでは舷側より幅が狭くなっています。

Minneapolis_photo_1942_02.jpg
( 1942年撮影の 「ミネアポリス」 中部右舷 )

なぜこの様になってしまったのでしょう? 図面と写真を確認していれば間違いようのないはずですが ・・・・


2.高角砲座

ブルワークを含む高角砲座を何故か別部品としてしまったために、最上甲板に据え付けられている高角砲がこの部品分だけ腰高になってしまい、非常に奇妙な見かけになっています。 明らかにデザイン・ミスかと。

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このため、高角砲の形状云々以前に、上記1.と合わせ、艦中央部から後部にかけての外観が異なっており、折角のモデルの見栄えを大きく損ねています。


3.工夫のない塗装

ネービーブルー一色の塗装時の設定であることからある意味致し方ない点があることは確かですし、ワンポイントとして初めてハルナンバーが付いていることは評価できるでしょう。

しかしながら、後は煙突頂部とボートなどが僅かに塗り分けられている以外は何等の工夫もありません。 まるで青の塗装缶の中にドップリつけたような ・・・・ (^_^;

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このハルナンバーが付けられるなら、なぜ装備品などを細かく塗り分けることをしなかったのでしょう? ハルナンバーだけで塗装の費用が一杯に?


4.ダイキャスト製船体とプラ製上甲板との接合部

これは本モデルに限ったことではなく、本シリーズ当初からの大きな問題点の一つです。

ダイキャスト製船体にこだわったため部品製造上の問題である程度は致し方ない点もあるのでしょうが、しかしながらデザイン時の不必要な大きな間隙の採用により、組立時にほとんど常に上甲板が船体上縁より落ち込んでしまい、まるで艦全周にわたりブルワークでもあるような状態となっているのが常です。

064_Minneapolis_model_05a.jpg  064_Minneapolis_model_05b.jpg

この部品分割におけるデザイン上の問題はこれまで度々指摘してきましたとおり、他にも上部構造物各層の部品間に組立時大きな隙間や段差が出来ることがあります。 またこのため水平・垂直などが正しくならず、個体によって傾いたり曲がったりしていることも多々発生しています。

064_Minneapolis_model_06a.jpg  064_Minneapolis_model_06b.jpg

イーグルモス社さんはこの問題をこのまま最後まで改善するつもりはないように見受けられます (^_^;


なお、モデルでは前部マスト頂部にSCレーダーのアンテナが表現されています。 ルンガ沖夜戦直後の損傷の写真でははっきりしませんで、このSCレーダーは架台上になく、その前方にSGレーダーが装備されているように見えます。

Minneapolis_photo_1942_01.jpg  Astoria_photo_1942_01.jpg
( 左 : ルンガ沖夜戦後の 「ミネアポリス」、右 : 1942年撮影の 「アストリア」 )

しかしながら、1942年にMk3 FCレーダーと同時期に装備されたとされていますので、まあそれはそれで良しとするにしても、それにしても大袈裟で、というより形状が少々違いますが ・・・・

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