2014年08月16日

オールド・セイラーの眼 (7)

◎ 第42巻 「加古」

シリーズ第42巻は、既に第27巻でモデル化されている 「古鷹」 の姉妹艦 「加古」 で、1942年の設定とされています。

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第27巻 「古鷹」 は20糎単装砲塔 x 6基の1926年竣工時の時代の姿でしたが、この 「加古」 は改装後の同連装砲塔 x 3基の姿です。

第27巻 「古鷹」 の記事 :

両者を並べてみると、その艦容の変化が良くお判りいただけると思います。 この様に手軽に並べて飾れることこそ、この 「世界の軍艦コレクション」 シリーズの醍醐味ではないでしょうか?

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( 手前が今回の 「加古」、奥が第27巻の 「古鷹」 )

そこでこの 「加古」 ですが、例によってモデラーさんとしてモニターをされているHN 「おまみ」 氏の評価ですが、次のURLのとおりです。


氏曰く “相変わらず考証の凡ミスがいくつか見つかりましたが、古鷹と比べると模型としての出来は幾分良くなっています。 このシリーズの平均的な品質かと。”

確かに 「古鷹」 に比べれば、という事なんですが ・・・・ 外国艦も数が揃い始めた現在においては、おそらく購読者の多くの方々にとっては “日本艦はシリーズ42巻まで来てまだこのレベルか” という印象の方が強いのではないでしょうか?

そこで今回は、この 「加古」 のモデルについての具体的な考証上の指摘についてはともかくとして、ここに来ての本シリーズについての全体的な所見を 「加古」 を例にして採り上げることにします。


1.モデル・デザインの方法について

本シリーズの初期から指摘していますように、なぜ武器・装備品などについてその標準化を図らないのでしょうか?

今回の 「加古」 についても、やはりいまだに船体・構造物はもちろんのこと、各部品に至るまで全て一から新たに起こしているようです。

それも段々良くなるならまだしも、例えば高角砲などはこの期に及んで “何これ?” という出来です。

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すでに申し上げてきましたとおり、モデル・デザイナーが1隻にかける手間暇 (工数、時間) は毎回同じようです。 支払われるデザイン料が同じなら当然のことでしょう。

したがって、結果としてデザイナーの手元に集まった一般資料の量と質によって、そのモデルの精粗がそのまま出てくることになります。

それならば、なぜ武器・装備品などについて標準化・共通化を図り、そこで浮いた手間暇を個艦の細部を正しく表現するための考証に回さないのでしょうか?


2.モデルの質の向上について

今回のこの 「加古」 のモデルをみると、質の向上を図るためにこれまで積み上げてきたデザインのノウハウがほとんど活かされていないように感じられます。

42巻まで進んできたのですから、どんどんレベルが上がって来るのが当然であると普通なら思います。 しかしそれがどうもあまり感じられません。 もちろん、全くというわけではありませんが ・・・・

ですから、上にも書きましたように “日本艦は42巻まで来てまだこのレベルか” という評価に繋がるのでしょう。

うがった見方をするならば、もしかするとイーグルモス社としては、既に発売してきた初期のモデルとの差をあまり出したくないと考えているのかとも思えます。 つまり、これまでのものとレベルをあまり変えたくない、あるいはシリーズ通しての “質の均一化” を図りたい、ということかと。

しかし、もしそうだとするなら、私に言わせるならばそれは明らかに誤りです。 購読者は後のモデルになればなるほど、その出来、質の向上を期待するのは当然のことだからです。

そして質の向上、改善努力は、イーグルモス社としての本シリーズに対する姿勢を示すものであると言えます。

もし次第にレベルが向上するならば、予定の全80巻を更に続けることもできるでしょうし、あるいはまた初期のもののバージョン2に繋がる可能性もあるかもしれません。

本シリーズのコンセプトを理解し、好意的に見ている購読者の方々の多くもそれを期待しているのではないでしょうか?

私としては、ちょっと今のままの方針維持のやり方には疑問を持っています。


3.艦船モデルとしての基本

いまだに艦船としての基本的事項が正しくモデル化されていないところが見られます。

例えばその一つが、この 「加古」 の例ではその各部の塗り分けがあります。 錨甲板や飛行作業甲板の黒塗り、内火艇の上甲板の白塗り、艦橋上部のリノリュウム表現、等々 ・・・・

あるいは前回の 「大鳳」 のように主錨があらぬ方向を向いている、等々 ・・・・

ちょっと艦船についての基礎的な知識があるならば間違えようがないものですので、少なくともモデル・プランから始まって、モデル・デザイン、製造の段階のどこかで一度でも誰かがキチンとチェックしてさえいれば、このようなことにはならないはずです。

このことは、本シリーズ冒頭の第1巻 「大和」 がとんでもないミスで始まって以降、現在に至るも各モデルで多かれ少なかれ引き続く問題です。 もう少しキチンとした配慮があっても良いのではないでしょうか?


とは言っても、これまでも度々申し上げてきましたように、本シリーズはそのコンセプト、そしてこれまでの全体的な見栄えとしての出来からすると決して悪いものではありません。 

そして、日本及び諸外国の代表的な艦船を、統一されたスケールでのフルハル・モデルで、それを手軽な価格で気軽に集め、一堂に並べて飾ることの出来る良い企画であると思っています。

ですから、そのレベル向上のためにもう少し考えていただけませんか、イーグルモス社さん? 折角のチャンスなのですから。


う〜ん、今回はちょっと辛口だったか ・・・・ でも、本シリーズの発展を願えばこその提言と捉えていただければと思います。

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