NHK総合の44分版の 「坂の上の雲」 ですが、明後日の3月2日(日)はその第25回目で、第13話(最終回) 「日本海海戦」 の前編 が放送されます。

日本側 :
https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_23.html
ロシア側 :
https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_24.html
今回の第25回は、いよいよNHKスペシャルドラマ 『坂の上の雲』 の海軍関係のクライマックスである日本海海戦です。
「信濃丸」 が発見したバルチック艦隊に対して直ちに鎮海湾を出撃した連合艦隊は、対馬海峡沖においてこれを視認、反航態勢で近接しつつ、距離約8千メートルを確認して有名な “敵前大回頭” (俗に言う 「東郷ターン」) を開始して秋山真之が考案して東郷により連合艦隊の基本戦術として採用された 「丁字戦法」 に持ち込もうとするところから始まります。
この第25回の撮影については、上記の日本側とロシア側の2つの私の制作参画所見をご参照いただくこととしますが、申し上げて置かなければならないことは、この東郷の指示による “敵前大回頭” によって、日本海海戦劈頭の第1会戦は実に見事な “丁字戦法の実現” であったということです。
艦に乗ったことの無い、また艦砲射撃を経験したことの無い世の物書きさん達は、この第1会戦の双方の航跡図を見て 「だらだらした並航戦」 であり、“丁字戦法は実現しなかった” とするものがありますが、これは全くの誤りであることを理解していただきたいと思います。
この丁字戦法については、もう少し簡単なものは次のところをご参照いただければと。

この中の第2部 「日本海海戦」 で一文を書かせていただき、この “敵前大回頭” と “丁字戦法” について解説しております。
http://navgunschl.sblo.jp/article/189542473.html
ただ、司馬氏の原作ではこの丁字戦法の実現については明確に述べられておりませんので、プロデューサーや監督、そしてスタッフの皆さん一同にご説明して、これを頭においていただいてかなり良いところまで作り上げていただきました。
そして、この日本海海戦の場面では、主砲の連装砲は左右両砲の斉射ではなく交互打方であったこと、右舷前部副砲4門による試射 (「試し打方」) を行ったことなど、映画やドラマなどでは始めて明らかになるところを取り入れて貰えました。
これらについては、次の制作参画所見の後書きのところで触れておりますのでご参照ください。
https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_26.html
また、敵前回頭中の砲撃開始前に、まだ射程には入らない右舷補助砲 (3インチや47ミリ砲) の砲員などを一旦避退させるシーンを映像化したのも初めてのことと思います。

