2025年02月28日

明後日 NHK 「坂の上の雲」 第13話(最終回) 「日本海海戦」 前編 再々放送


NHK総合の44分版の 「坂の上の雲」 ですが、明後日の3月2日(日)はその第25回目で、第13話(最終回) 「日本海海戦」 の前編 が放送されます。

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日本側 :
https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_23.html
ロシア側 :
https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_24.html


今回の第25回は、いよいよNHKスペシャルドラマ 『坂の上の雲』 の海軍関係のクライマックスである日本海海戦です。

「信濃丸」 が発見したバルチック艦隊に対して直ちに鎮海湾を出撃した連合艦隊は、対馬海峡沖においてこれを視認、反航態勢で近接しつつ、距離約8千メートルを確認して有名な “敵前大回頭” (俗に言う 「東郷ターン」) を開始して秋山真之が考案して東郷により連合艦隊の基本戦術として採用された 「丁字戦法」 に持ち込もうとするところから始まります。

この第25回の撮影については、上記の日本側とロシア側の2つの私の制作参画所見をご参照いただくこととしますが、申し上げて置かなければならないことは、この東郷の指示による “敵前大回頭” によって、日本海海戦劈頭の第1会戦は実に見事な “丁字戦法の実現” であったということです。

艦に乗ったことの無い、また艦砲射撃を経験したことの無い世の物書きさん達は、この第1会戦の双方の航跡図を見て 「だらだらした並航戦」 であり、“丁字戦法は実現しなかった” とするものがありますが、これは全くの誤りであることを理解していただきたいと思います。

この丁字戦法については、もう少し簡単なものは次のところをご参照いただければと。

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この中の第2部 「日本海海戦」 で一文を書かせていただき、この “敵前大回頭” と “丁字戦法” について解説しております。

http://navgunschl.sblo.jp/article/189542473.html

ただ、司馬氏の原作ではこの丁字戦法の実現については明確に述べられておりませんので、プロデューサーや監督、そしてスタッフの皆さん一同にご説明して、これを頭においていただいてかなり良いところまで作り上げていただきました。

そして、この日本海海戦の場面では、主砲の連装砲は左右両砲の斉射ではなく交互打方であったこと、右舷前部副砲4門による試射 (「試し打方」) を行ったことなど、映画やドラマなどでは始めて明らかになるところを取り入れて貰えました。

これらについては、次の制作参画所見の後書きのところで触れておりますのでご参照ください。

https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_26.html

また、敵前回頭中の砲撃開始前に、まだ射程には入らない右舷補助砲 (3インチや47ミリ砲) の砲員などを一旦避退させるシーンを映像化したのも初めてのことと思います。

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posted by 桜と錨 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2025年02月21日

明後日 NHK 「坂の上の雲」 第12話 「敵艦見ゆ」 後編 再々放送


NHK総合の44分版の 「坂の上の雲」 ですが、明後日の2月23日(日)はその第24回目で、第12話 「敵艦見ゆ」 の後編 が放送されます。

https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_21.html

前回の第23回、第12話前編では、旅順のロシア艦隊の壊滅を確認して連合艦隊主力は内地の母港等に帰還し修理や補給を行い、これを終わって各艦ごと佐世保に集結、そして連合艦隊旗艦は一斉に鎮海湾に向かって出港するところまででした。

今回の第24回は、鎮海湾に集結した連合艦隊が参謀長加藤友三郎の主導の下、有名な内筒砲を使用した猛訓練に励むなか、真之を始めとする面々がバルチック艦隊が対馬に来るのか津軽海峡を回るのかの判断で悶々とするところです。

そして明治38年5月27日未明、遂に哨戒中の 「信濃丸」 がこれを発見、緊急信を発信し、「厳島」 経由でこれを 「三笠」 が受信し連合艦隊は鎮海湾を一斉に出港、対馬海峡に向かいます。

ついで、バルチック艦隊を視認した 「三笠」 以下はこれに接近し、有名な “敵前大回頭” を東郷が指示するところまでです。


鎮海湾での内筒砲訓練は、加賀元気劇場の 「三笠セット」 では尾栓など動かすことができるのは副砲と3インチの補助砲が1門ずつであとは固定のものでしたので、役者さん達がそれらしく演技をしてくれ、あとはカメラさんの腕です。

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そして、標的は加賀元気劇場の 「三笠セット」 の脇の駐車場で的の赤旗だけのものに特効さんが命中弾があるように撮ってくれ、あとはCGさんなどが上手くそれらしく作ってくれました。

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シンガポール沖でロジェストヴェンスキーが奉天会戦の報を受けるところは、マルタロケでのロシア艦セットの艦橋内です。

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哨戒中の 「信濃丸」 がバルチック艦隊を発見するシーンは、マルタロケで 「報国丸セット」 を利用したものですが、当該セットには船橋部分がありませんので、サイドなどでの撮影ですが、まあこれだけの雰囲気が出ていれば十分かと。

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そして、バルチック艦隊発見の報を得て連合艦隊は直ちに鎮海湾を出航し対馬海峡での迎撃に向かいます。 この時の連合艦隊司令長官から軍令部長に対する電報に真之が 「天気晴朗なれども波高し」 の一文を付け加えるシーンが出てきます。

この一文の意味するところについて、今日色々なことがネット上や刊行物などで言われていますが、この電報が起案され発信された時刻を考えればその意味するところは明らかでしょう。

   http://navgunschl.sblo.jp/article/36844138.html

旗艦 「三笠」 を含む連合艦隊は直ちに出港準備、合戦準備を行いますが、この場面で特筆すべきは、「三笠」 では余剰の搭載石炭を海中投棄するところと、来るべき決戦に備えて乗員が体を清めて新しい服に着替えるところでしょう。

余剰石炭の投棄では、この ↓ のシーンに続き

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投棄した石炭が海に投げ込まれるシーンはこれだけマルタロケで撮ったものです。

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そして、甲板上の仮設の入浴場のシーンは、私の提案によりスタッフさんも気に入って急遽加賀元気劇場の「三笠セット」で撮影されたものですが、5月とは言えお湯では無く大変に冷たい水で、役者さん達、遂には自棄気味にお互いにバシャバシャ。 でもなかなか雰囲気は出ていると思います (^_^)

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第24回 (第12話後編) の最後は、東郷が右手で取舵回頭を指示するシーンですが、最初渡氏は左に半円を書くようにグルっと手を回してしまったのですが、これは私が右手を左肩くらいの高さで停めるようにお願いしました。

ただ、加賀元気劇場の 「三笠セット」 でも露天艦橋は高くて狭いので、カメラさんは後ろからクレーンに乗って撮ったのですが ・・・・ 確か7回くらいやり直したかと (^_^)

これですね。

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posted by 桜と錨 at 23:46| Comment(1) | TrackBack(0) | 気ままに

2025年02月14日

明後日 NHK 「坂の上の雲」 第12話 「敵艦見ゆ」 前編 再々放送


NHK総合の44分版の 「坂の上の雲」 ですが、明後日の2月16日(日)はその第23回目で、第12話 「敵艦見ゆ」 の前編 が放送されます。

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https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_20.html

前回の第11話で陸軍関係のクライマックスである203高地の争奪戦でこれを制し、この高地からの観測によって旅順港に立て籠るロシア艦隊を全滅させましたので、いよいよ第12話と第13話が海軍関係の出番です。

とはいっても、今回の第23回でも奉天戦という陸軍関係の出番が続くのですが、 ・・・・

いや〜、それにしても好古役の阿部寛氏、実に良いですね〜 (^_^)

( 阿部氏とは 「坂の上の雲」 の打ち上げの時の2次会で同じテーブルだったのですが、こういう撮影・演技を離れたお酒の場所でも全く偉ぶるようなことのない、性格的にも良い役者さんでした。)

今回の第23回、第12話前編では、旅順のロシア艦隊の壊滅を確認して連合艦隊主力は内地の母港に帰還し修理を行いますが、連合艦隊旗艦たる「三笠」は後部主砲の換装などがあるため母港の舞鶴ではなく呉に入ります。

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この各シーンは、司令長官室が成城、「三笠」艦上は加賀日本劇場でのロケのものですが、それ以外の艦の全容を示すようなところや艦外はすべてCGです。

この後にマダガスカルのノシべに停泊するバルチック艦隊のCGがあり、私の制作参画所感にあるように、マルタロケにおける物売りのシーンが。

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日本に帰還した東郷以下が上京して陛下に拝謁したり、真之は家に戻るシーンはいつもどおり私達にはお呼びがかかりません。 こういう場面に限って小さなところでいつも通り色々あるんですが、まあそれらに気が付かれた方がある時は目をつぶって下さい (^_^;


次いで、修理を終わった連合艦隊の各艦は佐世保に集結、鎮海湾に向け出港していきます。 この出港シーンは熊本・三角で撮った時の人々の見送りシーンにCGを組み合わせたもの。

( 因みに、この 「三笠」 の呉での修理中に、連合艦隊参謀長が島村速雄 (役:舘ひろし氏)(→ 第2艦隊司令官) から加藤友三郎 (役:草刈正雄氏)(第2艦隊参謀長 →)に、「三笠」 砲術長が加藤寛治から安保清種などに替わっています。)

佐世保出港時に 「三笠」 の艦上で軍楽隊が軍艦行進曲 (正しくは行進曲 「軍艦」) を吹奏するシーンは加賀元気劇場のセットで。 地元の小松工業高校ブラスバンド部の皆さん達のボランティア出演なのですが、皆さん現代っ子らしく後ろ頭の髪が少々長いのをまさかここで坊主にしてくれとは言えないので、スタッフさん達が色々細工をしてくれましたがそれでもこれが限度と言うことで ・・・・ (^_^)

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posted by 桜と錨 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2025年02月07日

明後日 NHK 「坂の上の雲」 第11話 「二〇三高地」 後編 再々放送


NHK総合の44分版の 「坂の上の雲」 ですが、明後日の2月9日(日)はその第22回目で、第11話 「二〇三高地」 の後編 が放送されます。

https://navgunschl2.sakura.ne.jp/tokusetu/NHK_Sakanouenokumo/NHK_saka_19.html

同じく、第11話後編としては前編に引き続き海軍関係としては大きな出番はありませんので、上の制作参画所感にもありますように、第10話と同様に44分版のお話では前・後編の2つには区分しておりません。

とはいっても、今回の第22回でもチョコチョコと海軍関係の出番が結構ありますが ・・・・ 残念ながら今回もやはりご紹介できるような良い写真がありません m(_ _)m


今回の第22回、第11話後編では、児玉の指示 (命令) により28センチ榴弾砲の陣地を変換し203高地及び付近のロシア軍堡塁を目標として砲撃、これに呼応して第7師団の残余が12月5日に同高地を占領するシーンです。

これにより、同高地上に上がった者による有名なセリフが出てきます。

「 見えま〜す。 丸見えでありま〜す。 各艦一望の下に収めることができま〜す。」

このシーンは本ドラマでのクライマックスでの名場面になります。 そしてこの俳優さん、実に良い役を貰いましたね。


しかしながら、上の私の制作参画所感でもお話ししたように、公式記録ではこの203高地占領時ではなく、その前の同月2日に第三軍に派遣中の中川海軍少尉がここに登って旅順港内を見下ろし、これを同じく第三軍に派遣中の岩村参謀が同日の午後9時に東郷司令長官に電報で報告しております。

「 中川少尉二〇三南西高地に行き目撃せし処に拠れば同高地は予期せし通り旅順口港内全部残らず瞰制すること得 」

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( 連隊告示第201号(12月2日)の一部 赤線:筆者 )


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( 軍令部編 『明治37、8年海戦史』 より )

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( 平成22年4月の旅順203高地からの眺め )


とは言え、記録上は海軍のものであっても、やはりこのシーンは陸軍のクライマックスとしてこのドラマのようにしておくのが良いでしょうね (^_^)


この203高地からの旅順港の眺めは、やはり何とも言えない感動があります。 この明治37年12月5日 (実際には12月2日) のシーンはまさに歴史上の重大な一コマと言えるでしょう。

そして、付近にはロシア軍の塹壕跡なども残されており、慰霊碑のみならず、203高地は日本人なら是非一度は訪れて散策してみたいところですね。 有名な高崎山も直ぐ近くに見えるには驚きです。

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( ロシア軍の塹壕跡 )

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( 高崎山 )


さて、次回の第12話前編からはいよいよ海軍関係の出番です。

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