「海空会」 が昭和32年に旧海軍の海軍航空史を編纂するに先立ってその内容の基準・基本を統一することを企図して纏めた史料です。
( 元々は藁半紙にガリ版印刷したものでハードカバーではありませんので、どこかでいつか製本し直されたものと思われます。 )
( 本史料の元々の表紙 )
明治42年から昭和20年まで日付順に、中央機構、組織編制、教育、技術・造修、作戦・訓練、国内外情勢・陸軍・民間航空の6つの項目に分類して記述したものとなっています。
この史料は当時海空会会員の他に関係する人・組織などに結構幅広く配布されたものと考えられ、私の現役時代にも防衛省・海上自衛隊の複数のところに残されている (眠っている) のを確認しております。
勿論、海自部内において本史料の存在やその活用状況などの話は全く聞いたことがありませんし、現在ではどこに残っているのか ・・・・ ?
そして市販品ではありませんでしたので、一般の方々でこの史料をご存じの方、あるいはお読みになられた方はどれくらいおられるのでしょう?
この史料に基づく海軍航空史の方は、その後昭和44年に日本海軍航空史編纂委員会編で 『海軍航空史』 全4巻が時事通信社から、更には昭和57年に 『荒鷲の航跡 日本海軍航空外史』 及び同別冊として 『海軍航空年表』 が海空会編で原書房から出されていますので、これらについてはお持ちの方やご覧になった方々も多いことでしょう。
そして旧海軍航空史の年表は、上記の昭和57年のものや、海空会のメンバーであった永石正孝氏の手になる 『海軍航空隊年誌』 などがありますが、内容的にはこの史料の方が良く出来ており、かつ見易いと思います。 なぜこの史料をそのまま出版しなかったのか不思議でなりません。
この方面に興味がある、あるいは研究者の方なら手許に置いておくと便利で重宝すると思います。 もし、まだ入手されていない、あるいは未読の方でしたら、図書館などで見かける機会があった時には、是非コピーを取っておかれることをお勧めします。 古書店などで時々出回っているようですが、結構な値がついているようですので。
ところでこの 「海空会」 についてですが、旧海軍の航空関係の士官や下士官兵などの集まりで、1988年までの名簿が存在することは知られていますが、実際の活動内容やその後の現状などについては良く判りません。
本史料は刊行物では無くその海空会の内部文書ですし、部内外の関係者に広く配布することを目的にしておりますので、私としては著作権の所在がどうなっているのかはちょっと気になるところです。