朝雲新聞社さんから8月25日付の同社の 「朝雲新聞」 が届きました。
「世界の新兵器」 コーナーは私の艦艇編の19回目ですが、今回もあまり紹介されることのない小海軍国であるフィンランドの対機雷艦 (Mine Countermeasure Vessel) 「カタンパ」 級を採り上げてみました。

この 「カタンパ」 級3隻は排水量680トンながら、その装備は対機雷戦用として大変に充実したものとなっており、伝統的に機雷戦・対機雷戦を重視する欧州各国の海軍として、平時2300名、戦時動員でも4300名の小海軍としては極めて重要な位置付けの艦であると言えるでしょう。
しかしながら、当日付の紙面は本来記事が盛り沢山となってしまいましたで、このため残念ながら当初予定した文量の約半分ほどしか掲載できなくなってしまいました。
実は、当該記事ではこの 「カタンパ」 級そのものをご紹介することはもちろんですが、私としては本当は当初予定した原稿から省略した後半のところが言いたかったのです。
ここで、その部分の主要なところをご紹介しまと。
「 翻って、海上自衛隊では掃海部隊の規模の縮小が検討され、かつ水陸両用戦も所掌するようになってきた一方で、護衛艦を 「もがみ」 型のFMMという少人数のクルー制による多機能護衛艦を多数建造することで進んでおり、その多機能の一つとしてこの対機雷戦の能力が含まれている。
しかしながら、対機雷戦というのは最新鋭の装備はもちろんであるが、それに携わる乗員には豊富な知識、経験、技能を必要とするのであって、一見このような “付け焼刃”“片手間” 的なことで十分その能力が発揮できるかどうかについては、米海軍の沿岸域戦闘艦 (LCS) の例を見ても大いに疑問が残るところでもあり、列国海軍の動向と併せ注目されるところであろう。 」
と言うものです。 さて、皆さんはどの様にお考えになるでしょうか?
海上自衛隊が建造を進めているFMMなる護衛艦は、少人数のクルー制で多機能・多用途を追求しようという構想です。
これの範となったものが米海軍のLCSですが、このLCSは 「ストリートファイター」 構想に基づき将来的には米海軍水上艦艇の主体を占めることになる計画でしたが、現在では見事に失敗であったことが明らかになっています。
にも関わらず海上自衛隊はこの種の艦艇であるFMMの建造を進めていますが、それでなくとも日本人の性格からして、まず上手く行くとは思われません。
例えば、乗員に要求される個艦の船体を含む装備全てについての 「計画整備」 はどうなるのか? これを主要なところを民間造船所を含む陸上造修組織に任せるとなるとライフサイクル・コストとしても莫大な費用を要することになりますし、乗員が行うにしてもクルー制という責任の分散化ではますます “帳簿の帳面消し” になるのでは、と。
そして多機能・多用途を追求するにしても、私の知識・経験からして、対機雷戦一つとっても本当にこんなもので役に立つのか、という疑問が残るところです。
本記事においては、このことが言いたかったのですが ・・・・