海上自衛隊の古い史料から、“かつては、こんなものもあったよ” という22回目です。
私がもう45年前に幹部中級射撃課程において学んだ時の射撃指揮装置は、Mk 63、Mk 56、1型及び2型でした。 この内2型はその派生型を含めて、そして次の3型は現在現役ですので、残念ながらご紹介できません。
そして装備艦が全て退役となり、かつ廃棄となりました1術校砲術科の実機教材の1型については、そのSGを本家サイトの方で順次公開中です。
したがって、一応射撃指揮装置についてはここまでとし、次に砲熕武器ですが ・・・・
当時中級射撃課程修業後の補職先として可能性のある砲雷長として、3インチ連装速射砲、5インチ単装速射砲、そして装備が始まった76ミリ単装速射砲の搭載艦がありましたので、この3種については詳細な教育が行われました。
しかしながら、5インチ速射砲については練習艦に種別変更になったとはいえこれを搭載する「はたかぜ」型2隻はまだ現役ですし、76ミリ単装速射砲もCIWSも現役艦が揃っておりますので、残念ながらお話しできません。
したがって、この連載においてご紹介できるのは3インチ連装速射砲についてのみ、と言うことになります。
その3インチ砲ですが、海上自衛隊が使用した3インチ砲のうち、警備隊・海上自衛隊創設期に米海軍から貸与・供与された艦艇の内、PFについては、本連載の第2回でご紹介しましたたように、3インチ50口径単装砲 Mk22 で、一般的には「商船型」、あるいは俗に3インチSF(Slow Fire)砲と呼ばれるものでした。
この砲は、「あさひ」 「はつひ」 の2隻にも装備されていましたし、また国産艦である敷設艦 「つがる」 及び訓練支援艦 「あづま」 に搭載されたことで知られています。
しかしながら、流石に昭和50年代中頃になっての幹部中級射撃課程では、当然ながらこの砲についての教務は行われませんでした。
3インチ砲については、3インチ50口径速射砲で、これについては海上自衛隊では単装砲の Mk34 が 「あけぼの」 「いかづち」「いなずま」に、そして連装砲 Mk33 と、これを国産し 「いすず」 型、「おおい」 型や「かとり」などに搭載された 57式 がありましたが、1術校砲術科としては最も装備数の多い Mk33 で教務を行っておりました。
単装砲にしても、連装砲にしても、そして国産のものにしても、基本的な機構としては大差はないからです。
(「あけぼの」など3隻は、当初3インチSF砲を装備しましたが、昭和33年に揃って特別改造が施され、この時に 3インチ単装速射砲 Mk34 に換装されました。)
このため、私達が使用したSGは次のものでした。
1.概説、砲架・砲鞍部機構、砲尾機関
2.装填機機構、発砲装填管制機構
3.装填機構同期試験及び調整法手順書
4.Mk35動力操縦装置
5.Mk35 Mod N411&412

( Mk35動力操縦装置をトランジスター化したものです )
6.付図
そして射表については、SFでもRFでも砲身は同じ Mk22 ですので、弾種による違い以外は同一のものです。
この射表としては、昭和29年のものと、昭和56年のものがありました。
因みに、警備隊・海上自衛隊創設期には次のものを含む米海軍史料がリリースされて使用されていたものと思われますが、その全容については不詳です。
OP-811 3" Gun Mounts Mk 20 and Mods, Mk 21 and Mods and Mk 22 and Mods
OP-984 3" Gun Mounts 50cal DP Pedestal Type Mk24 and Mk24 Mod 1
OP-1566 3"/50 Twin Mount Mk27 Mod 1
OP-1753 3" Mount Mk27 and Mk33
OP-861 Range Table 3"/50cal AA Gun, 2700 fsiv 13-lb AA Projectile
さて、3インチSF砲も含めた米海軍史料、国産に当たってのメーカー(日本製鋼所)の取扱説明書類、そしてここでご紹介した3インチ速射砲のSG及び射表などについては、現在となっては残されているのかどうか ・・・・
( 余裕ができましたら、 「現代戦講堂」 の 「資料展示室」 コーナーにおいて、私が所持しております上記の3インチ連装速射砲のSGについても公開していければとは思っておりますが、何時になりますやら (^_^; )
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