2017年07月23日

昭和18年横砲校 『防空兵装略図』


私の本家サイトは大変マイナーなテーマを扱うところですが、お陰様でご来訪が54万名を超えました。

サイトでは特別に記念企画などは考えておりませんでしたが、その代わりと言ってはなんですがサイトの今週の更新も兼ねて 『史料展示室』 にて昭和18年に横砲校戦術科が作成した 『防空兵装略図』 を公開しました。

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    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/tenji/tenji_main.html
    http://navgunschl2.sakura.ne.jp/tenji/47_Air_Def_Arm_illust_S18.html

重巡、軽巡及び空母の機銃などの増備状況を示したものですが、手書きの大変にラフなもので、かつ質の良くない藁半紙にガリ版刷りの上、経年変化で特に折り目などが変色してしまっており大変見づらいものとなっております。

この機銃などの増備状況については、あ号作戦後に呉、佐世保、舞鶴の各海軍工廠が作成した 『各艦機銃電探哨信儀等現状調査票』 (一般ではこれを故福井静夫氏の著作としていますが、これは誤りです) が有名ですが、こういった技術的視点のものではなく、用兵者側の史料として大変珍しいものと思います。

各艦の調査期日が記されていないなど問題点もありますが、この時点での旧海軍の対空戦についての認識を表すものとしても貴重な史料です。

僅か8頁のものですが、出来るだけゴミ取りをして1つのPDFとしましたので、お楽しみ下さい。

ただし、残念ながら昨今のネット事情、そのままではすぐに一人歩きしてしまいますので、表紙以外の頁には透かしを入れ、また印刷・加工はできない設定としておりますことはご了承ください。

posted by 桜と錨 at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 海軍のこと

2017年07月21日

発射門数と命中率 ・ 続 4 (終)


それでは最後に 「交互打方」 と 「一斉打方」 についてです。

旧海軍では昭和12年の『艦砲射撃教範』で 一斉打方 交互打方  指命打方 及び 独立打方 の4つの打方が規定されました。

これは、明治期から昭和初期まで は砲塔動力の問題で砲塔砲では余程のことがない限り左右砲の斉発は行わないこととされ、交互打方を常用とし、これを 「一斉打方」 と呼んできました。

昭和10年代になってこの砲塔動力の問題が何とか解決して連装砲の斉発が実用に耐えるレベルとなってきたことから、昭和12年の 『艦砲射撃教範』 の全面改訂時に実態に即して次のように名称が改められました。

一斉打方トハ一指揮系統ニ属スル砲 (連装砲) ヲ一斉ニ発射セシムルヲ言フ

交互打方トハ一指揮系統ニ属スル連装砲ヲ二連装砲ニ在リテハ左右交互ニ三連装砲ニ在リテハ右中左交互ニ又ハ左右砲中砲ヲ交互ニ発射セシムルヲ言フ

指命打方トハ一門又ハ数門ノ砲 (砲塔) ヲ指定シ毎回若干門宛発射発令時ニ発射セシムルヲ言フ

独立打方トハ一指揮系統ニ属スル砲 (砲塔) ヲ各砲単独ニ発射セシムルヲ言フ


では 「一斉打方」 と 「交互打方」 の両者はどちらが命中率は高くなる のでしょうか?

某所では結局正解は出てきませんでしたが、後者の 「一斉打方」 です。 何故か?

ここまでの説明を読まれた方にはお判りいただけると思いますが、「一斉打方」 の場合は 「交互打方」 に対して一斉射の射弾数が倍になるからといって、平均散布界も戦闘公誤も倍になるわけではありません。 つまり射心近くに弾着密度が高くなりますので、有効弾獲得の確率も高くなるからです。

そして交互打方は半数門づつ打つからと言って、射撃速度が一斉打方の2倍になる訳ではありません。 弾着観測のために弾着時期と発砲時期が重ならないようにずらさなければならないからです。

一般的には少なくとも5秒以上離すこととされていました。 このため、通常は一斉打方の方が射撃速度は速くなります。 この点も多くの人が誤解をしているところでしょう。

ただし、交互打方では 8〜12 門艦の場合は一斉射 4〜6 門になり、弾着観測が容易で (=誤観測が少なくなる) かつ斉射間隔が短くできますので、目標の変針・変速や、測的誤差などの累積に対する対応が早くできるというメリットがあります。

日本海軍の射法は、射撃指揮官が斉射弾の一発、一発の弾着 (=目標に対して遠か近かを) を正確に観測して射弾指導を行うことが基本だからです。

これにより、旧海軍では 試射はその時の状況・状勢や試射法によって交互打方、一斉打方の適する方を選択 し、本射は基本的に一斉打方、場合 (敵が変針変速を頻繁に行う、射心移動が大きいなど) により交互打方 を用いました。

したがって某所で出た

日本海軍の大型艦の射撃は射撃速度維持の面もあって交互射撃が基本であり、それは八門艦や九門艦でも変わりません。

というのは誤りです。


では、欧米海軍の場合はどうだったのでしょう?

前回、欧米海軍には試射・本射と言うものはなかったと書きましたが、実は旧海軍の 「交互打方」 に相当するものも無かった (=定義されていない) のです。

例えば米海軍の場合では 「打方」 について次のように規定されています。

Salvo fire is that type of firing in which a number of guns that are aimed at the same target and ready to fire are fired simultaneously by mean of a master key at the control station, by an automatic contractor, or on the same salvo signal.

Sprit salvo. When less than the full number of guns in a multiple gun mount or mounts os ordered to fire on one salvo signal.

Partial salvo. When less than the full number of guns (in single gun mount batteries) or less than the full number of mounts or turrets (in multiple gun mount batteries) is ordered to fire on one salvo signal.

つまり、「(full) salvo」 が 「一斉打方」 に相当しますが、「split salvo」 「partial salvo」 というのは旧海軍で言うところの 「指命打方」 に近いもので、これらの特定の応用形式が 「交互打方」 にほぼ相当するものになります。

米海軍においては前回お話ししたように、比較的広い散布界と射弾修正のやり方により 水上射撃においては 「(full) salvo」 が原則 です。

ただし、交互打方の様なことは全くやらなかったかというと、そうではありません。 陸上射撃 (対地支援射撃、NGFS) です。

陸上射撃では、水上砲戦の様に相互に打ち合う訳ではありませんし、目標が動き回る訳でもありませんので、腰を据えてじっくりと行ない、かつ前進観測班の弾着観測を得つつ射弾修正して行けば良いので、弾幕(区域)射撃を要するような 「full salvo」 の場合以外は 「pertial salvo」 又は 「split salvo」 が原則 です。

おそらく、

英米海軍も重巡以上の艦の射撃法の基本は交互射撃であり、全砲による斉発は戦時中に夜戦等で「射撃機会が限られる」場合等での特例で実施しています。

は何か勘違いしたのでしょうね (^_^;


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では本スレの総まとめです。

1.条件無しの一般論として、砲の命中率は1門での射弾であろうと100門であろうと変わりません。 変わるのは命中速度です。

2.現実の射撃では命中率はその都度その都度で異なります。 したがって、各砲種について常に一定の命中率が得られるということはありませんし、あり得ません。

3.交互打方が一斉打方に比べて命中率が高くなるわけではありません。 むしろ本射においては後者の方が理論的に高くなる場合が多いです。


(本項終わり)

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前 : 「発射門数と命中率 ・ 続 3」



posted by 桜と錨 at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し

2017年07月20日

『 ヒゲの提督 木村昌福伝 』


ご承知の通り、現在平野晃弘氏を中心としたグループによって 『キスカの花』 というドキュメンタリー映画の制作が進められております。

キスカというと私達船乗りがすぐに頭に浮かぶのが、やはりこのキスカ守備隊の撤収作戦の指揮官であった一水戦司令官木村昌福少将でしょう。

この木村昌福については、自衛艦隊司令官も勤められた故 星野清三郎氏の手になる標記の伝記が最も詳しく書かれていると思います。

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「前」 及び 「続」 2分冊の全13章で、兵学校入校前の生い立ちから終戦、戦後、終焉までが記されております。

このうち第1〜8章までは (財) 水交会の会誌 「水交」 の平成2年9月号から5年8月号までに連載されたものですが、「水交」ではここまでで打ち切られてしまったため、後に自費出版するにあたり、この8章までを 「前」 とし、残りを 「続」 としたものです。

「前」 は116頁ですが、「続」 は326頁と3倍近いものとなっております。

何故 「水交」 にはこの伝記が第8章までしか連載されなかったのか?

実はこの水交会の会誌 「水交」 では時々こういうことがあります。 貴重で良い記事にも関わらず、2〜3年ほど連載が続くと決まって “紙面を特定の者の連載に占領させるな” という声が上がって、途中で打ち切りになってしまうのです。

実状としては、どうも旧海軍関係者に対する内部からの批判的な内容が少しでも含まれると、こういう声となるようです。 他の連載記事でもそうでした。

結局、連載打ち切りとなった後の平成5年12月になって 「続」 を先に、そして平成6年2月に連載分を 「前」 として自費出版したものです。 実に何というか ・・・・ です。

著者の星野氏はこの木村昌福少将に直接仕えたこともあり、木村家に残された資料を始め志摩、保科、大西といった人達の支援・協力を得て纏めたもので、大変に貴重な内容となっております。

残念ながら星野氏自身が既に故人となられており、この自費出版の伝記も今となっては著名な図書館などの他はどこにどれだけ残っているのか、どこで手に入るのか ・・・・ ?

もし 「水交」 で引き続き全編が掲載されていたならば、こういう貴重なものを現在でも比較的容易に読むことが出来たと思うと大変に残念なことですし、「水交」 そのものも価値が上がったことでしょう。

なお奈良県立図書館などによると 「続の2」 というのがあるようになっていますが、私は未見でありどの様なものなのかについては判りません。

しかしながら、今回の 「キスカの花」 の制作を機に、木村昌福氏のこういう伝記にも少しでも一般の方々の目が向けられるようになると嬉しいですね。

posted by 桜と錨 at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月19日

月一のカラオケ


軍歌を歌う会 「三水会」 の月例会でした。 例によって6時に会歌 「三水会の歌」 に始まり、8時に 「同期の桜」 を全員で歌ってサッとお開き。

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しかしこの2時間、もう何というか和気あいあいの猛烈な騒々しさ (^_^; よく飲み、よく食べ、よくしゃべり、そしてよく歌い。 これだから続くんでしょうね。

今日は23名で女性が6名、「ヴォルケイノウ」 は一杯一杯でした。 私は先月は急用が出来て参加できませんでしたので、今回で4回目。

私がここに顔を出す切っ掛けとなった FBF の梶本氏も今日はご自慢のノドを披露。 お元気なものです。 うらやましい限り。

で、来る10月には200回目を迎えますので、この時には老舗の 「森沢ホテル」 で盛大にやるそうです。 こちらも今から楽しみです。


posted by 桜と錨 at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月17日

発射門数と命中率 ・ 続 3


今回は 「試射」 と 「本射」 の話です。

(注) : 以降は特に断らなければ全て射線方向の 「距離」 についてで、射線に直角方向の 「苗頭」 については省略します。 理由は簡単です。 左右の弾着のズレは見れば判るからで、修正も容易だからです。

この試射と本射は旧海軍の砲術に関するバイブルの一つ 『艦砲射撃教範』 で次のように定義されています。

試射トハ本射ニ用フベキ照尺量ヲ探知スル目的ヲ以テ行フ射撃ヲ謂フ

本射トハ命中ヲ期シテ行フ射撃ヲ謂フ

そして旧海軍では射撃実施においても両者は明確に区分されており、射撃指揮官は射撃開始に当たり両者の実施要領を下令しなければなりません。 例えば 「緩斉射弾観測、緩射」 「初弾観測、急斉射 (初観急)」「試射無し、初弾より急斉射」 など のようにです。

ところが、欧米諸海軍においてこの様な試射・本射に匹敵するものがあるかというと、ありません。 旧海軍独自のものと言えるでしょう。 これが射法上の大きな違いの一つといえるところです。


射撃計算というのは早い話、測的結果により 「射表」 から目標の未来位置 (=弾着時の目標の予想位置) に対する弾道を求めることです。

この射表は気温・湿度や大気圧などの諸条件をある 「基準状態」 を定めてこれによる基準弾道について作られています。

「射表について」 :

そしてこの基準弾道に対して 「弾道基準修正」 と 「弾道当日修正」 の2つを加えて、その時その時の条件に従った弾道を求めることになります。

「弾道修正の概要」 :

その一方で、砲の仰角を設定する距離目盛 (=照尺距離、又は照尺量) は射表と同じ「基準弾道」 により、しかも100m単位で刻まれています。

このため、例えば測距と測的による射距離が225 (ふた、ふた、ご) (2万2千5百m) であっても、照尺距離として調定 (設定) するのは232であったり214などとなるわけです。

これが発砲諸元の一つとして刻々と各砲台に送られ、各砲台の照尺手が照尺計で基針で示されるこの値に追針が一致するように照尺手輪 (ハンドル) を操作します。

この照尺量の最初のもの、つまり初弾発砲時の照尺量を特に 初照尺 といい、以後の射撃結果を左右する重要なものとなります。

つまり前回お話ししたように、様々な誤差の結果として、如何に緻密に射撃計算を行なおうとも、多かれ少なかれ弾着時の目標位置 (=実距離) と射心とは差が出ます。 これを 初弾偏倚量 と言います。


したがって、「試射」というのは、言い換えるとこの偏倚量を如何に正確に把握し、そして如何に迅速かつ正しく修正して標心と射心を一致させるか、つまりその時の 適正照尺量 を得るか、と言うことになります。

このための方法として 捕捉 ということを考えました。 即ち、連続する2つの斉射弾で目標を前後 (遠近) に挟むこと により、この2つの斉射弾の照尺量の中間値をもって射撃を行い、夾叉 することを確認してそれを 「適正照尺量」 としたのです。

もちろんこのためには散布界の大きさ (=戦闘公誤の大小) や2斉射間の照尺量の差 (=捕捉濶度) など全て公算により緻密に計算されたものであることは言うまでもありません。

そしてこの適正照尺量を迅速に得るためと弾着観測の容易さのために、その一つの方法として (一般的に) 試射には 「交互打方」 を用いたのです。

誤解の無いように申し上げれば、交互打方とは命中率を高めるためではなく、適正照尺量を把握してその後の射撃 (交互打方か一斉打方かに関わらず) の命中率を高めるためです。

これにより、本射においてはこの適正照尺量を維持しつつ (=命中を期した射撃を継続しつつ) 可能な限り発射速度を高め、目標の変針・変速などに迅速に対応していく、と言うことになると言えます。

この試射の要領についてどの様な方法があるのかというと、旧海軍では公算に基づき一定の標準を定めておりました。

次の 「試射の要領」 の中で最後に「試射法の決定」として詳しく解説してあります。



それでは欧米諸海軍ではどうだったのか?

旧海軍のような公算を基礎とした緻密な射法を作り上げることはありませんでした。 したがって試射・本射のような区別をもって射撃を行う方法ではありません。

射法は、基本的には初弾から偏倚量を観測してそれを修正していく形です。

特に米海軍では、散布界が比較的広いことから、偏倚量の修正によって比較的早くこの散布界の中に目標を入れることができますので、その中から命中弾が出ることを期待しました。

いわゆる 「夾叉」 という意味では米海軍の方がやりやすかったわけですが、その反面例え夾叉をしても命中率は高くは無かったということになります。

これが太平洋戦争後半での “数打ちゃ当たる” 式の射撃方法に繋がるわけです。


こういった艦砲射撃の基本的なことを抜きにして、的外れな知識を披露した上で

キーワードは「正規分布」「t分布」「標本数(サンプルサイズ)」→「標準偏差」あたりになろうかと

などと言われても ・・・・ (^_^;

何か実際の実験結果でもあれば良いんですが…

学校でのお勉強の知識だけでなく、艦砲射撃について真面目に調べれば、実験結果ではなく実際の射撃データがいくらでも旧海軍の史料などに残されているんですけどねぇ ・・・・


次回は本スレの最後として 「交互打方」 「一斉打方」 と命中率についてお話しする予定です。


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前 : 「発射門数と命中率 ・ 続 2」

次 : 「発射門数と命中率 ・ 続 4 (終)」

posted by 桜と錨 at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し

2017年07月16日

『砲術スタディ・ガイド』


本家サイトの今週の更新として、管理人が幹部候補生だった時の一般幹部候補生第1課程 (防大卒) 用の 『砲術スタディ・ガイド』 を 『現代戦講堂』 の 『資料展示室』 コーナーにて公開しました。

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ここで公開しますのは44年も前のものであり、かつ秘密文書などに指定されたものではなく、もちろん内容的にも秘密に関わるものは皆無です。

とはいっても、艦砲射撃や砲戦についてその基礎的な事項の全般を網羅しており、この方面に興味のある一般の方々にとっても良き入門用のものであると思います。

昨今は秘密漏洩事件などもあり、防衛省・海上自衛隊でも部内文書の取り扱いにつきましては大変にうるさくなってきまして、なかなかこういうものは公開されませんので、興味を持っていただけるのではないかと。

最近になって、海上自衛隊のOBでも “「三笠」 の12インチ主砲は発砲時に駐退・復座はしなかった (=そういう機構にはなっていなかった)” などとと言い出す者も現れる始末です。

そういうご時世ですので、“そんな基礎くらい鉄砲屋でなくても現役の時に習っただろう、恥ずかしい” ということで、これを機会に今回公開することに (^_^;

posted by 桜と錨 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し

2017年07月13日

大和ミュージアムの企画展 ・ 続


大和ミュージアムで現在開催中の 「大和」 の潜水調査結果の企画展について、その展示写真の解説に大きな誤りがあることはご紹介しました。

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( 指摘の当該写真 引用 : 「第25回企画展 ガイドブック」 (同館発行) 41頁 )

「友と待ち合わせ」:


これについて同館の学芸課にその指摘メールを送ったところ、次の返事が返ってきました。

(ここから ↓)
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お問い合わせの件について(大和ミュージアム学芸課)

お世話になっております。
このたびは、メールをどうもありがとうございました。
以下、回答させていただきます。

〔第一主砲塔バーベットについて〕
第一主砲塔バーベットという表記については、確かにご指摘のとおり、「円形支基の旋回歯轍」と存じますが、一般の方に見ていただくにあたり、該当表記では一見してわかりづらいことから、「第一主砲塔バーベット」と表記しております。

〔施条について〕
施条(しじょう)ついては、軍事用語ではなく、「物に筋目をつけること」(『広辞苑』)という一般的な意味で用いました。

当館では、一般の方にもわかりやすい説明を心掛けております。
ですが、堤様のような海軍関係の方には誤解を招くようですので、次回の変更の際に、表記を修正させていただきます。

1 第一主砲塔バーベット→第一主砲塔バーベットの内側
2 凹凸(施条)→凹凸  (施条を削除)

では、用件のみにて失礼致します。

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(ここまで ↑)

だそうです。

う〜ん、何か苦しい言い訳に過ぎないように感じるのは私だけでしょうか ・・・・ (^_^;

そもそも 「一般の方にもわかりやすい」 ために間違った説明をする というのは全く筋が通らない話かと。 私達よりも、逆に一般の人達の誤解を招くようなことの方がよほど問題でしょう。

バーベットではないのに、バーベットと言う

バーベットについて先の 「ガイドブック」 の6〜7頁の記述とその注釈にある

・・・・ 艦首部から第1主砲塔バーベット部(6)までの詳細な情報が・・・・

6 第1主砲塔の台座部分のこと

という理解なので、当該写真の説明も間違ったのではありませんか?

軍事のことを説明するのに “軍事用語ではなく広辞苑から一般的な意味で” 全く意味が異なる用語を使う

軍事用語として 「施条(せじょう)」 は明確に定義されており、他の意味で使うことはありませんしあり得ません。 それを意味の異なる用語を一般用語だからと言ってわざわざ使う? これでは私達にではなく、逆に一般の人に誤解を与えるでしょう。

何かおかしくありませんか、学芸課さん?

しかも次回変更するという修正表記も感心しません。 「バーベットの内側」 (に付いている) では誤解を生じますし、「凹凸」 や 「筋目」 が単なる抽象的な形状を表しているとは言ってもも、それだけでは肝心なその物が何なのかを全く表してはおりません。

“一般の人に判りやすい” にしても、もう少し 本来の意味を正しく呈した 表現の仕方があるのではないでしょうか。


それに、そもそも私は 誤りを指摘しただけ であって、別に学芸課に 問い合わせたわけではありません が ・・・・

軍事についてあまり知識のない普通の学芸員さん達というのは皆さんこういう感覚なんでしょうかねえ、他人事ながらちょっと心配になりますが (^_^;

posted by 桜と錨 at 17:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 砲術の話し

2017年07月12日

「筆の里工房」 と 「ゆるぎ観音」


家内とランチで訪れた 「ビストロ・シン」 は熊野にある展示館 「筆の里工房」 の中に併設されています。

この展示館、なかなか立派な建物です。

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裏庭には広い溜め池がありますが、こちら側から眺めると正面より優雅な姿です。

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( 館内から裏庭を レストランも窓側の眺めはこれです )

ここは一般財団法人 「筆の里振興事業団」 によって運営されており、これだけの建物と展示内容にもかかわらず、特別展の会場以外は入館無料です。

公式HP :

建物が大きいだけに館内の常設展示の各室はゆったりと取られており、それぞれのテーマ別のコーナーも 「筆」 についての様々な展示が工夫されています。

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一昔前まで農閑期の農家の人々の副業としても成り立っていたようで、地下フロアーには当時を模した民家まで再現されていますし、筆作りの工程の実演コーナーもあります。

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熊野は今でも筆作りが盛んで 「熊野筆」 として全国的に名が知れていることはご存じのとおりです。 私の娘達にも生まれてから最初に切った髪の毛で記念の筆を熊野の工房さんで作ってもらいました。

最近は化粧筆としてもかなりのニーズがあるようです。 確かにあのフワフワっという肌触りは適しているかも。

昔呉に出張したときに、ホテルの売店でこの化粧筆で猫の肉球の形をしたものを家内のお土産に買ったことがありますが、今日ここの売店で探してみましたがありませんでした。 あれ、面白いと思うのですが ・・・・ (^_^)

日本人ですから文化的にも昔から書筆や画筆とは関係が深いので、この筆を主題にした展示館としてはやはり熊野ならではといえるでしょう。

なかなか面白いところですが ・・・・ やはり時期的なものなのか平日だったからなのか、訪れたときには来観者は数名だけで、売店も含めたスタッフさん達の数の方が遙かに多かったです。

私達が入ったときは、「やっと二人連れがきてくれた」 とでも言いそうな笑顔でした (^_^)

それにやはり場所的にも地域的にも、この展示館だけを目当てに来るとするにはちょっと考えるところがあるでしょう。

ただ、これだけの施設と展示内容ですから、ちょっと寂しいと言う気もします。 もちろん、財団側としても、企画展やイベントの開催など様々なアイデアと工夫もされているようですが ・・・・ 週末や夏休みなどではそれなりに来観者があるのかも。


で、帰りがけに駐車場のところに案内板がありまして、近くに 「ゆるぎ観音」 というのがあると言うことで、ついでにちょっと寄ってみることに。

「筆の里工房」 の少し先から1車線の脇道に入りまして山の中を5分ほど。 途中で出会う車もなければ、割と広い駐車場に先客は皆無 (^_^;

駐車場から観音堂に上がる道の入り口に観音像がありますが、もちろんご本尊は観音堂に。 この左脇にある湧き水は、目の病に御利益があるのだとか。

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駐車場脇のアジサイはまだ満開でした。

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観音堂への狭い急な道を少し上ると、名前の由来である 「ゆるぎ岩」 が。 元々はこの岩を観音様として祀ったとも言われていますが ・・・・ ?

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そして更に急な道を上ったところに小さな観音堂があります。

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( 観音堂手前の登り道を見上げたところ (左) と見下ろしたところ (右) )

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中は8畳一間ほどの広さで、3方にはアルミサッシの引き戸が付いていますが、施錠などはされていません。 誰でも上がって参拝出来るようです。

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( でも最近は悪さをする韓国人などが全国で多発し後を絶ちませんので、残念ながらこのご時世、ちょっと不用心かとも (^_^; )

posted by 桜と錨 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

お詫びランチへ


今日は家内も一日特に用事はありませんでしたので、一昨日の電飾コード接断のお詫びのためにランチへお誘いを (^_^;

お邪魔したのは、熊野町にある 「筆の里工房」 内にあるレストラン 「ビストロ・シン」 さんです。

ランチタイムと午後5時までのティータイムだけの営業。 ランチは割と有名だそうで広島などからも奥さん連が訪れるとのこと。 今日は平日だからなのか、季節柄なのか、先客は1組のみでした。

広めの室内にテーブルもゆったりと配置されており、また窓側の景色もなかなかです。

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メインが選べるランチメニューで、家内とそれぞれ好きなパスタをチョイスして、少しずつシェアを。

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私のロブスター・ソースがなかなかで、パンの追加をお願いしてこのソースをつけて食べたのはここだけの話です (^_^;

面白いのは、前菜もデザートも一人一人異なる内容だったこと。 でもなぜかどちらとも家内の方が量が多かったような ・・・・ まあ、お詫びランチですから。

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期待以上に美味しく、かつ雰囲気も良かったですね。 思わぬ新発見。 来月夏休みで孫娘が遊びに来たら 「筆の里工房」 の展示のお勉強も兼ねて遊びに来ても良いかも。


「筆の里工房」 についてはこの後別記事でご紹介します。

posted by 桜と錨 at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月11日

あっちゃ〜、やっちゃった!


梅雨とはいえ我が家の方はあまり降りませんで、ここ数日ドンヨリとした曇り空が続いています。

で、放りっぱなしでジャングルと化した我が家の庭を少しは何とかしなければ、と思いまして (家内にお尻を叩かれて、の方が正しいですが)、取り敢えずボウボウになった草刈りから始めたところです。

そして昨夕はちょっと飽きてきましたので、庭木の剪定を。 と言ってもただバサバサ虎刈りにするだけなのですが ・・・・

ところが気を付けていたつもりが、古木に架けてある家内お気に入りの電飾ライトのコードを高枝切り鋏でスパッとやってしまいました。 それも3カ所も。

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もちろん例によって家内に烈火のごとく “だから気を付けてと言ったじゃない、△×!?●※ ・・・・・” と (^_^;

今日はホームセンターへ行って絶縁用のビニテープを買ってきまして、早速工作開始。 う〜ん、プラモデルなら得意なんですが ・・・・

見かけは悪いですが、防水のために何重にもガッチリと。

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先ほど無事点灯を確認しました。 まあ、これで勘弁してくださいな、奥様 m(_ _)m

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でもあと残り2カ所。 今度はもっと細いやつです。 これは明日にしましょう (^_^)


posted by 桜と錨 at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月10日

発射門数と命中率 ・ 続 2


前回説明しましたように、現実には毎回毎回の射撃で命中率は変わってきます。

例え同一の発砲諸元で射撃をしようとも、様々な要因による誤差のため1弾ごと弾道が微妙に異なってくる、即ち散布するからです。

このため、砲弾を目標に命中させるのは極めて難しいことになります。 これについては本家サイトに簡単に纏めてありますのでご参照ください。

「射撃理論解説 超入門編」 :

これは1門で撃とうと多数門で一斉に撃とうとも同じことです。

そして、なぜそうなるのか、その原因は何なのか、の詳細については、次のところで解説しております。

「射弾の散布」 :

この個々の弾道の異なり方はそれ程極端には大きくありませんので、明治期の砲戦距離のように5〜6千m以内でしたら、各砲ごとの砲側直接照準射撃でも照準さえ正しければ何とかなる程度です。 しかしながらこれが1万mを超え、2万とか3万mになりますと、そうはいきません。

したがって、1門ずつでそれぞれの砲弾が目標に命中することを期待するのではなく、複数門を同一の射撃計算値に基づいて発砲し、その弾着の散布の中から命中弾が出ることを期待することになります。

そのためにはまず発射する複数門について、照準と測距、測的 (彼我の運動の解析) 及び射撃計算を1つにする必要があります。 これが方位盤であり、測距儀、測的盤、射撃盤で、それぞれが発達して一つの射撃指揮装置となっていきます。

これに基づく射撃計算の理論については本家サイトの次のところで解説しておりますが、これはあくまで砲弾を目標に命中させるために元となる基本の弾道計算とも言えます。

「射撃理論 初級編」 :

即ち、複数門による射撃はこれに基づいて行われるわけですが、上で申し上げたように現実の各種の微少な誤差により、この値からずれる、即ち散布を生じます。

1門の連続弾でも、複数門の斉射でも、砲弾は絶対に1点には弾着しないからです。


とすると、次に必要となるのはこの散布の仕方を把握することになります。 これが 散布界 です。

shahou_sanpu_mod2_s.jpg

そして艦砲射撃においては、その散布界の中心、即ち 射心 を目標位置の中心 標心 と一致させるように修正 して、散布界の中に目標を包み込むようにする ( 夾叉 と言います) ことにより、その中から命中弾が出ることを期待する しかありません。

もちろん目標たる敵艦は点ではなく、幅、長さ、高さがありますので、射撃訓練においてはそれに応じた 「有効帯」 「有効幅」 の中に入った弾着数をもって命中率を算定することになります。


実際には毎回毎回の射撃のみならず、1回の射撃でも毎斉射毎斉射で散布界の大きさや散布の状況は異なりますので、同一艦あるいは同砲種での射撃データにより 平均散布界 を求めることから始まります。

米海軍や英・独海軍においてはその艦あるいは砲種としての性能データとしては、せいぜいがこの平均散布界の算出止まりであり、後は実際に撃ったその場で射心の位置を弾着観測により求めて、これにより射弾の修正を行うことでした。

したがって米・英・独海軍の艦砲射撃における 「射法」 はこれが基礎です。

しかしながら平均散布界とはいっても、当然ながらその散布界の中に斉射弾が均等に弾着するわけではありません。

例えば次の図は散布界は全て同じですが、それぞれその中の斉射弾の散布の仕方は異なります。

youso_sanpu1_s.jpg

そこで旧海軍ではこれを更に進めて 公算、即ち統計と確率の応用による方法 による 公誤 (公算誤差) を採り入れ、その一つとして散布界の中でどの様に斉射弾が弾着するのかを数値で表すことにしました。 これが 戦闘公誤 、即ち 平均散布界の中で射心から射弾の半数が弾着する範囲 を示す方法です。

詳しくは次の記事を参照してください。

「戦闘公誤」 :

この戦闘公誤によって艦に装備されている同一砲種 (主砲、副砲など) の性能と砲機調整などの状況を把握すると共に、これを基準として適正な射法を構築したのです。

もちろん、各艦、艦型、同一砲種搭載艦などについて、平均散布界、戦闘公誤を出し、これらから門数による関連性をも求めており、これらも全て射法の中で考慮されています。

そしてこの公算による射撃データの分析の中で重要なものの一つが 初弾偏倚公誤 です。 これは照準、測距、測的を始めとして、ありとあらゆる誤差の結果として、最初の斉射弾の射心が実際の弾着時の標心からどれだけずれる (=初弾偏倚量) 可能性があるかを過去のデータから公誤で求めたものです。

この初弾偏倚公誤の値によって、具体的などの射法を適用するかの重要な判断基準の一つになります。

初照尺とそれによる初弾偏倚公誤については、旧海軍の実際を次のところで解説しております。

「初照尺の精度」 :

これによって試射の要領が決められることになりますが、この 「試射」 「本射」 についてはこの後で。

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2017年07月09日

小論 「加藤友三郎と海軍兵学校」


昨年発足した 「加藤友三郎元帥研究会」 に私も賛同人の一人として加えていただいているところです。

そして同会では最近は時局研究会を開いたり、また facebook の他にHPも開設し、少しずつですが動き始めております。

同会HP : https://katotomosaburo.jimdo.com/
同会facebookページ : https://www.facebook.com/tomosaburo.kato/

私も折角ですからこれを機会に青年将校時代の “鉄砲屋” 友三郎について少し纏めてみたいと思っているところです。

この時代の友三郎については、彼の伝記などでもほとんど触れられたことがありませんので、私の旧海軍の砲術研究の中の明治期に関するものを利用して行くことで考えています。

そこでその本題にかかる前には、やはり友三郎の兵学校 (当初は兵学寮) 入校から海軍少尉に任官して兵学校砲術教授心得になるまでを押さえておくことが必要ですので、この度手始めとしてちょっと纏めてみました。 題して、

「(加藤友三郎と海軍 その1) 加藤友三郎と海軍兵学校」

Tomosaburou_01_p1_s.JPG

A4で僅か10ページのものですが、それでも今まで語られたことのない内容も含んでおります。 というより、これまで兵学校時代の友三郎について書かれたことがありませんので。

一応大先輩の平間洋一氏や、加藤健太郎氏、そして会を主催される大之木小兵衛氏にも既に目を通していただきましたが、概ね好意的な評価をいただいております (^_^)

つきましては、いずれはこれも何らかの形で公表したいと思っておりますが、まだ研究会では会誌を出すところまでいっておりませんし、「水交」 や 「東郷」 などと言ったところとは今のところお付き合いがありませんので ・・・・ ちょっと思案中です (^_^;

そして次の本命の 「友三郎と砲術」 はちょっと長くなりそうですので、完成はいつになりますか。

ただ明治初期から日清戦争のころまでの旧海軍の砲術については黛氏の著作や 「海軍砲術史」 (同刊行会編) でもほとんど触れられておりませんので、その意味においては珍しい内容になるかと思っています。

posted by 桜と錨 at 22:26| Comment(4) | TrackBack(0) | 海軍のこと

2017年07月08日

友と待ち合わせ


昨日のことになりますが、昔からお付き合いのある友が大和ミュージアムの図面調査で週末にかけて来呉するということで待ち合わせを。

家内と一緒にちょっと早めに家を出まして、お気に入りのコーヒーショップで時間調整。

ここのコーヒーは今のところ呉で一番と思っていますので、いつも安心して楽しめます。

coffee_h290707_01.JPG

で、広島空港から直接バスでJR呉駅まで来られましたので、取り敢えずは軽く昼食を摂ってから一緒に大和ミュージアムで開催中の 「大和」 の潜水調査結果についての企画展へ。

私はここの友の会会員ですのでいつでも入館できますが、こういう企画展の時には招待券を何枚か送ってくれます。 これを使わなければ勿体ないということで (^_^;

ご存じの通り、今回の企画展は昨年5月に呉市が実施した潜水調査の結果を順次公開して行くものの一つで、新たに主砲塔測距儀や150糎探照燈などの写真が展示されています。

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( 企画展公式パンフレットより )


なのですが ・・・・ う〜ん、一般来観者には目新しく、かつ珍しいところもあり、いわゆる “客寄せ” としてはそれなりの効果があるのかもしれませんが ・・・・

おそらくこの企画展も大和ミュージアムの運営の外部委託を受けている大阪の 「トータルメディア」 さんが手がけているのでしょう、いつもどおり手堅く、確かに一般来観者向けとしては良く出来ていると言えるでしょう。

しかしながら公開された内容そのものとしては、ちょっと知識のある人達にとって “えっ、潜水調査から1年以上も経ってまだこんな段階なの?” と思われるのではないでしょうか。

奇しくも昨年は同じくシブヤン海に沈む 「武蔵」 が発見されて、その時の潜水調査のすばらしい映像がポール・アレン氏のチームによって撮影されました。

そしてこれを分析したものがNHKを初めとする様々なメディアで数多く公開されています。 しかも映像は非常に鮮明かつ当を得たカメラ・アングルが盛り沢山でした。

それに比べるこちらの 「大和」 の企画展の方はちょっと時期的にも内容的にも見劣りがすると言われても仕方ないような ・・・・

それに、水深1千mを超えるところに沈む 「武蔵」 と350m程度の 「大和」 では海流や海水の濁りなどの条件が違うでしょうが、それにしても ・・・・ 現場で 「大和」 に知識のある人が細かく撮影を指導していればと思わずにはいられないところが。

それともそういうポイントはもちろん撮ってあるので、これからも “チョットずつ小出しに” していくという方針なのでしょうか ・・・・ ?


ついでですので、今回の企画展での 大きな誤りの一つ を。

展示されている中の写真の説明の一つに 第1主砲塔バーベットの施条 とあり、あたかもこれがバーベットに取り付けられているものであるかのような記述 になっています。

下図のとおりバーベット (厚鋼板) は装甲板で砲塔の砲室より下の旋回部を囲むようにしたもので、これの内側には付属物は何も装着されていません。 砲塔旋回用の 「歯轍」 (一般用語では 「歯弧」 ) はバーベットの内側から離れた位置にある 「円形支基」 の内側に取り付けられており、バーベットとは何の関係もありません。

つまり、言い換えれば当該写真は 主砲塔のバーベットではない ということです。

46cm_barbett_draw_01_s.JPG
( 管理人保有の教科書複製より )

しかも 施条 というのは砲身内に刻まれた ライフル のことですから、この砲塔旋回用の 歯轍 (歯弧) とは全くの別物 の名称です。

houjutu_yougo_02_s.JPG
( 「海軍辞典」 より )

さらにご丁寧にもこれに しじょう とふりがなが振られていますが、海軍では せじょう と読みます。 まさか 「施錠」 を 「しじょう」 と言う人はいないと思いますが、それと同じです。

houjutu_yougo_01_s.JPG
( 海軍省 「海軍用語 砲術の部」 より )

潜水調査の前回の成果展示でも 「右舷」 「左舷」 をわざわざ 「うげん」 「さげん」 とふりがなが振られていましたので、学芸課にその誤りを伝えたところです。

これでは砲塔の構造について理解していないのではと言われても仕方ないでしょうし、ましてや用語やそのふりがなに至っては “そんな基礎的なことさえ知らない人がやってるの?” と言われかねず、こんなことで潜水調査の成果全体そのものの鼎の軽重を問われることにもなりかねません。

もう少し事前の慎重なダブルチェックが必要かと、大和ミュージアムさん (^_^;

さて、我が友は今日は目的の史料が見つかるといいですが。

posted by 桜と錨 at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月06日

発射門数と命中率 ・ 続


まずは極々初歩的なことから。

「命中率」 というのは発射弾数に対する命中弾数の割合です。 この定義は変わりようがありません。 命中率の “概念” も何も入る余地はありません。

そして発射門数と命中率の関係は、先にも書きましたとおり、何の前提条件もなく ただただ単純な問題として 採り上げるならば、ある命中率の砲種について、門数が1門であろうと2門であろうと、あるいは100門であろうと 命中率は変わらない ことはお判りいただけるかと。

つまり、門数が増えると 「発射弾数」 が増え、それに比例して 「命中弾数」 が増えるだけのことで 「命中率」 が変わる訳ではありません。

例えば、命中率5%とされる砲なら、1門で100発撃って5発の命中弾、100門なら10000発撃って500発の命中弾、いずれも命中率5%です。

某所での質問の発端となったという架空の例え話の

大和一隻とアイオワ級二隻が戦闘すればどちらが有利か、

その中の回答に、アイオワ級側の門数が大和の二倍だからといって、命中する確率も二倍にはならず、云々

などに対しては本来この回答で十分です。

ただし、です。

発射門数が変わると目標に対する 単位時間当たりの命中弾数、つまり 命中速度 が変わります。 これはまた射撃時間が変わっても変わります。

( 命中速度は艦砲射撃においては重要な要素の一つですが、先の某所の中では出てこなかったものの一つです。)

上の例では100発を5分間で発射するなら、1門での命中速度は1発/分ですが、100門の命中速度は100発/分です。

また、1門で100発を5分間で発射したものを2分半で発射するなら (発射速度を倍にするなら)、命中速度は1発/分から倍の2発/分になります。

この理屈は、まさに 太平洋戦争後半に米海軍が採用した砲戦術 です。 日本海軍に対して命中率の低さを、発射門数 (隻数) の多さと発射速度の高さを利用したもので、「命中速度」 を極度に発揮しようというものです。

もちろんこれには大量の “無駄弾” が伴うことは言うまでもありません。 命中率は度外視なのですから。 優れた砲塔動力と物量 (砲弾、艦艇数) を誇る米海軍だからこそ採用できた戦術ですが、裏返せば “止むに止まれず” という発想でもあります。

これに対して、持たざる国の日本海軍では、貧弱な科学・工業力と平時における訓練からしてそのような贅沢な発想は生まれるわけもなく、また命中速度の重要性は理解しつつも “やりたくとも出来なかった” と言うのが実情です。

ここまでは、難しい数式や理論などは必要ありませんので初心者の方々でも十分にご理解いただけると思います。


さて、ここからです。 もう一歩話を進めると、ここでテーマとなっている 「命中率」 という問題です。

上のようにごく単純化した話ならともかく、現実にはどの砲種であれ常に一定の 「命中率」 が得られるということはあり得ないことです。

特に艦載砲の場合には、その砲固有の性能 (特に射表上の 「単砲公誤」 と言われるもの、米海軍では 「平均散布界」 )に加え、艦艇の砲装・艤装・砲齢、気象海象、薬温・薬質、射撃の方法・整備の良否等々、その時その時の状態、状況、条件などによって同一の砲でも命中率は変わってきます。

早い話が、撃つ度に命中率は変わってくる、ということです。

ではその一定しない命中率というものを艦砲射撃においてどのように解決していくかというと、それが 射法 になります。

もちろん、この射法の基礎になるのが射撃関係員の日頃からの綿密な砲機調整であり、教育訓練であることは申し上げるまでもありません。

これについての詳細はこの後で。

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posted by 桜と錨 at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し

生しらす丼


今日は市内に出て市役所へ。 何の用事かというと、どうも市民税の計算額が腑に落ちないので確認をしにです。

行ってびっくりというか、窓口で確認して4〜5万円多すぎることに担当者も初めて気がついて、その旨教えてくれました。

不動産売買がありましたので、税務署で確定申告をしたにもかかわらずその時にも、そして市民税算定の市役所にしても、それぞれの担当者がすぐに気がつくはずのものがチェックされておりませんでした。 当該事項についてはもちろん別にデータに記録されているにもかかわらず、です。

もしそのままにしていたら ・・・・ でも、こういうことまで一市民が一々確認しなければならないんですかねえ。 足りないときは1円でも督促が来るんですが。

既に第1期分は支払い済みですので、第2期以降の分を再計算し直したもので改めて納付書を作って発行してくれるとのこと。


で、折角市内まで出ましたので、最近出来たというお店へ。 生シラスがウリのところで、その名も海鮮炭焼酒場 「し〜らす」 さん。

shirasudon_h290706_01.JPG

夕方からのメニューは色々あるようですが、昼の部は基本的にこの生シラス丼のみです。

shirasudon_h290706_02.JPG

6月中でしたらオープン記念で半額だったのですが、なにしろ外に行列ができる程でしたので、今日改めて。

桶にご飯、そして升一杯の生シラスです。 ご飯の上にお匙でシラスをかけながら食べますが、海産物は大好きな私でも流石にこれだけの量のシラスは食べきれません。 一生懸命がんばっても1/3程は残してしまいました。

いくら生シラス盛り放題が謳い文句だとは言え、若い人達でもちょっとこれは多すぎるのでは ・・・・ ご飯は少なめですので、後半はひたすら生シラスだけを食べているような (^_^;

posted by 桜と錨 at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに

2017年07月03日

発射門数と命中率


ネットにあったことですが、

門数が倍化しても、命中率は倍では無く √(増えた門数+門数)÷√(門数) だと聞いたのですが

という質問です。

確かにこの質問には、回答者のレスにもあったように発射門数と命中率についてその前提のことが全く欠落しているというのはその通りですが ・・・・

しかしながら単にこの問題だけなら射撃理論云々以前の高校の数物でも習ったことで十分です。

また、回答者のレスも全くの的外れというか何というか (^_^;

  交互打方の採用により、修正が早く、正確になるため、命中率は向上 ?
  公算射撃 (散布界の選定等) ?
  6から9 (10?) 門が、命中率が良好 ?
  12門艦は交互打ち方を、8、9門艦は一斉射撃を主用 ?

そもそも

命中率とは、どの様な概念でしょうか。

って、命中率の概念? あるのは “定義” で、それも専門用語ですらないごく普通の用語ですけどねえ。


さてご来訪の皆さんならどの様にお答えになるでしょうか?

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次 : 「発射門数と命中率 ・ 続」


posted by 桜と錨 at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 砲術の話し

2017年07月02日

NHK 『坂の上の雲』 制作参画の思い出


7月に入りましたね。 早いもので、今年ももう半分過ぎてしまいました。

以前本ブログでNHKのドラマスペシャル 『坂の上の雲』 に海軍関係で制作のお手伝いをした時のことを連載いたしました。

NHK_Saka_13_Malta_h2105_08.jpg

元々の番組では1話90分として全13話を3年に分けて放送しましたが、これを平成26年になって1話を45分の2つに編集し直して全26回としたものをBSで再放送しました。

この時に、NHK松山放送局が毎週次の回の内容紹介をHPのコーナーで掲載しましたので、私もこれにコラボする形で番宣も兼ねてブログ記事にしたものです。

ブログでは古くなるとだんだん後ろに流れて行ってしまって判りにくくなりますし、また私自身の思い出のためにも (日記などをつける習慣がありませんので (^_^; ) これを今回本家サイトに纏め直したものです。


まだ修正されていないところが残っているでしょうが、後で手を入れることとして取り敢えず公開することにしました。

写真もブログ記事の時よりは多少サイズを大きくしたり新たに追加したものもありますが、これも機会をみて他のものを追々追加・修正していきたいと考えています。

NHKのこのすばらしいドラマを思い出しつつ、また原作である司馬遼太郎の歴史小説 『坂の上の雲』 のファンの方々も含めて、楽しんでいただければと思います。

う〜ん、全編のDVDも発売されていますが少々高いので ・・・・ 機会を見てまた再放送してくれませんかねえ、NHKさん (^_^)


posted by 桜と錨 at 13:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 気ままに